Dr.ナダレンジャーの防災科学教室/東京・町田市立忠生第三小


(2020/12/04)印刷する

 東京都町田市にある市立忠生第三小学校(西久保律子校長、585人)で11月24日、防災科学教室が開かれました。ベルマーク財団と国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)との共催で、2018年度から始まったプログラムです。コロナ禍の中での開催でもあり、体育館に集まった3年生109人は全員マスクを付け、左右の距離をとって座って待ちます。

 そこに現れたのは、防災科研の研究者で講師の納口恭明(のうぐち・やすあき)さんと、罇優子(もたい・ゆうこ)さん。マスク姿の納口さんが「それじゃあ、今からDr.ナダレンジャーとナダレンコに変身します。気持ち悪いけど大丈夫?」と言うと、子どもたちはクスクスと笑い出しました。2人はさっそく金色とピンクのカツラを頭にかぶせ、怪しいメガネにフェイスシールドまで着用。足元はともに地下足袋です。ナダレンジャーに変身し終えた納口さんが「私たちは不審者ではありません」と言うと、「アハハハ」と子どもたちの大きな笑い声が響きました。

突風マシンからは空気のかたまりが飛んで来る
真ん中に渦のある台風も、小さくしたら皿回し!?
雪崩の専門家なので、正しい区切りは「ナダレ・ンジャー」とか

 ナダレンジャーがはじめに取り出した「突風マシン」は、穴のあいたバケツで出来た空気砲です。子どもたちに風を当てようとすると、みんな興味津々で自ら当たりに行きます。ここで「もし、これが体育館の大きさぐらいに超巨大化したらどうなる?」と問うナダレンジャー。そうなったら人間は遠くに飛ばされ、大けがして死んでしまうかもしれません。でも、今子どもたちの目の前にあるのはミニチュア。「災害を起こす自然現象も同じで、小さくしたら怖くない」のです。

怖い雪崩も30cmの世界だと楽しいな
「ナダレンジャー0号」の迫力に、先生も思わず顔をそむける
傘回しは転がり続ける落石のシミュレーターだとか!?

 次に披露したのはミニチュアの雪崩を体験できるおもちゃ。長さ30センチの長方形の透明な容器に、水と色のついた粉が入っています。水が空気、粉を雪と例えます。斜めに傾けて下からのぞくと、自分が大きな雪崩に巻き込まれたような体験が出来ます。それをさらに大きくした「ナダレンジャー0号」は、3.5mの長いビニール袋に発泡スチロールの粒が入っていて、向かってくる流れの迫力が増します。「発泡スチロールは軽いけれど、空気の50倍の重さ。東京ドームいっぱいの発泡スチロールを山の上から一気に流すと、新幹線と同じくらいの速さになるよ」と巨大化したときの怖さを説明しました。

 「軽いものでそんなに怖かったら、重いものはもっと嫌だよね」とナダレンジャー。大きな石を見せながら、富士山で落石事故に遭った家族が、縦一列になって、落ちてくる石を避けて逃げ切った話をします。子どもたちに伝えたいのは「自分の命は自分で守ること」の大切さ。大災害の時は助けを必要とする人が多く、誰も自分を助けてくれないかもしれません。だから、自分で自分を助けることが大切なのです。

「浮き上がるエッキー」を持つナダレンコ
東日本大震災ではマンホールが浮き上がった

砂の量が増えた?いや、水が混じったから。軟弱地盤の実験
電柱が土砂に埋まる液状化を再現した「沈むエッキー」


 ナダレンジャーが20年前以上前に発明した定番の「エッキー」も登場しました。地震によって起きる地盤の液状化を再現するおもちゃです。「浮き上がるエッキー」は、ペットボトルに砂と水、丸ピンが入っていて、よく振ってから静かに待ち、ボトルに“デコピン”すると、底にたまった砂から丸ピンが顔を出します。液状化でマンホールなどが地上に浮き上がるのと同じ原理です。一方、「沈むエッキー」は、ボトルに水と砂、針金を差したスーパーボールが入っています。同じくボトルをよく振ってしばらく待つと、電柱に見立てたピンの先が砂に着地。「3、2、1」の掛け声を合図に“デコピン”して地震を起こすと、ピンは砂の中に一気に沈みます。電柱などが地中に沈み込む現象を再現しています。

「ゆらゆら3兄弟」を揺らしてみる

 「ゆらゆら3兄弟」は地震の揺れの周期を学べるおもちゃです。超高層ビル、中くらいのビル、低いビルに見立てたスポンジを、異なるリズムで揺らします。「ゆーらーゆーらー」とのんびりしたリズムでは超高層ビルがよく揺れ、テンポの良い「ハイハイハイハイ」では中くらいのビル、一番速い「うぃ~」では低いビルが最もよく揺れました。建物には高さによって揺れるリズムがあり、それを「固有周期」といいます。超高層ビルを大きく揺らすのは、周期の長い地震なのだそうです。

長~い棒は大きくしなる。揺れの周期を学習
「ブロックの下敷きになりたいひとー?」「はーい!」


 最後に、高く積んだ発泡スチロールのブロックを揺らして固有周期を観察します。11月生まれの子どもたちが選ばれてブロックの両側に待機し、地震に備えて頭を抱えてうずくまります。ナダレンジャーが「この高いブロック、どう揺らしたらいいかな?」と問いかけると、子どもたちは全員揃って「ゆっくりー!」。掛け声と手拍子に合わせてゆっくり揺らすと、ブロックは見事に待機中の子どもたちの上に崩れ落ちました。「キャー!」と叫びながら、みなとても嬉しそうです。

 授業を終えた子どもたちからは「揺れるのは、建物が高いからではなく、揺れの速さだということを初めて知った」、「デコピンすると浮かんでくるのが、震災の写真と同じ仕組みなのがびっくり」という感想が聞かれました。西久保校長は「楽しみながら防災について学べました。子どもたちへの少し早いクリスマスプレゼントになりました」と話してくれました。

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