へき地校など支援



今年もへき地学校等へプレゼント  2005年度のベルマーク援助校をたずねて


「障害のある子供に打楽器は必要です」
学習発表会が楽しみ

大分県の県立臼杵養護学校
 大分県臼杵市の県立臼杵養護学校(陶山昌生校長)には立奏鉄琴、ボックスグロッケンアルト(14音)、ボックスシロフォンバス(13音)の楽器3点とVTR一体型DVDレコーダーの計4点(約30万円相当)が贈られました。
  9月15日の5時間目に全校集会を開き、贈られた楽器など4点を小学部17人、中学部13人、高等部78人の児童・生徒108人に披露しました。3点の楽器から「どんな音が出るのかな?」と中学部の生徒3人が簡単な曲を弾くと、「いい音だ!」「すごい!」と喜びの声があがりました。
  学習活動の中で音楽、体育、家庭科など手足や体を動かす授業を多く取り入れています。音楽の授業では打楽器主体の器楽合奏をよく行うそうです。立奏鉄琴は1台あって計2台になりました。ボックスグロッケンアルトとボックスシロフォンバスが加わって幅広い音が楽しめそうです。
  DVDレコーダーはこれまで無かっただけに、欲しかった物の一つ。学校行事の記録作りや資料作りなどに役立ちます。
  陶山校長と佐藤正俊教頭は「楽器は使用していると傷んできます。障害のある子供たちは音に敏感に反応し、新しい音に興味を持っているようです。打楽器は子供たちにとって必要な楽器です。12月の学習発表会や1月の40周年記念式を子供たちは楽しみにしています。本当にありがとうございます」と感謝していました。
(2005/10/13)


和楽器で奏でる国際交流

北海道壮瞥町立久保内中学校
 「フィンランドの友達に、三味線の音色を聞いてもらおうね」。ベルマーク運動のへき地校援助で、北海道有珠郡壮瞥町久保内中学校(松本憲行校長先生、生徒数31人)に、希望した三味線セットなど4種類の教材が届きました。
  久保内中学校は洞爺湖、有珠山、昭和新山、洞爺湖温泉など豊かな自然に囲まれた地域にあります。少人数だからこその充実した教育を目指しており、壮瞥町の姉妹都市、フィンランドのケミヤルヴィ市の生徒たちとの交流もそのひとつです。ケミヤルヴィ市の生徒は1年おきに壮瞥町を訪れ、今年も10月中旬に久保内中学校で交流します。これまでも、筝(そう)の演奏で親睦を深めてきましたが、今年は新たに三味線が加わり、日本の音楽をより広く知ってもらうことができるわけです。こちら壮瞥町からは、中学2年生全員(30人前後)が毎年フィンランドを訪問し、ホームステイで現地の暮らしを体験しています。
  久保内中学校では、音楽を通して感性を育てようと、生徒全員で木琴、キーボード、ドラムなどの楽器を使用した、「全校器楽」に取り組んでいます。10月の文化祭、11月には洞爺湖文化フェスティバルの行事で演奏を披露するために、放課後になると音楽担当の中村郁先生の指導のもと、オレンジレンジの「花」やスウィングジャズの名曲などを猛練習しているそうです。音楽のカリキュラムには和楽器の授業もあります。これまでは筝だけでしたが、多くの楽器に触れることを通して音楽への関心を広げてゆこうと、三味線を選んだそうです。「とても高価なため教育現場でそろえることが大変なので、ありがたいです」と中村先生は感謝していました。
  地域ぐるみの教育支援を受けて、生徒たちの活動も活発です。生徒会はベルマーク運動に取り組み、使用済みカートリッジの回収に力を入れ、少ない生徒数でもベルマーク点数が伸びるように、学年別集計グラフを作るなど工夫していました。
  クラブ活動の中で、特に剣道は男女とも優秀な実績を残しています。今年も夏の北海道中学校剣道大会で優勝、その1人が全国大会へ出場しました。地域の方々も熱心で、久保内剣友会として40年余りの歴史があります。松本校長は「剣道は地域と学校の自慢の一つです」と熱く話していました。
(2005/10/12)


ベルマークからのプレゼント
雪が積もったら体育館にグランドゴルフを持って集合


福島県田島町針生(はりゅう)小学校
 「新しい本が図書室に並んだよ!」 福島県の会津地区にある田島町立針生(はりゅう)小学校(菅野藤雄校長、27人)に、ベルマークからの贈り物として、児童図書やグランドゴルフセットなどが届けられました。
  東京の浅草から東武伊勢崎線に乗って約2時間で栃木県の下今市駅に着きます。ここから切り離された2両の列車は、さらに1時間半かかって東武鬼怒川線から野岩鉄道会津鬼怒川線を経て、第三セクターの会津鉄道に入ります。列車は色づき始めた山あいを縫いトンネルをゆっくりゆっくりと登って行きます。会津田島はミニ尾瀬の景観を楽しめる駒止湿原にあり、おいしい日本蕎麦が採れることで有名です。
  学校は田島町の一番山深い里にあります。すぐ近くにはスキー場もあり、雪が多い時には2bも積もります。
  針生小は小さな学校です。元気に走りまわる児童も雪に閉ざされる冬場は屋内で遊ぶことが多く、本が好きな児童が多いことにもうなずけます。中には、図書室の本を全部読んでしまった児童もいます。
 「寄贈品には、迷わず児童の喜ぶ本と子どもがひとつになって楽しむことが出来るので、グランドゴルフとドッチビーを希望しました。グランドゴルフは大人でも楽しめるので、お父さんやお母さんたちも、きっとレクリエーションに参加してくれると思います。うれしいですね」と菅野校長先生は話していました。
  「ふれあい活動」は、全学年で1つのことをします。訪ねた日はグランドゴルフとドッチビーをしていました。
  低学年の児童に優しく声をかけながら、グランドゴルフをしていた湯田千晴さん(6年)は「わたしたちはみんな仲良しです。これからも楽しくゲームをしたいです」と話してくれました。
  児童に交じって飛んでいる赤トンボが秋の訪れを知らせてくれました。2週間もすると学校の周りの山々も紅葉に変わります。
(2005/9/30)


欲しかった視聴覚機器
「念願叶いうれしい」


沖縄県石垣市大本小学校
同沖縄県立八重山養護学校 
 沖縄本島から南西に約400`離れた沖縄県の石垣島にある石垣市立大本小学校に「データプロジェクター」など計8点(総額約30万円)、県立八重山養護学校に「VTR一体型HDD・DVDレコーダー」など計12点(同)が贈られました。両校とも「本当に欲しかった品々です。ありがとうございます」と感謝していました。
  〈大本小学校=田本由美子校長、児童数20人〉石垣島の中央部にそびえる沖縄県1の高山・於茂登岳(525・8b)のふもとにあります。於茂登岳にはカンムリワシなど多くの野鳥が生息し、児童たちは学校周辺や島内を回って野鳥観察を続けています。
  取材に訪れた9月15日は校門を入ると、太鼓の音とともに「ハーイーヤー」「イーヤー、サッサ」と元気な掛け声が聞こえてきました。炎天下の運動場で赤い太鼓を抱えた児童たちが、運動会(9月25日)で披露する沖縄の伝統芸能「エイサー」の練習に汗を流していました。
  希望品のデータプロジェクターは学校に無く、発表会や総合学習、交通安全教室などで使うときは、市立図書館から借りていました。学校にとって必要な視聴覚機器の一つでしたが、学校の予算では買えませんでした。
  学校では、3年後(平成20年度)の創立50周年に備えて、父母や児童、地域住民らがサトウキビ刈りをして、その労賃を積み立てる基金作りをしています。
  5月のPTA総会で田本校長が「50周年基金を前倒ししてプロジェクターを買えないでしょうか」と提案すると、「見積もりを取ってみては」との声が出たそうです。その直後に市教育委員会から「へき地校助成」の連絡が入り、大喜びしました。
  他の29型テレビや警報機付きハンドマイク、ボール類5点も欲しかった品々です。
  田本校長は、学校だより「やまの子」で「夢は叶(かな)う」と題して、「とても欲しくて、とても必要としていたプロジェクター。50周年事業で、整備して欲しいと願っていました。ベルマーク教育助成財団より30万円の備品をいただけることになり、プロジェクターにしました。ありがたいことです。夢が叶いました」と感謝の気持ちを伝えています。
                        ◆
  〈県立八重山養護学校=仲本英立校長、児童・生徒46人〉石垣島南側の太平洋に面した海岸沿いにあります。近くにはサンゴ礁で有名な白保ビーチとマングローブが茂る宮良川があり、ダイバーやカヌーイストらでにぎわっています。
  5月にはマリンアドベンチャーが催され児童・生徒たちは、カヌー業者や海人(ウミンチュー=魚業者)らの協力で、カヌー体験をします。また、流し網漁で獲った魚を手づかみし、魚汁で味わいます。環境保護にも取り組み、白保ビーチと宮良川で空き缶やゴミの収集作業もします。
  平成14、15年度にパソコンを活用したIT授業の研究指定校を受け、今も継続して取り組んでいます。パソコンは児童・生徒に1人1台あります。
  今年度の助成で「VTR一体型HDD・DVDレコーダー」2台を希望したのも、IT授業に欠かせないからです。これまで学校にはDVDレコーダーが1台しかなく、視聴覚教室に設置していました。
 小学部(16人)、中学部(15人)、高等部(15人)の3学部があり、視聴覚教室の使用がぶつかり合うこともありました。DVDレコーダーがあと2台あれば、3学部に1台ずつ配置できて効率よく授業ができることから、どうしても必要でした。
  取材に訪れた9月14日午後は、児童・生徒たちが下校したあとで、校内は静かでした。中学部の教室で、先生がテレビに接続したDVDレコーダーを調整していました。「DVDレコーダーは容量が大きく、パソコンで作った資料類などをテレビで拡大して見せることができます。テープのダビングなどもできて便利になりました」と喜んでいました。
  他の援助品はMD・CDラジカセ1台、自転車2台、ボール類7点。どれも児童・生徒たちとって必要な物ばかりでした。
  仲本校長と重森誠司教頭は「援助の品々は予算では買えない物ばかりです。先生たちも喜んでいます。助かりました。ほんとうにありがとうございます」と感謝していました。
(2005/9/26)


ベルマークからの贈り物
スポットライトなど島の中学校に


愛知県南知多町篠島中学校
このスポットライトは、このカメラは、生徒たちのどんな笑顔を照らし、写してくれるでしょう――。愛知県知多半島沖の篠島にある南知多町篠島中学校(竹内研一校長)に、ベルからの贈り物としてスポットライト一式などが届けられました。
  篠島は半島最先端から船で20分に浮かぶ周囲6・7キロの島。640世帯の多くは漁業のほか、豊かな海の幸や風光を看板にした観光業、釣り客案内などに携わっています。
  島の学校は高校の分校が昨年閉じ、島北部の小学校と、島南部の中学校が1校ずつ。篠島中の生徒は62人。広がる海原や小説「潮騒」で知られる伊勢湾の神島を臨む高台の校舎で教育目標の「豊かな心とたくましい体を持ち、社会の変化に主体的に対応できる生徒」を目指して学んでいます。先生ら11人も全員が学校近くの単身寮で生活しています。
  島民にとって子どもたちは豊かな海とともにまさに宝物。港から集落へ通じる道路の脇には、両校の校歌と絵が掲げてあります。
  小学校が校舎の耐震不足のため来春から中学校舎へ移転するための引越し作業も、休漁日にみんなで進めています。生徒たちも港や浜の清掃活動、お年寄りの集会所でのボランティア活動など、島への感謝を欠かしません。
  こんな篠島中にベルから届いたのはスポットライト一式、デジタルカメラ、回転式黒板、バレーボール。スポットライトは体育館で催す秋の学校祭で合唱などの発表を色鮮やかに照らしたり、3年生を送る会や入学・卒業式などで生徒一人ひとりの晴れ姿にライトを浴びせることでしょう。
  デジタルカメラではさまざまな調べ学習や行事を生徒たちが記録、ホームページでも紹介の予定です。バレーボールはバレー部の強化を期待して注文しました。
  山本芳(かおる)教頭が話してくれました。「前にいた小学校はベルマーク活動が盛んでしたが、活動がこのような援助に結びついているとは知らなかった。すばらしいですね」。
(2005/9/26)


ベルからの贈り物「教材提示装置」を
夏休みに先生たちの勉強会を開き講習

静岡市 静岡県立聾(ろう)学校
 「操作も簡単。楽しく話せました」「デジタルなのにアナログ感覚で学べました」。教材提示装置が贈られた静岡市の静岡県立静岡聾(ろう)学校(鈴木信行校長)では早速、夏休みの先生たちの勉強会で装置が使われ、講師・受講者双方から賞賛と喜びの声が聞かれました。
  同校は幼稚部、小学部、中学部で構成。合わせて53人の子どもたちがハンディを抱えながらも自立していく力を養う学習に励んでいます。
  教科などは一般の学校とほぼ同じですが、耳の不自由を補うために学ぶ手段として重要なのは、視覚による学習。ことば1つを学ぶにも、絵や写真、図のカードを使ったり、先生がイラストを描くなどして行われます。
 だから、画像や文字を拡大して立体的にスクリーンや白板に映し出す教材提示装置は魅力です。図面をシートに挟んだりする必要はなく、教科書なども台に置いたりするだけで映せます。パソコンのスライドショーなどと違って、画像を作る必要はなく、映している本のページを飛ばしたり、別の本に変えたりも自由自在です。
  「大きくすっきりした画像だから生徒も理解しやすい。先生もカードを手作りする時間と労力も少なくなります」と菅沼貴幸教頭。同様の機器はすでに同校にもありますが、ベルが贈った教材提示装置は機能も優れ、大きな頼りになるでしょう。
  ベルからの贈り物が早速使われたのは夏休み中の8月2日、読書教育をめぐる先生たちの校内研修の場。静岡市在住の童話作家、草谷桂子さんが「絵本の心、こどもの心」と題して、20人余の先生らを前に約1時間半、草谷さんが取り組む読書活動や優れた絵本などを次々と教材提示装置で映し出しながら講演。先生らも装置を使い、手話を交えながら児童・生徒たちを引き付ける絵本の読み方を体験しました。
  「画像を簡単に映し出せるので、装置の操作に気を取られることがない。だから、みなさんの反応を見ながら余裕を持って進めることができました」と草谷さん。先生らと一緒に講演を聞いた静岡県中部聴覚障害者親の会の会長、長谷川正吾さんも「本のページを繰る手の動きも画像に映るので親近感がある。デジタル機器なのにアナログ感覚で見ることができ、話に説得力を感じました」と話していました。