ベルマーク便りコンクール特別賞・尾道市重井公民館


(2023/02/15)印刷する

 「多様な主体が連携するのが今の時代。地域の活性化につながることならウェルカムです」

 こう話すのは、広島県の因島にある尾道市重井公民館の小森健治館長。ベルマーク便りコンクールで特別賞を受賞した公民館です。重井公民館は新型コロナ流行真っ只中の2020年10月に、ベルマーク運動に参加登録をしました。参加したタイミングや、ある人物との出会い、長く積み重ねてきた信頼関係といったさまざまな要因が重なって、短い年月で活動を軌道に乗せました。

重井公民館は昨年度、「優良公民館」として文部科学大臣表彰を受けた

 瀬戸内海のほぼ中央に位置する因島。JR三原駅近くの港から高速船に20分乗ると、公民館にほど近い重井港に着きます。1959(昭和34)年に設立した重井公民館は、長く住民の学びの場としての役割を担ってきました。ところが、コロナ禍によって状況は一変。閉館状態になり、手が空いてしまったそうです。

 そこで職員の柏原千代美さんと村上真菜江さんが思いついたのはベルマーク運動への参加。町のみんなで使える「ワンタッチテント」を買うため、13万点を目標に活動がスタートしました。

仕分け・集計は村上さんと柏原さんが担当
虫かごが回収BOXに変身!

 初めに取りかかったのは「公民館だより」を使った周知活動。小森館長によると、重井町の人口は3300人。そのうちの38%、少なくとも3人にひとりが高齢者だそうです。協力を呼びかけると、何年もマーク収集を続けていた人がいることも分かり、「ベルマークの掘り起こしを実感できた」と村上さん。日頃から関わりのあった近隣の重井小学校、重井中学校にも収集BOXを置いてもらえることになりました。館内には大きな掲示物も貼り、現在も継続して協力を呼びかけています。

 登録からしばらく経った2022年6月。公民館に、ある会社の社員が訪ねてきました。ベルマーク協賛会社、キリンビバレッジ西日本統括本部中四国支社の金田秀男さんと、同社と自動販売機事業で業務提携をしているヤクルト山陽直販カンパニールート営業部の岡田昌治さんと松井卓磨さんです。担当エリアを回っていたところ、「公民館がベルマーク活動をしている」という話を聞きつけ、興味を持ったといいます。

 実は金田さん、ベルマークに着目し、新しいことに取り組みたいとちょうど考えていたところでした。ベルマーク運動を改めて勉強し、知ったのが「テトラパック」。身近にあった、一緒に仕事をしているヤクルトの商品の多くがテトラパック社製だと発見しました。

公民館が特に力を入れているのは、テトラパックの開き方の説明

 「ベルマークとテトラパックの収集に協力し、公民館に寄贈すれば、社会貢献ができるかもしれない」。金田さんはヤクルト山陽に早速共有しました。

 取引のある企業だけでなく、それまで取引のなかった企業にも、収集BOXの設置をお願いして回りました。中でも、特に気にかけてくれたのは因島鉄工業団地の皆さん。因島は造船業が有名で、鉄工業団地協同組合には13社が加入しています。岡田さんによると「集まったマークは取りに行くつもりでしたが、自ら持ってきてくれた方もいた」ほど、活動の趣旨にすぐ賛同を得られたそうです。

前列左から、重井公民館の村上真菜江さん、小森健治館長、柏原千代美さん。後列左から、キリンビバレッジの金田秀男さん、ヤクルト山陽の松井卓磨さん、岡田昌治さん

 自社の社員には、収集を呼びかけるだけでなく、積極的に情報共有もしています。キリンビバレッジの金田さんは、全体会議で重井公民館の事例を発表しました。ベルマークについて金田さんに問い合わせがくることもあり、「コロナ禍で会話は減ってしまったかもしれないけれど、『ベルマーク』を共通とした会話がひろがった」と実感しているといいます。ヤクルト山陽の岡田さんはこの事例を、西日本の約30の販売会社が参加する社内コンテストに応募することになりました。自社の商品が、実はベルマーク運動にもつながることはまだ知られていなかったようです。題材選びは、全会一致でベルマークに決まったそうで「ほかの販売会社にもこの取り組みを知っていただけたら」と岡田さん。

ベルマーク付き商品をポスターにして掲示
キリンビバレッジの商品も紹介


 職員の村上さんは「コロナがなかったらベルマーク活動はしていなかったかも」と活動当初を思い返します。運動参加の提案を快く受け入れた小森館長と、公民館に参加資格があることを調べていた柏原さんに、「ベルマークのかねださん」を目指すキリンビバレッジの金田さん、ベルマークと新たにつながったヤクルト山陽の岡田さんや松井さんが加わり、社の取り組みとして発展することで、活動の輪は一段と大きく広がりました。

 「別々の団体だからといってがんじがらめになっていたら、活動はひらけなかった」という館長の言葉からは、公民館の持つ新たな可能性を強く感じました。


重井港までは高速船で
重井港に到着
地域の皆さんに楽しんでもらえるよう飾り付けにも力を入れている

ベルマーク商品

ベルマーク レディース ビッグベル Tシャツ

ベルマーク検収

今週の作業日:4/22~4/26
2/16までの受付分を作業中