「やっと自分たちの校舎ができた」/北海道地震で被災、安平町立早来中学校


(2019/01/29)印刷する

3学期からプレハブの仮設校舎に入居

 新千歳空港から雪道を車で20分ほど走ると安平町に入ります。酪農や競走馬の生産、スケート競技などが盛んな内陸の町です。訪れたのは1月22日。前日はかなりの雪が降ったそうですが、この日はよく晴れていました。町役場から少し行くと、プレハブ作りの2階建ての建物が見えてきました。それが安平町立早来中学校の仮設校舎です。

プレハブの仮設校舎
校舎内の廊下


 昨年の北海道胆振東部地震では、震源地の厚真町や隣接する安平・むかわ両町の学校も大きな被害を受けました。中でも早来中は校舎の損壊度が大きく、建て替えないといけないことになり、その後の授業は町民センターの会議室をアコーディオンカーテンで仕切って行われていました。3学期になって、ようやく町が建設を進めていた仮設校舎に引っ越すことができ、前週にあった始業式には全道のマスコミが取材に来たそうです。

 「前の校舎は床にひびが入り、敷地には地割れが生じて、とても使える状態ではありませんでした」と村田宏文校長。校舎は耐震補強されていたので倒壊は免れましたが、それでも補強の鉄骨が曲がったり、天井からコンクリートがはがれて落ちたりと、すさまじい状況だったそうです。「発生が未明ではなく、もし昼間だったら、生徒に被害が出たかもしれません」。

被災した旧校舎は立ち入り禁止

 同校は生徒111人で全4学級。プレハブ校舎には、普通教室4、音楽や理科など特別教室4、それに職員室、保健室など最低限の設備が用意されました。プレハブだけに寒いかと思いきや、しっかり暖房され、意外に温かかったです。「ただのプレハブではなく、断熱材が入った寒冷地仕様になっています」と小笠原伴行教頭。とはいえ、校庭や体育館は、道向かいの早来小学校のものを借りている状態。「昼休みに遊ぶところもなくて……」と村田校長は不憫な思いを口にします。

 それでも、そろいのジャージーを着た生徒たちは元気いっぱいに授業を受けていました。写真を撮る際にはじけたポーズを頼むと、照れながらもピースサインを作って笑顔を向けてくれました。1年生の小野功貴くんは「町民センターに比べて、ここはちゃんと〝校舎〟だという感じがする。体育館のない仮設のプレハブだけど、そんなに不便は感じません」と、たくましく答えてくれました。

そろいのジャージーで授業を受けています
はじけたポーズをとってくれました


 町では校舎の建て替えを機に、早来中と早来小を一体化して小中一貫の義務教育学校としたい考えだそうです。現在の計画では校舎の完成は2021年7月、開校は22年4月。つまり、今通っている生徒たちは、このプレハブ校舎から巣立っていくことになります。村田校長は「今度の4月に入学する生徒には、せめてプレハブを出てから卒業させてあげたいです」と話していました。


 北海道地震でベルマーク財団は、厚真・安平・むかわ3町の小中学校のうち、被害の大きかった8校に対して援助を実施しました。また、昨夏の西日本豪雨では広島・岡山・愛媛3県で被害の大きかった計43校に援助を実施しました。援助額はあわせて1120万円になります。

震災直後の写真。鉄骨がゆがんだ
図書室の本棚も倒れた
ロッカーが倒れた教室
地割れも生じた

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