静岡・戸田小で理科実験教室、氷の世界に興奮


(2016/03/28)印刷する

ダイヤモンドダスト、クリオネで楽しむ

 へき地学校を対象とした理科実験教室が1月、静岡県沼津市の戸田(へた)小学校(鈴木光久校長、84人)で開かれ、4年生以上の38人が参加しました。講師は「クリオネ先生」で知られる北海道紋別市の道立オホーツク流氷科学センターの桑原尚司(たかし)学芸員です。

映像を見せながら子どもたちに冬の北海道の話をする桑原尚司先生

 最初はダイヤモンドダストを再現する実験です。四角い発砲スチロール箱のふたに丸い穴を開け、茶筒を差し込んであります。箱にドライアイスを入れ、筒の中を冷やします。そこに息を吹きかけると、空気に含まれた水蒸気がゆっくりと凍り始めます。ライトで照らすと、ゆらゆらと漂っていた白いものがキラキラ輝きだします。これがダイヤモンドダストです。子どもたちは「まばたきしているみたい」と興奮していました。

ダイヤモンドダストの再現実験をする子どもたち

 次は水が凍る瞬間を観察する過冷却実験です。バケツの中の氷水に塩を加えながら棒でかき混ぜていくと、マイナス10度近くまで水温が下がります。その中に海水の入った試験管を入れ、待つこと3分。持ち上げて見ると、海水はまだ液体のままです。そこへ小さな氷のかけらを静かに落とすと、海水はドミノ倒しのように瞬時に凍りついていきます。

 子どもたちは「今の見た?」と驚いています。「あんな笑顔みたことないなあ……」と先生たちも嬉しそうです。

 水は0度以下になると凍りますが、振動をあたえずに冷やすと凍らないことがあります。これが過冷却といわれる現象です。その状態の水は、氷のかけらなどできっかけを与えられると凍りつきます。

 子どもたちは、水が自然界では気体・液体・固体とかたちを変えながら存在していることを学びました。

 桑原先生は、オホーツクから送った30センチ四方の氷の塊を取り出しました。流氷です。子どもたちは「見たのは初めて!」と、こわごわさわっていました。

 クリオネの観察もしました。戸田小近くの道の駅でも飼われていたそうで、見たことがある児童が3分の1近くもいました。それでも、クリオネが入ったペットボトルが配られると、「一匹死んじゃったのかなあ。沈んだまま動かない」。しばらくすると動き出し、子どもたちもほっとした表情でした。

 クリオネは、成長すると貝殻を失いますが、巻貝の仲間です。ゆらゆらと遊泳するかわいらしい姿から、「流氷の天使」とか「氷の妖精」と呼ばれています。

過冷却実験をするため氷水の温度の確認。中央奥は鈴木光久校長

 「何を食べるんですか?」「どのくらい生きられるんですか?」「卵から生まれるんですか?」。桑原先生への質問が途切れません。桑原先生は「なぜだろう?と思ったら、観察して実験してみる。失敗しても成功してもその理由を考えてみましょう」と話し、成功するまで粘り強く挑戦することの大切さを訴えました。

 理科大好きという6年生の佐藤優さんは「温暖な戸田とは違うオホーツクの気象や生きものについても教えてもらえて、とても楽しかったです」と話してくれました。

 鈴木校長は理科の先生です。「いつもは授業中に質問しない子が身を乗りだして実験を見ているのにはびっくりしました。今日の授業が何かのきっかけになれば嬉しいですね」

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