風って不思議だね/新潟県長岡市の太田小中学校で理科実験教室


(2023/12/20)印刷する

 新潟県長岡市にある市立太田小中学校(渡邉節子校長、児童46人)で11月30日、ベルマーク財団のへき地校支援事業のひとつ「理科実験教室」が開かれました。

 講師は富山大学教育学部准教授の月僧(げっそう)秀弥先生です。福井県内の小中学校で理科教師をしていた月僧先生は、全国各地で理科実験やサイエンスショーを実施しています。「第8回小柴昌俊科学教育賞」優秀賞など多くの受賞実績のある、理科実験のトップランナーです。

 体育館に置かれた長机には、何やら不思議な器具がいっぱい。この日をとても楽しみにしていたという子どもたちが目を輝かせて見つめています。

 月僧先生がまず取り出したのは、小さなガスボンベのような容器。ふたを開け、中に入っている液体を別の容器に移すと、なんと霧のような白い煙が発生し、机から体育館の床に広がりました。わあーと子どもたちが声をあげます。

 「これは液体窒素。マイナス196度で沸騰するから一瞬で気体になるんです。温度を測ってみましょう」

 月僧先生はそう言うと、液体窒素の入った容器を子どもたちの前に持って行き、特殊な温度計を突っ込みます。恐る恐る見つめる子どもたち。


 すると、月僧先生は液体窒素を少し、体育館の床の上に垂らしました。

 あっ、と声。床に落ちた液体窒素は一瞬で蒸発し、跡形もありません。

 「マイナス196度の液体窒素にとって、体育館の床は熱せられたフライパンなんです」

 後半は、風の実験です。

 月僧先生が取り出したのは、ブロワーと呼ばれる装置。落ち葉などを吹き飛ばすために使われる強力なドライヤーです。このブロワーの吹き出し口を上向きに固定しました。

 続いて取り出したのは、地球儀柄のビーチボール。ブロワーのスイッチを入れ、下から吹き上がる風の上に地球儀をのせたらどうなるか。

 「天井まで行く」

 「どこか遠くに吹き飛ぶ」

 子どもたちが答えます。

 では、確かめてみましょう。

 ブロワーのスイッチを入れ、地球儀を乗せると…

 あら不思議、地球儀がふわりと空中に浮かび上がりました。

 じゃあ、さいころ型の発砲スチロールではどうなるのか。

 残念、こちらはどこかに飛んで行っちゃいました。


 この違いは何なのか。

 今度は自分たちで実験です。

 用意するのは、透明のプラスチックコップ2つ。コップの底同士をセロハンテープでくっつけて砂時計のような形にします。くびれの部分にクリップを付け、輪ゴムをクリップにひっかけてくびれの部分でグルグル巻きにします。そしてコップを回転させながら飛ばします。

 飛ばし方によっては、野球のカーブのように曲がったり、ブーメランのように戻って来たり。

 「あれえ、うまくできない」

 「先生、どうするんですか?」

 「あっ、飛んだ飛んだ」

 「すごい、曲がってる」

 体育館に、色んな声が響きます。子どもたちも先生たちも工作に悪戦苦闘しながら、この不思議な空気の現象に夢中になっていました。


 「回転させながらコップを飛ばすと不思議な動きをしますね。『マグヌス効果』とか『ジャイロ効果』といって大学で勉強する現象です。テレビや本で見るのとは違って、実際に自分でやってみると、よく分かると思います。これからもいろんなことをいっぱい体験して、なぜそうなるのかよく考えてください」と月僧先生。

 授業を振り返って、中学3年の野口愛さんは「液体窒素を使った実験は初めてでした。ふだん何げなく日常生活で見たり感じたりしている風の実験は不思議で面白く、勉強になりました」。小学3年の篠崎真歩さんは「実験を見たり、やったりするのは面白く楽しかった」と感想を話しました。

 太田小中学校は、JR長岡駅からバスで約30分の山間部にある小中一貫校です。2000年度に長岡市の新制度として始まった「オープンスクール制度」の対象校で、児童・生徒46人のうち44人は学区外の地域から通っています。学校の近くには、商売繁盛、金運アップの御利益があるとして全国から参拝者が絶えない「髙龍(こうりゅう)神社」や、龍神伝説が残り、長岡の奥座敷として親しまれている「蓬平(よもぎひら)温泉」があります。豊かな自然の中、地域の人たちとともに様々な活動に取り組んでいます。

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