ラオスに届け!私たちの絵本/八王子市立由木中学校が「絵本を届ける運動」に参加
(2018/07/09)印刷する
ベルマーク財団の「教育応援隊」のひとつ「絵本を届ける運動」に、東京・八王子市立由木中学校が初参加しました。絵本に翻訳シールを貼り、アジアの子どもたちに届ける活動です。指導にあたった海老名利亮先生は、以前ラオスの図書館で日本から送られた絵本に出会って感動したことがあり、ぜひ生徒たちにこの活動を経験してもらいたいと、教育応援隊に応募したそうです。
7月6日の放課後、生徒会役員8人を含む同校1~3年の29人が教室に集まりました。海老名先生は、自分がラオスを訪ねた時の写真を見せ、「これから作る絵本はこうして現地に届きます」と説明。ラオス訪問は9年前だそうで、写真の中の海老名先生を見て生徒たちからは「若~い」なとど声が飛びました。続いて、いよいよ作業に入ります。貼るシールの言語はもちろんラオス語。
生徒たちは「おおきなかぶ」など3種類の絵本から1冊を選び、席に持ち帰って翻訳シールを貼っていきます。シールは文字の回りに線が描かれていて、その少し内側を切っていくと、貼るのにちょうどいい大きさに。台紙には切れ目があって、絵本に正しく当ててからはがすことができます。こまかい作業ですが、みなおしゃべりを楽しみながら和気あいあいと手を動かし、約1時間ほどで絵本はほぼ完成しました。
仕上げとして、巻末に自分の名前をラオス語で書き込みます。ひらがなとラオス語の対照表を見て書くのですが、濁音などラオス語にはない文字もあり、「どうしようかなあ」と苦労しつつ、みんな丁寧に書き込んでいました。
3年生の松尾遼くんは、「実際に本やシールに手でさわって作業したら、これをラオスに届けるんだという実感がわいてきて、達成感があった」。また2年生の新井佑さんは、「現地で勉強したいと思う人を支えることができたのでは」と話しました。
3年生の堤美和さんは、将来の夢がボランティアで海外に学校を建てることだといい、「今日は、その夢とつながる作業で、すっごい楽しかった。自分のやりたいことが、更に明確になりました」と話してくれました。
海老名利亮先生は、JICA(国際協力機構)の海外研修でラオスを訪れました。開発途上国であるラオスは、公衆衛生などの知識不足で健康不安もあり、教育現場でも教えられる人材が不足していました。でも、子供たちは素朴で明るく、ニコニコと笑顔を向けてくれました。そんなラオスに、「自分たちが学ぶことも多いのでは」と海老名先生は考えました。単に開発を支援することが、果たしていいのかどうか……。葛藤する中、「でも文字を覚えることは大切で、絵本を送ることは必要な活動だ」と思い至ったそうです。
最後は、出来た絵本を持って全員で記念撮影。「はい、チーズ」の代わりになるラオス語で、ということになり、日本語の「いち、に、さん」にあたる「ヌン、ソン、サン」と、「こんにちは」にあたる「サバイディー」を組み合わせることに。みんなで「ヌン、ソン、サン、サバイディー」と唱和し、とびきりの笑顔をカメラに向けてくれました。
昨年、由木中学校に赴任した海老名先生は、まず学校としてベルマーク運動に参加することから始め、今春、財団からの案内が来るとすぐに応募したとのことでした。 教育応援隊の「絵本を届ける運動」は今年度はすでに定数に達して締め切りましたが、シャンティ国際ボランティア会(03-6457-4585、http://sva.or.jp/lp/ehon/)に申し込めば有料で参加することができます。