西日本豪雨で被災した真備中・真備東中にマーク40万点/大手信販会社ジャックスが寄贈


(2019/05/09)印刷する

 昨夏の西日本豪雨は各地に大きな被害をもたらしましたが、なかでも岡山県倉敷市の真備町は川の氾濫で広範囲に浸水し、その映像が全国に流れました。地元の真備中学校、真備東中学校も大きな被害を受けました。この2校に、大手信販会社のジャックス(本部・東京都渋谷区)から、あわせて約40万点のベルマークが寄贈され、両校とも必要な学用品などを購入することができました。4月22日にあった寄贈式を取材し、両校に当時の話などを聞きました。

寄贈式を終えて。前列左から真備東中の瀬島悠介くん、河岡桜香さん、真備中の渡邉空さん、森川龍聖くん、後列左から真備東中の守屋好雄校長、真備中の齋藤善紀校長、ジャックス執行役員中国・四国エリア統括部長の阿保敬吾さん、同岡山支店長の中野徹さん

 真備町は「まび」と読みますが、地元の倉敷市立真備中学校(生徒236人)、同真備東中学校(同396人)は、ともに「まきび」と発音します。このあたりは、奈良時代に遣唐使として唐に渡り、その後朝廷で学者・政治家として重用された吉備真備(きびのまきび)の出身地。地元を走る井原鉄道には、ずばり「吉備真備」という駅もあります。

 2018年7月6日~7日の豪雨で、真備町は河川堤防が決壊し、町内に大量の水が流れ込みました。決壊場所に近かった真備中の水かさは5㍍38㌢にもなり、2階教室の机の上まで浸水しました。真備東中でも水は2㍍66㌢の高さまで達し、2階へ上る階段に当時の水の跡が残っています。

 6日深夜に隣の総社市の化学工場で大規模な爆発事故があり、真備東中では爆風の影響を調べに当時の校長先生が翌朝早く学校に来たところ、そこに水が押し寄せてきました。「気付くと中庭に停めた車が水没し、脱出できなくなっていたそうです。校舎内で1日過ごし、翌日自衛隊に救助されました」と、真備東中の藤本洋子教頭先生。この爆発事故も豪雨のために起きたそうです。

 被災後数日は学校に入れませんでした。水が引いても、校舎は汚泥にまみれ、悪臭が漂い、壁や天井の板材がめくれていました。電気や水道もダメになっていました。2階まで水没した真備中は校舎すべてが使えなくなり、真備東中の校庭に設けられたプレハブ校舎に引っ越しました。真備東中も特別教室などが入っていた1階が使えなくなり、プレハブ校舎に作られた特別教室を真備中と共用で使っています。体育館や校庭も両校で共用です。真備中が自校に戻り、また真備東中も校舎1階が復旧するのは、いずれも来年度になる見込みです。

 生徒の家も多くが被害を受けました。このため、避難先からの通学用に市がバスを用意。現在も9台のバスが7つのコースで通学をサポートしています。訪れた日もプレハブ校舎脇に何台かの大型バスが停まっていました。

校庭に停まっている通学用のバス
真備東中の校舎とプレハブ校舎
真備東中の階段踊り場、線になって残った水の到達点を示す藤本洋子教頭先生
日を決めて真備中と真備東中が共用する図書室
真備東中の1階は使用禁止が続く


 ジャックスは社会貢献活動の一環として社内でベルマーク収集に取り組んでいます。一昨年、同社創業地の函館市の小学校にマークを寄贈。昨年は熊本地震の復興支援として南阿蘇村の中学校にマークを寄贈しました。今年は、西日本豪雨被災地にとのことで、真備の二つの中学校が選ばれました。

 この日の寄贈式は真備東中の校長室で行われました。ジャックスから執行役員中国・四国エリア統括部長の阿保敬吾さん、岡山支店長の中野徹さんが訪れ、真備東中の守屋好雄、真備中の齋藤善紀両校長先生に目録を渡しました。式には真備中の渡邉空(そら)さん、森川龍聖(りゅうせい)くん、真備東中の瀬島悠介くん、河岡桜香(ほのか)さんの4人がそれぞれ生徒代表として参加しました。

 聞いてみると、4人とも家が被災していました。不安な日々を過ごした後、秋に学校が再開したときは「それはもう、うれしかった」といいます。高校進学を控えたいま、それぞれ「野球部で甲子園をめざす」「将来は看護師になりたい」「資格を取って医療関係に従事したい」「いま中断しているサッカーがしたい」などと夢を語ってくれました。

 マーク自体は一足先に寄贈されており、真備中はワイヤレスアンプを、真備東中は英和辞典80冊と体育館用モップを買いました。寄贈式ではこれらの品物も披露されました。真備東中の守屋校長は「温かい支援をいただき、すごく支えになっています。こうした気持ちのつながりが、子どもたちにも伝わり、とてもありがたいです」。真備中の齋藤校長は「災害ですべてなくなった中、学校生活に必要なものをいただけて助かっています。色んな方の支援で学校が成り立っており、感謝しかありません」と話してくれました。両校はベルマーク財団が昨年度実施した西日本豪雨被災校支援の対象校でもあります。

体育館で練習中だったバレーボール部員に元気なポーズをとってもらいました

 学校からの帰り道、近くのJR伯備線清音駅の駅員さんと雑談をしたら、当時ボランティアで泥の掃除にかけつけたのだそうです。「臭いがひどく、悲惨な状況でした。でも、最近はようやく町にも人が戻ってきているのかな」。被災地のさらなる復旧と、子どもたちの夢の実現を願いつつ、列車に乗りました。

プレハブ校舎に貼られた応援メッセージを真備中のバスケット部員たちが紹介してくれました

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