トヨタの技能専修コースが岩手・大船渡市の学校へ累計220万点超を寄贈


(2021/05/10)印刷する

 トヨタ自動車(本社・愛知県豊田市)の若手社員がベルマークを集め、東日本大震災被災地、岩手県大船渡市の学校に、地元のコーディネーターの協力を得て寄贈しています。2020年度も27万余点を寄贈。これで寄贈したベルマークの累計は224万点超になりました。

2020年度は大船渡市立赤崎小に寄贈された

 同社で実施されている研修「技能専修コース」の受講生による活動です。この研修は、設計や工場生産などの部門で将来のリーダーを育てるために毎年実施されています。

 東日本大震災の後、トヨタ自動車はグループ会社をあげて、社員たちが被災地支援のボランティアなどに携わりました。同コースの受講生も募金活動をしていましたが、その後2014年度からベルマーク収集に切り替え、自分たちで仕分け・集計して寄贈する活動を続けています。

 過去には年に2回開かれたこともあったそうですが、最近は年1回の開催。2020年度は20代半ばの社員60人が4月下旬から3カ月半、研修施設に集まって学び、さらに販売店実習などに取り組みました。その過程で、受講生で作る委員会(10人)が中心になり、研修施設内に回収箱を置き、ポスターを貼って収集を呼びかけました。さらに受講生各々が家族、友人、職場、実習先へと呼びかけて協力の輪を広げていきました。また、以前に同コースを受けた社員からも、マークが寄せられたそうです。

 研修の事務局を担当するトヨタ技能者養成所のチーフエキスパート・長岡享史(たかひと)さんは「協力者を増やしながら自分たちの思いを広げる、というベルマーク活動は、今後の仕事に生かすことができる」と話します。受講生からは「誰かのために役に立てると実感」「研修後も自分たちができることを続けていきたい」との声があったそうです。

仕分け・集計は受講生たちが行う
作業後のベルマーク

 集計したベルマークは、トヨタ自動車の社会貢献推進部を通じて大船渡市内の学校に贈られます。2020年度の寄贈先に選ばれたのは、大船渡市立赤崎小学校(細川佳紀校長、児童119人)でした。今年3月17日にオンラインで寄贈式が開かれました。研修のアドバイザーを担当したトヨタ自動車の渡辺超(たかし)さんが「マークをぜひ有効に使って」と話し、赤崎小児童会の代表がお礼を伝えました。届けられたマークは、会社ごとに茶封筒に分けて箱詰めされ、箱の側面には受講生全員の顔写真が貼られていたそうです。「子どもたちに笑顔を届けたいという想いで集めました」とのメッセージも添えられていました。

 赤崎小は津波で校舎が全壊し、市立蛸ノ浦小に間借りした後、2017年度に学校統合して高台の新校舎に移りました。震災から10年が経ちますが、細川校長は「心のケアはまだまだ必要」としたうえで「支援はありがたいこと。遠くにある愛知との絆を感じます」と話します。

赤崎小に届けられたベルマークの箱

 ベルマークの寄贈は、大船渡市に拠点を構える商社「カメリア社中」の代表取締役・佐藤優子さんがコーディネートしました。

 震災後、トヨタなど愛知県内の企業・団体は、被災地救援を掲げるNPO法人「愛知ネット」を通して支援を実施していました。佐藤さんは愛知ネットの気仙事務局に勤めていて、トヨタによるベルマークの寄贈先をコーディネートしました。佐藤さん自身も大船渡の出身。震災当時の職場や自宅は高台にあったため津波を免れましたが、甚大な被害を受けた町を目の当たりにしました。その後、愛知ネットに転職して活動を始めたそうです。

 2015年、佐藤さんは三陸の水産品や特産物を全国に販売するカメリア社中を立ち上げ、コーディネーターの業務も愛知ネットから引き継ぎました。社名の「カメリア」は大船渡市の花ツバキの別名、「社中」は坂本龍馬がつくった「亀山社中」が由来です。「ここ大船渡で、物や人同士をつなぐ商社に」との思いから、仲間と一緒に名付けたそうです。

 「津波は一瞬で大切なものを奪い去りましたが、新しいご縁を運んで来てくれました。その一つがベルマークです」と佐藤さんは語りました。

佐藤優子さん

ベルマーク商品

ソプラノリコーダー 702BW(G) / 703BW(E)

ベルマーク検収

今週の作業日:4/15~4/19
2/14までの受付分を作業中