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海外援助特集

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海外に広がるベルマーク援助

 ベルマーク運動は、参加団体のみなさんのベルマーク活動から生まれた寄付を元に、教育環境に恵まれない開発途上国の学校や子どもたちへの援助を行っています。援助は、世界各地で活動する団体をバックアップするやり方を採っています。この海外援助はベルマーク運動の大きな柱になっています。みなさんからの「友愛援助」寄付が実際にどのように役立っているのか、海外で「友愛援助」の対象事業を展開している、ラオスのこども、日本ユニセフ協会など7団体に活動を報告してもらいました。(写真はいずれも各団体提供)

記事目次(2012年度)

貧しさ克服へ手作り幼稚園 日本ユニセフ協会
自然守り「未来のふるさと」を オイスカ
親子協力し衛生的な校庭に シェア
図書室の絵本で「苦手」克服 ラオスのこども
保健を学び家族と共に実践 ジョイセフ
識字教室でキノコ栽培訓練 日本ユネスコ協会連盟
図書館通し難民に「生きる力」 シャンティ国際ボランティア会

貧しさ克服へ手作り幼稚園    日本ユニセフ協会

 寺の境内を借りた幼稚園で、クメール文字を読み上げる子どもたちの大きな声が響きます。ここはカンボジアの首都プノンペンから東に車で3時間半ほど離れたスベイ・リエン州のスベイ・イエアコミューンにあるプレイ・バンティー村。お坊さんたちの読経が終わった朝7時から、子どもたちの勉強が始まります。
 幼稚園は1部屋の間取りで、セメントの床、わら葺(ぶ)きの屋根や壁を竹ひもで編んだ簡素な造り。ここに3~5歳の子どもたち20人が、3時間弱の授業を受けており、半分は女の子です。
 このコミューンにある6つの幼稚園の1つで、4つは公立で、この幼稚園を含め2つは住民たちが作りました。「教育を受けられないと貧しいままであることを、村民は知っています。教育があると、仕事に就くことができるからです」。コミューン評議会委員で、子どもと女性の社会参画担当者のペイン・サオウスさんはそう説明します。幼稚園は彼女の熱意と、村民の協力が結実して開かれました。
 公立幼稚園から遠く離れたこの村にも、幼稚園ができたお陰で、子どもたちの小学校入学への備えが飛躍的に改善しました。「幼稚園は、学校生活に資するだけでなく、その後のより良い人生のための橋渡しになります。村全体が恩恵を受けるのです」とサオウスさん。
 幼稚園作りのきっかけは、サオウスさんの他村の幼稚園視察でした。幼稚園教育の大切さを痛切に感じ、村にはかって決まりました。村の人たちは壁や竹板を供出。床に使うセメントを購入する費用に募金したり、建設ボランティアに参加したりしました。幼稚園開設の事実は重く、村の人たちは共通の目標に向かい努力することの大切さを学びました。
 この事業に、日本ユニセフ協会もお手伝いしました。支援を元に、ソコーエンさんという26歳の女性が教師として採用されました。授業に必要な鉛筆、クレヨン、コピー用紙、フラフープ、縄跳び用ロープなども届けました。日本ユニセフ協会は自助努力で状況を改善しようとするカンボジアでの幼稚園事業を支援しています。

《写真》絵入りのシートを使って勉強する子どもたち=カンボジア・プレイ・パンティー村

 

自然守り「未来のふるさと」を    オイスカ

 「植物や動物がこんなに少なくなってしまっているなんて知らなかった」「自然は守らないと無くなってしまうことや、僕たちの生活もできなくなってしまうことがよくわかった」。オイスカの「子供の森」計画に参加した子どもたちの言葉です。木を植えたことなどなかった子どもたちが、自分たちが植えた木を愛しげに眺め、これから大切に育てていくことを約束してくれました。
 マレーシア・ボルネオ島サバ州の村。東南アジア最高峰で、世界遺産のキナバル山がそびえ、熱帯雨林、マングローブの森が広がり、世界的にも貴重な動植物の宝庫と知られている地域です。
 ここでは、多くの村人たちが木や竹で作った家に住み、電気・水道もないため、薪で火を起し、川や井戸の水を利用するなど、大自然から多くの恵みを受けて生活しています。しかし、今、その自然が森林伐採や大規模なプランテーション開発などで急速に失われています。オイスカはこの地域で子どもたちに森や木の大切さを教え、木を植える活動を支援する「子供の森」計画を推進しています。
 6月には、子どもたちの自然環境への親しみや興味を深めるために「森のつみ木広場」を実施しました。実際に木に触れ、木について勉強し、さらに他の子どもたちと協力し合い、つみ木で未来の「ふるさと」をつくっていくというプログラム。つみ木なんて見たことのないマレーシアの子どもたちは皆、夢中に取り組み、自然について学び、力を合わせ未来の自然を守っていくことを学びました。
 「州の教育省は環境教育の推進をうたっていますが、実際には学校で何もできていないのが現状。こういった機会をいただき本当に感謝しています」とプログラムは先生の間でも大人気です。
 オイスカは現在、世界32の国・地域でこのような植林活動や環境教育を支援する「子供の森」計画を展開し、世界各地で子どもたちが一生懸命に取り組んでいます。

《写真》子どもたちの共同作品「未来のふるさと」=2012年、マレーシア・サバ州のペンゴコン小学校

 

親子協力し衛生的な校庭に    シェア

 「子どもたちが勉強しやすい学校にしよう。学校は子どもの未来につながっているから」。これは、エルメラ県ハトリア郡サマラ小学校の父兄たちの声です。私たちシェアは、子どもたちが健康に学校に通えるよう、行政と協力して小学校での保健教育の普及に取り組んでいます。
 子どもたちは学校で、手を洗う習慣、下痢やマラリアに罹(か)らないための予防方法などを学びます。丈夫な体をつくるために、今年からは体育の授業も取り入れました。
 シェアが活動する東ティモールは、独立して今年で10年。数は減りましたが、今でも、あちらこちらで独立前に焼き払われた建物を見ることができます。実は、サマラ小学校も校舎を焼き払われてしまったそうですが、独立後、地域の人たちが力を合わせて建て直しました。
 体育の時間、校庭で体操をしていた子どもたちは足下ばかりを気にして、体操に集中できません。なぜなら、そこら中に牛や馬など動物の糞(ふん)が落ちているからです。子どもたちは動物の糞にとまったハエが運ぶ病気について学習したばかりでした。
 そこで私たちは、サマラ小学校の校長や先生と共に父兄会を開催し、子どもたちの学習環境について話し合うことにしました。そこで出てきたのが先の父兄たちの声です。動物の侵入を防ぐ柵を校庭に作ることが決定しました。
 柵を作るために、木やヤシ、蔓(つる)、木の皮をしごいて作った丈夫な縄、そして破れた蚊帳(かや)など、そこで調達できる材料を皆で持ち寄りました。
 「お父さん、どうやって木を結ぶの?」子どもの質問に、父親は誇らしげに手本を見せながら教えます。親子で楽しみながら校庭の柵を作り上げることが出来ました。柵が出来たことだけではなく、親子共同作業からの学びも、子どもたちの未来につながっています。

《写真》親子で仲良く校庭の柵作り=東ティモール・エルメラ県のサマラ小学校

 

図書室の絵本で「苦手」克服    ラオスのこども

 「ラオスのこども」は、日本の方々の支援を受けて、ラオス全国の小中学校に図書箱を配付し、図書室を設置しています。これまでベルマーク運動の援助で、図書室を開設した学校は、45校に上ります。
 多民族・多言語国家のラオスでは、小学校に入学して、初めて公用語のラオス語に触れる子どもたちもいます。学校での使用言語はラオス語のみで、そのような子どもたちは、先生の言っていることが理解できず、ラオス語に苦手意識を持ってしまいます。その結果、留年を繰り返し、小学校を中退してしまう子どもがたくさんいます。
 当会では、そのような少数民族の子どもたちが通う学校を巡回し、学校に適した図書活動の方法を提案しています。ある南部の小学校では鍵のかかる教室がないので、図書を学校付近の教員の家に保管しています。毎朝、先生と子どもたちが協力し、手提げに図書を入れて持ち運び、教室文庫をやっています。
 北部の山岳地域の小学校の校長先生は、「子どもたちは絵本だと進んで手にとって、苦手なラオス語を読む。絵本を読むようになってから、読む力が身についただけでなく、ラオス語を正しく書けるようになってきた」と、自信に満ちた表情で子どもたちの変化の様子を語ります。
 「絵本を読むのが好きな人は」と子供たちに尋ねると、「ハーイ」とみんな一斉に元気に手を挙げます。「どんなお話が好きなの?」と尋ねると「かめくん」「カンパーと小さいおばけ」などと思い思いの好きな絵本の題名が次々に挙げられます。子どもたちに人気があるのは、魔法の力を持つおばけや動物が悪者を退治する民話絵本です。
 少数民族の子どもたちは、絵本を楽しむうちに、ラオス語の活字に触れ、読み書きの能力と自信を育んでいます。

《写真》紙芝居の物語を基に作った劇を発表する子どもたち=ラオス・南部セコーン県ターテン群

 

保健を学び家族と共に実践    ジョイセフ

 アフガニスタンの農村では、テレビやラジオが十分に普及していないため、人から人へとメッセージや情報を伝えることが、大きな意味を持ってきます。
 国際協力NGOジョイセフ(公益財団法人)は、現地の協力団体と共に、アフガニスタン東部のナンガハール州で、子どもたちを対象に保健教育活動を実施しています。
 この活動の主役は、学校の男性教師です。研修を受けた先生たちは、保健推進員として、休み時間を利用し、手洗いの励行などの衛生や下痢、マラリアなどの予防に関する知識を子どもたちに伝えます。2012年1月から6月までに、プロジェクト地域の7歳から15歳の子どもたち延べ5万人に保健教育を行いました。
 シェワ県のタウカル・ババ小学校に通うシャジアさん(11歳)は「よく下痢になっていたけど、先生から学んだことを実践するようになって、下痢にならないようになりました」と喜びを語ります。
 「子どもたちは、家に帰ったら学校で学んだことを家族にも話します。その結果、今では多くの村人が保健衛生や病気の予防の大切さに気づき、実践するようになってきています」
 自身も保健推進員として教鞭(きょうべん)を取ってきた同小学校のヌラマン校長は、保健教育が大人たちにも役立っていることをこのように語りました。
 アフガニスタンでは、妊娠や出産が原因で、生まれてくる赤ちゃん10万人に対し、460人のお母さんが亡くなっています。日本の92倍もの高さです。これから大人になる子どもたち、特に女の子が、しっかりとした知識を持つことが、将来、赤ちゃんを安全に産み育て、自分と家族の健康を守ることにつながります。ジョイセフは、これからも子どもたちに健康の大切さを伝えていきたいと思います。

《写真》学校の休み時間を利用し、保健衛生について女生徒に伝える=アフガニスタン・シェワ県のタウカル・ババ小学校

 

識字教室でキノコ栽培訓練    日本ユネスコ協会連盟

 すべての人に教育の機会を届けるため、1989年から続けている世界寺子屋運動。日本ユネスコ協会連盟では、2008年より、経済成長から取り残されている最貧国のひとつ、ラオスへの支援を行っています。2011年度、ルアンパバン県内の最貧困地域といわれている山岳地域の12村において、16の識字クラスを実施し、351人が読み書きを学びました。
 学習したのは、カム族、モン族と呼ばれる少数民族の女性たちが多く、普段は独自の言語を話しています。識字クラスでは、ラオスの国語であるラオ語を勉強し、新聞や本を読んで、より多くの知識や情報を得られるようになりました。寺子屋の識字クラスに参加したカム族のヒューさんは27歳の女性です。「読み書きだけでなく、社会のこともよく分かるようになった。子どもにラオ語の絵本を読んであげる夢が叶って嬉(うれ)しい」と話します。
 また、人々の暮らしを助けるため、2012年4月にパクセン郡ボワンパセン村で行ったキノコ栽培訓練。トレーニングに参加したのは、この村にある寺子屋の識字教室で学んでいる人たちです。キノコ栽培は、ラオスの山岳地域に暮らす人たちにとって初めての経験。キノコ菌とおがくずを混ぜ、袋詰めしたものを蒸して、3カ月間、世話を続けると収穫できる大きさまで育ちます。
 識字教室に通う人たちは、早速、読み書きの力を活かして、収入向上プログラムで学んだことをメモできるようになりました。チャンパさんという24歳の女性からは「キノコはラオス料理でもよく使われる食材。大きく育ったキノコを市場で販売することによって、貴重な現金収入ができるようになった」と、27歳の男性のホンファンさんからは「覚えておきたいこと、誰かに伝えたいことを自分で書き留められるようになって嬉しい」との喜びの声が届きました。

《写真》キノコ栽培訓練に参加する村人たち=ラオス・パクセン群ボワンパセン村

 

図書館通し難民に「生きる力」    シャンティ国際ボランティア会

 難民キャンプの図書館は様々な役割を担っています。ミャンマー(ビルマ)国内の紛争から逃れてきた人たちの心を癒す場、進学の難しい難民キャンプで自ら学習できる場、情報が集まる場、自分たちの文化に誇りを持つことができる場――その中でも、図書館は難民の人々に「生きる力」を与える場であると私たちは考えています。
 アウンサン・スーチーさんが6月、メラ難民キャンプを訪問、多くの難民に「皆さんを忘れません」と、心強いメッセージを送りました。自由に移動することもできず、新聞やテレビもない。長期の紛争でミャンマー政府への不信感を持ち続けながら、難民キャンプの中で育ち、祖国を知らない子どもや青年たち。彼らは今も、困難な状況下での暮らしを強いられています。
 公益社団法人シャンティ国際ボランティア会(SVA)は、2000年よりタイとミャンマー国境の7カ所のカレン系難民キャンプ内に21館のコミュニティ図書館を設置し、活動しています。活動を通し、図書館がいかに子どもや青年の心を癒していくかが明らかになりました。子どもたちの態度が変わっていくことで、大人の意識も変わり、図書館が受け入れられるようになりました。
 カレン語に「勉強をしようがしまいが、ご飯は食べられる」という言葉があります。確かに、長い間紛争下に置かれた人たち、将来への希望が見出せない人たちには、教育は無力に見えるかもしれません。しかし、文字を読めない子どもが毎日、図書館員が読んでくれる絵本の内容を覚え、その子が誇らしげに生き生きと友だちに物語を教えています。その姿に、何もない難民キャンプの中で、図書館は子どもたちに「知り、学び、考える力」を与えるものだと確信しています。
 図書館での活動は難民たちに自分たちの力で立って、自分たちで将来を考えて歩いていくための「生きる力」を吹き込んでいます。

《写真》図書館員の読み聞かせを聞く子どもたち=タイのメラ難民キャンプ(川畑嘉文さん)

(2012/10/10)

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