500万点達成校・福島県南相馬市立原町第二小学校


(2014/09/08)印刷する

 原発事故の影響で、児童も家庭も激減
「子どもたちのために、コツコツと続けます」

 児童とPTAが協力して取り組んでいる福島県の南相馬市立原町第二小学校(山辺彰一校長)のベルマークが、寄贈マークからの支援分も含め、500万点になりました。592校・団体が参加する福島県では、11番目の500万点達成です。

 南相馬市は2006(平成18)年、原町市と小高町、鹿島町が合併して誕生しました。福島県北東部の太平洋沿岸にあり、いわき市と仙台市の中間にある、人口約6万4千人の街です。相馬の地名は、戦国後期から江戸時代にかけて一帯を領した相馬氏に由来します。毎年7月に行われる国の重要無形民俗文化財、相馬野馬追は同市内で挙行されます。

切りそろえながら仕分け作業に取り組む、左から遠藤洋子さん、猪狩美佐子さん、佐々木香織さん(副委員長)

 11年3月、東日本大震災が発生。東京電力福島第一原子力発電所の事故で、学校は臨時休校となり、児童とその家庭県内外へ自主避難しました。学校は4月22日に再開されますが、約320人いた児童は80人ほどに減っていました。学校一帯は「いざという時、すぐ避難する」という緊急時避難準備地域に指定され、教育活動はできなくなりました。子どもたちは、約15キロ離れた八沢小学校までバス通学となりました。八沢小では、八沢、原町第二、大甕(おおみか)、太田、高平、福浦の6校が一緒に学校生活を送りました。

 指定が解除された12年1月から、本校に戻って授業再開となりました。戻ってきた児童とその家庭は震災前には遠く及ばず、14年9月の在校生は175人です。

 

ベルマーク活動も震災で止まっていました。児童ベルマーク委員会を指導し、活動全体を支える斎藤朋子先生は「PTAが利用している会議室はマークも、使用済みインクカートリッジも床に散乱していて、それはそれはひどい状態でした」と、当時を振り返りました。

 活動が再開したのは13年4月でした。そして5月1日からマークの回収が始まりました。多くの保護者は、活動中止期間中でも、再開に備えてマークを集めていました。

児童ベルマーク委員会の4年生委員さんは、「マークは、このように回収箱に集めます」とみせてくれました

 毎月1日が、マークと使用済みインクカートリッジの回収日です。各クラスは、子どもたちが持参した収集封筒をビニール製バッグにまとめ、教室前の壁に掛けます。これを、児童ベルマーク委員会が回収します(使用済み紙製容器は未着手)。

 児童ベルマーク委員会は、14年度は4年生2クラス、5、6年生各1クラスの計4クラスから選ばれた13人で構成されています。毎月第4金曜日の第6校時が活動の時間です。回収したバッグをPTA利用の会議室に持ち込み、封筒からマークを取り出し、回収箱に入れます。使用済みインクカートリッジは専用回収箱へ入れます。それから、封筒に「ありがとう」のスタンプを押し、バッグに入れ、各教室へ戻します。時間がある時は、マークを協賛会社別に仕分ける作業、カートリッジの箱詰め作業も手伝います。

 

 その後をPTA(家庭数138)ベルマーク委員会(白石かおり委員長、12人)が引き継ぎます。広報、厚生と3つある委員会の一つで、委員は学年委員を兼ね、各学年から2人ずつ選ばれます(震災前には教養、環境の2委員会もありました)。

 5月からの毎月第1火曜日、午前9時から正午前に活動します(8月と3月はお休み)。担当制となっていて、5月は6学年委員2人、6月は5学年委員2人……9月は3学年委員、11月は1学年委員2人が担当します。一巡した12月以後は6学年+5学年、4学年+3学年年生、2学年+1学年委員と4人体制になります。

 

 年9回の活動日には、協力呼びかけに応じたボランティアの協力があります。ただし、どのくらいの人の参加が得られるかは、当日にならないと分かりません。ゼロの日もあれば、10人ほどが駆けつけてくれる時もあります。

 また、副委員長の佐々木香織さん(3学年委員)は、毎回、出席を続けています。その理由を「副委員長でも、担当する日だけ参加すればいいのですが、少しでも作業を進めてゆきたいので、休みを取って」と話します。

掃除機に「ベルマークからの贈り物」シールが張られていました

 作業は、不ぞろいなマークの切りそろえ、協賛会社別の仕分けから始めます。点数別整理では、10枚つづりを、フィルム状マークはホチキス止めに、ほかはテープ止めに作ります。9月の活動日は3学年委員、佐々木さんと遠藤洋子(ひろこ)さんの2人。ボランティアは、3学年委員長の猪狩美佐子さんお一人だけ。参加動機を「人手が要る作業です。お役に立つかな、と思って」と話されます。

 ベルマーク教育助成財団への送票は、年2回としています。1回目は、4学年委員が担当の7月に行いました。10人近くの応援があったので、副委員長の佐々木さんが、通常作業に加えて、集計から整理袋作成までの協力をお願いしたのです。

 整理袋は、斎藤朋子先生に託されます。斎藤先生は送り状を作成し、その時の量に応じて郵便局から、あるいは宅急便で財団へ送ります。斎藤先生はまた、使用済みインクカートリッジの箱詰め、メーカー送りも手伝っています。

 

 支援してもらったベルマーク預金で、学年ごとに掃除機を配備したり、音楽教材としてCDプレーヤーを購入したりしてきています。これらの備品には、「ベルマークからの贈り物」のシールが張られています。

 500万点達成について、副委員長の佐々木さんは「寄贈マークの配分をありがとうございます。地道な作業の繰り返しですが、継続すれば大きな果実になることを学ばせてもらいました。実は私、13年度もベルマーク委員でした。整理が片付かず、2時間無言での作業という日もありました。13年度委員長がマークを自宅に持ち帰り、ご両親に手伝ってもらったという話も聞きました。子どもたちの数は減りましたが、コツコツとでもやればできると前向きに考え、来年度に引き継いでゆきたいです」と話します。また、斎藤先生は「できる範囲内で、これからも協力してゆきたいですね」と話されます。

 PTA執行部の青田直子事務局長は「1961(昭和36)年に取り組み始めてから53年をかけての達成、素晴らしいですね。素晴らしいと言えば、小さな数字でも集めれば、子どもたちに必要な備品が購入できるベルマーク運動も。これからも協力し合って、積極的に進めたいです」と話していました。

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