郡上市立高鷲北小で理科実験教室
(2019/08/06)印刷する
講師の先生たちと岐阜県の郡上八幡駅で待ち合わせました。少し早く着いたので街を歩くと、長良川の支流、吉田川で、子どもたちが岩の上から豪快に飛び込む姿を見ることができました。
先生と合流して車に乗せてもらい、北へ走ること約1時間。郡上市高鷲町の「ひるがの高原」に入りました。長良川の源流域にあたるところです。ここには「分水嶺公園」という名の公園があり、降った雨が太平洋と日本海に分かれて流れて行きます。日本列島のまさに「背骨」ともいうべきこの高原にある、郡上市立高鷲北小学校が、今回の理科実験教室の舞台です。
講師を務めるのは、NPO法人サイエンスものづくり塾エジソンの会(華井章裕代表)の8人。7月27日、そろいの黄色いポロシャツに緑のエプロンスタイルで朝から同小体育館にスタンバイ。先生や保護者、中学生ボランティアらとワークショップ等の準備を進めます。そのうち少しずつ子どもたちが集まってきました。夏休み中でもあり、お父さんやお母さんと一緒の子も多いです。地元の郡上ケーブルテレビも取材にきてくれました。
午前9時すぎ、約80人の児童らが、期待に胸をふくらませて、体育館の中央に座りました。華井代表によるサイエンスショーの始まりです。まずは子どもたちの間に、色とりどりのペンシルバルーンが飛ばされます。それが空中でぱーんと破裂。「やってみたい人?」「はい!」「はーい!」と一斉に手があがります。
そこからは、怒濤のような実験ラッシュ。コップからこぼれない水、沈まないビー玉、手のひらで一瞬燃える不思議な綿、踏んでも痛くない600本の釘の台……。子どもたちの歓声が途絶える暇もないほどです。箱の後部をたたくと、前部にある穴から勢いよく煙の輪が飛び出す空気砲の実験では、飛んできた煙に触れようとしてみんなぴょんぴょん。箱を叩く役には長い列ができました。
「コップの中見せてー」「見せたらバレるわ」。軽妙なやりとりを続けながらも、華井さんは時折、「これは5年生の圧力のところで習います」「今のは中学校で勉強します」と説明。でも、それ以上は言わず、ネタばらしはしません。「どうしてそうなるか、なんて今覚えなくていい。理科が嫌いにならなければ」と華井さん。
ショーに続いては、ワークショップです。「三角錐の万華鏡」「くるくるレインボー」「サラダ油キャンドル」「スライムを作ろう」「ビー玉オルゴール」「トロフルックス」という6つのブースに分かれ、先生や保護者、中学生ボランティアらの協力の下、科学的なものづくりを体験します。ひとつ作ると次は別のブースへ。子どもたちは夢中になって体育館を駆け回っていました。
藤木秀泰校長先生は「子どもたちの、とてもいい表情が見られました。ふだんはおとなしい子も、進んで手をあげるなど、積極的に動いていたのがよかった」と笑顔で話しました。
理科実験教室は、ベルマーク財団のへき地支援のソフト事業として1990年から始まりました。2018年度までに合計228回開催。今回の高鷲北小は、今年度最初の教室でした。
エジソンの会は、岐阜市立柳津小のPTA歴代役員が中心メンバーとなり、岐阜県内外で毎年80回以上の出前授業をしています。高鷲北小学校とは15年以上も交流を続けていて、毎年のように科学実験教室を開いてきているとのこと。6年生の川尻歩南くんは「この教室に参加して理科が好きになりました。サイエンスショーが楽しいです」。教科の担当でも理科係をするようになった、と話してくれました。