協賛会社インタビュー⑫ 宮坂醸造
(2015/10/23)印刷する
宮坂醸造株式会社
代表取締役社長 宮坂直孝さん
取締役管理本部長 青木等さん
ベルマーク運動協賛会社へのインタビューシリーズ「私の会社とベルマーク」。12回目は、長野県諏訪市にある宮坂醸造株式会社です。1972(昭和47)年にベルマーク運動に加入し、43年もの間、協賛されています。加入した当時のきっかけやベルマークに対する思いなどを、代表取締役社長の宮坂直孝さん、取締役管理本部長の青木等さんにうかがいました。(聞き手・米内隆、海野哲生、写真・海野)
子どもを応援したい 先代社長の思い
――ベルマークの協賛会社というと、ベルマーク付きの商品であることをPRして販売促進活動をする企業も多いなかで、御社は、そのことを前面に押し出しているという印象を受けません。財団側もベルマーク運動が御社の役に立てていないのではと不安に感じることもありました。43年もベルマーク運動への協賛を続けていただいている理由や思いをお聞かせください。
はい。そのことをお答えするのに、まず弊社がベルマーク運動を始めたきっかけについてお話しします。先代の社長(宮坂和宏氏)が小学校のPTA役員をさせていただいたことがあり、学校を訪れた際に、学校設備が不足気味でさみしいことを気にしていたそうです。
何かの折に、学校の教育設備をととのえるためのベルマーク運動について知り、わが社でも子どもたちのために何か役に立てないかと考えるようになったそうです。
とはいえ、最初は子どもの教育とお酒を結びつけるのに苦心したようです。ですが、「お父さんが晩酌をして、そのお酒についたベルマークを子どもが切り取り、集めた結果、それが子どもたちの応援、社会貢献になれば」という思いを強くしていきました。
東京都内の教育設備助成会(当時、現在のベルマーク教育助成財団)事務所に、先代の社長が何度か足を運び、弊社の商品にベルマークをつけることができないかとご相談させていただき、協賛会社に加わったという経緯があります。
――先代の社長から、ベルマークについてほかに聞いていることや、伝えられたことなどはありますか。
つねづね先代が申していたのは、教育はとても大事なことであるということです。そして、小さな会社で大きなことはできないけれど、できる範囲でできることを続けていきなさいということも申しておりました。
また、弊社のように、それほど知名度もなく、いなかの酒屋をベルマークの仲間に入れていただいたのだから、しっかりやるようにとも言われました。
ベルマークの協賛会社だということをあまりPRしないのは、会社としては販売促進というよりは「世のため、人のため」にやっているという気持ちがむしろ強いからです。自分たちに対する戒め、という思いもあります。ですから、途中で協賛会社を抜けるというような話はまったくありませんでした。
ベルマークはがしやすく ひと工夫
――御社がベルマークをとても大事にしてくださっているという思いは、代表的な商品「真澄」についているベルマークにも表れていると感じます。学校のPTAが発行する「ベルマーク便り」などで豆知識のように紹介されているのを何度も目にしたことがありますが、商品ラベルのベルマーク点数の部分だけ、裏面に糊(のり)をつけずに、瓶からベルマーク点数をはがしやすいように工夫してくださっています。
はい。弊社では、通常、ラベルは瓶にしっかりと貼りつけるものですが、ベルマーク付きの商品ラベルについては、ラベルを貼る機械を特注して、ベルマークの部分だけ裏側に糊がつかないようにしてあります。
――わざわざそのために、機械を特注なさったのですか。
瓶からベルマークをはがしにくい、きれいにベルマークが取れないという声を、お客様からたくさんいただいたことがきっかけです。
お客様が、瓶をしばらく水に浸けておいて、ラベルをはがしやすくしていることなどをうかがいましたので、そこまでお手間をかけてしまうのならば、改善しなくてはと考え、現在に至ります。
――PTAのみなさんが多数出席する毎年のベルマーク運動説明会にも、今年は県内の松本会場にご参加いただきました。
これまでなかなか説明会には参加する機会がなかったので、まず東京の新宿会場を見学させていただきました。想像していた以上の大勢の方がお見えで、びっくりしました。その後、松本市で開かれた説明会に参加させていただきました。試供品などを配布された協賛会社もありましたが、急きょ参加させていただいたこともあり、今年は商品や、企業活動をまとめたパンフレットを配布させていただきました。
―首都圏で真澄の試飲販売会などもされているとうかがいました。
試飲会については、定番商品はもちろん、季節のお酒を知っていただきたくて、数はそんなに多くないですが不定期に開催させていただいております。秋のお酒としては、「山廃純米吟醸ひやおろし」を、11月の下旬には新酒の「あらばしり」を発売する予定です。
――本社の目の前には、御社のショップがあるのですね。インタビュー前に拝見させていただきました。
はい。真澄のアンテナショップの「蔵元ショップ セラ真澄」です。2012年4月にリニューアルオープンしました。お酒のラインナップは、真澄のほぼ全商品です。ほかにも素敵な食卓をご提案するため、ぐい飲みやとっくりなどの酒器を取りそろえたコーナーもあります。
――酒器のコーナーは、見ているだけで楽しくなりました。試飲もできるんですね。ショップでは、お酒の売れ筋などありますか。
売れ筋は、やはり季節のお酒で、いまですと、やはり「山廃純米吟醸ひやおろし」です。一年を通じて「純米吟醸辛口生一本」がよくお客様に選ばれています。
子どもたちの教育のため貢献続ける
――最後に、ベルマーク運動へのご意見などがあれば、お聞かせください。
少し前までは、日本酒は、家庭のお父さんが毎晩晩酌するものでした。そこで弊社では、毎日飲んでいただけるスタンダードな商品に、これまでずっとベルマークをつけ続けています。最近は、焼酎やワイン、ウイスキーと、お酒の選択肢も様々で、日本酒の飲まれ方、選ばれ方にも変化が表れてきて、売れ方や売れ筋も変わってきています。
ベルマーク運動の精神は崇高だと思いますし、協賛会社に入れていただいているのは名誉なことです。真澄を買ってくださっているのは地元の方々がいちばん多いですし、先代社長の思いは伝わっているのではないでしょうか。
ただ、弊社としては、もっとベルマークをつける商品の種類や点数の見直しは考えなければいけないかなと思います。若い人向けの高級酒にもつけた方がいいかもしれません。せっかくベルマーク運動に協賛しているのですから、しっかり考えます。
これまでと同様、ベルマーク運動を通じて、子どもたちの教育のために貢献できることを続けていきたいと考えていますので、今後ともよろしくお願いいたします。