雪と氷の世界を再現/愛知・豊根村立豊根中で理科実験教室


(2023/04/12)印刷する

 ベルマーク財団のへき地校支援ソフト事業のひとつ「理科実験教室」が1月13日、愛知県豊根村の村立豊根中学校(原田基寛校長、生徒22人)で開かれました。講師は、北海道紋別市にある道立オホーツク流氷科学センターの学芸員、桑原尚司さん。クリオネの研究者として知られ、科学教室を主催したり、体験学習の講師を務めたりしています。

 この日は生徒21人が理科室で、雪や氷にちなんだ実験をしました。授業は冬の北海道の紹介から始まりました。雪に埋もれたブランコ、煙突にできたつらら、流氷まつりでの氷のすべり台など、見たことのない風景に驚く子どもたち。流氷が漂着するオホーツク沿岸では、流氷を砕きながら進む観光船から、氷の上にたたずむゴマフアザラシを見ることもできると桑原さんは紹介しました。

流氷の上にたたずむ可愛らしいゴマフアザラシ
翼を広げると2m50cmにもなるオオワシ

 最初の実験は、「ダイヤモンドダスト」の再現です。大気中の水蒸気が凍って結晶化したものが太陽の光を浴びて輝く自然現象で、無風の極寒の川や湖などで見られます。それを理科室の実験台の上で再現します。四角い発泡スチロール箱の中央に金属の筒を入れて、周囲にドライアイスを敷き詰めます。息を吹きかけて水蒸気を満たし、ドライアイスを削り入れます。そこをLEDライトで照らすと、キラキラと輝き、再現成功です。

ダイヤモンドダスト、見えた

 水が凍る瞬間を観察する「過冷却」の実験では、氷の入った小さなバケツに、水と塩を入れてかき混ぜ、ゆっくりマイナス10度まで温度を下げていきます。そこに海水の入った試験管を入れても、凍りません。しかし、その試験管に氷を一粒入れると、一瞬で白く凍りました。子どもたちは「すごい」「なんで?」と驚きました。海水はマイナス1.8度で凍り始めますが、ゆっくり冷えると凍らない場合があります。氷を入れて刺激を加えることで、一気に凍ったこの現象が「過冷却」です。

一瞬で凍った!

 続いて、流氷について学びます。「流氷はこれだ!」と白い氷の塊を披露した桑原さん。オホーツク沿岸は、北半球の海が凍る場所で最も南に位置しています。この場所が凍るしくみは「アムール川の大量の真水が注ぎ込み、海面近くに50mの塩分の薄い層ができるから」。海面と海底では塩分の濃度が異なり、混ざりにくいため、二層に分かれています。塩分の薄い上層は凍り、それがシベリアからの冷たい風と海流によって運ばれ、厚い流氷になります。

 次は、本当に混ざりにくいのかを調べる実験です。試験管に青く色の付いた濃い塩水を半分まで入れた後、透明な薄い塩水をスポイトで静かに注ぎます。すると、塩分濃度が高い青い水が下に沈み、くっきりと二層に分かれました。

くっきり二層に分かれた

 最後はクリオネの観察です。桑原さんはペットボトルに入ったクリオネを用意していました。翼足(よくそく)を羽のようにパタパタと動かす様子に「かわいい」「写真撮りたい」と目が釘付けです。クリオネは巻貝の仲間で、生まれた時には貝殻を持ち、成長するとその貝殻を失います。バッカルコーン(触手)を使った捕食の様子や、桑原さんらが発見した新種のクリオネなどが紹介されました。一種類の貝しか食べず、餌やりが難しいといいますが、何も食べなくても長期間生きるそうです。

クリオネはカタツムリの仲間だと思う?に挙手
クリオネの捕食シーンにびっくり

 桑原さんは理科について、「仮説を立てる、実験する、結果が出る、考察する」の4つで成り立っていると話しました。結果を正しく考察するためには、「さまざまな物事の標準となる『当たり前』を知っておくことが大切。世界は広く、行った先々に当たり前がある。アンテナを張って、いろいろなことに興味を持ってください」と子どもたちに語りかけました。

 代表生徒は「たくさんの不思議な実験ができて楽しかった。初めてクリオネを生で見ることができ、嬉しかったです」と感想を伝えました。

全員で記念撮影。上段左から4番目が桑原さん

英語で表記された教室名

 豊根中はJR豊橋駅から電車とバスを乗り継いで、3時間弱の位置にあります。学校は山に囲まれ、かつては全寮制で寄宿舎が併設されていました。現在、寮は閉鎖となりましたが、学校から遠い生徒は無料のバスで約40分かけて通学しています。同校では、スピーチコンテストや海外でのホームステイなど、英語学習に積極的に取り組んでいます。学校の周辺に学習塾はありませんが、隣町に英語教室があり「小さい頃から英語に慣れ親しんでいます」と髙森彦輝先生が教えてくれました。

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