Dr.ナダレンジャーとナダレンコが理科実験教室/福島・いわき市立田人小


(2023/03/17)印刷する

 ベルマーク財団のへき地校支援事業のひとつ「理科実験教室」が12月1日、福島県のいわき市立田人小学校(高萩雅人校長、児童33人)で開かれました。講師は「Dr.ナダレンジャー」こと国立研究開発法人防災科学技術研究所の納口恭明さんと、助手の「ナダレンコ」こと罇(もたい)優子さんです。実験道具を使いながら、全校児童が災害のしくみについて学びました。

 子どもたちが体育館にやってくると、待っていたのはメガネに地下足袋という怪しいいで立ちのふたり。ナダレンジャーとナダレンコです。子どもたちは興味深そうに駆け寄ります。

 まずはナダレンジャーのおなじみの質問からスタートです。「ナダレンジャーを見てかっこいいと思う人?」との問いかけに子どもたちはシーン。「不審者だと思う人?」との問いかけには「はーい」と元気よく手を挙げました。「2番目に手を挙げた人、正しいと思うよ。こんな人が来たら近づかずに先生に知らせてね」

 不思議な見た目のナダレンジャーですが、実は防災科研の研究者です。災害のしくみを学ぶ楽しい理科実験教室の始まりです。

「ナダレンジャーとナダレンコを不審者だと思う人?」に「はーい」

 ナダレンジャーがまず取り出したのは「突風マシン」。プラスチック製バケツで作った空気砲です。ビニールを持ったナダレンコが7mの距離から空気砲を受けると、距離が離れているのに風が届きました。ナダレンジャーによると、この突風マシンが体育館くらいの大きさだとすると、人間はアリぐらいの大きさになり、100メートル以上飛ばされてしまうそう。「災害を起こす自然現象は、ミニチュアにするとおもちゃでも、巨大化すると怖くなる」とナダレンジャーは伝えました。

突風マシンの風が当たった
離れた場所でも風が届いてびっくり

 次はナダレンジャーの専門分野、雪崩の実験です。透明な容器の中に、水と色の付いた液体が入っているのが「ナダレンジャー1号」。それを小さなサイズにした「2号」と「3号」もあります。容器を傾けると、液体の先頭がヘビの頭のような形になる雪崩のミニチュアです。続いてナダレンコが取り出したのは長く大きなビニール袋。中には発泡スチロールの細かい粒が入っています。走って中に空気を入れると巨大な「ナダレンジャー0号」の完成です。子どもたちの目の前で傾けると、流れてくる粒に「速い!」と反応がありました。

 「東京ドームにこの粒を満タンにつめて山の上から流すと、先頭の速度は新幹線と同じ時速300kmくらい」とナダレンジャー。他にも、高さ10m級の津波の速さはウサイン・ボルトの世界記録と同じくらいということや、津波が来ると分かったらすぐに逃げること、落石事故で、家族が縦1列になって落ちてくる岩をすべて避けて助かった話もしました。「自分の命は自分で守ること」の大切さを語りかけました。

ナダレンジャー1号を傾けると、先頭がへびの頭のような形になった
「ナダレンジャー0号」で雪崩をシミュレーション

 地震による液状化現象をペットボトルで再現するのが「エッキー」。砂と水、針のついた丸ピンがペットボトルの中に入っています。それを逆さにして沈むまで待った後、指先でボトルの表面を弾くと、丸ピンが砂から浮き上がりました。地震発生時にマンホールが地面から1m以上飛び出た写真を見せながら、「ボトルをたたいた振動が地震の揺れ、出てきたピンがマンホール。ペットボトルの中で同じ現象が起きました」と解説しました。

 次は、大きなペットボトルの中で砂と水を混ぜてから、ボトルを静止させて砂を静かに沈ませます。このボトルを左右に揺らすと、ボトルの中の砂も液体のように揺れ、やがて固まります。このとき、砂の表面は最初のときよりも1cmくらい沈下しているのが、目印としてボトルに巻きつけている輪ゴムからわかりました。ボトルを揺らすかわりに、ボトルのふたを開けて砂の上に棒を立てて、テーブルをたたくと、棒は砂の中に沈みます。軟弱地盤、地盤沈下、液状化による電柱の沈み込みの再現です。

 「実験は面白いよね。でもマンホールが浮き上がったり、電柱が沈んで電線がぶら下がったりしたら実際は怖いということを忘れずにね」

みんなでエッキーの実験にチャレンジ
砂からピンが浮き上がってびっくり

 地震の揺れ方は「ゆらゆら3兄弟」を使って学びます。高さの異なる3つのスポンジをビルに見立てて揺らす実験です。ゆっくり揺らすと長いスポンジが、速くすると短いスポンジが揺れました。「東日本大震災のときに東京や大阪のビルがこんにゃくのように揺れたのは、背が高いからではなく、ビルが揺れるような地震がきたからです」

 これを応用したのが最後の大きな実験。車輪が付いた板の上に発泡スチロール製のブロックを積み上げます。児童2人がブロックの両側に、両腕で頭を抱えて、ダンゴムシのような丸い体勢をとります。ナダレンジャーがゆっくり台を動かすと、ブロックが崩れ、大きな歓声があがりました。

スポンジをビルに見立てた 「ゆらゆら3兄弟」実験
積み上げた発泡スチロールのブロックが一気に崩れ落ちた

天井まで高く伸びるポールの揺れ方も観察した

 最後は、素顔に戻った納口さんと罇さんが質問に答える時間です。「実験する場所はどこにありますか?」との質問には、「茨城県つくば市にある研究所で、実験をしている秘密基地があります」と納口さんがユーモアを交えて答えていました。

素顔の納口さんに質問する子どもたち

 田人地区はいわき市の南部、JR常磐線の植田駅から車で約20分の場所にあります。東日本大震災の影響や、児童数の減少から2014年、この地区にあった小中学校9校が再編され、田人小学校、田人中学校の2校が小中一貫教育推進校として開校しました。2016年には、いわき市で初めてコミュニティ・スクール(学校運営協議会設置校)になりました。「田人の活性化」「田人を支える人材育成」を目的に、学校と保護者、地域が一体となって知恵を出し合い、学校運営に携わっています。特産品のこんにゃく芋や自然薯の栽培を授業に採り入れるなど、地域とともにある学校づくりを進めています。

ナダレンジャーとナダレンコを囲んで記念撮影

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