へき地校など訪問



今年もへき地学校等へプレゼント  2004年度のベルマーク援助校をたずねて


「デジタルピアノに生徒たちは大喜び」

釧路支庁阿寒湖中学校
 秋風がしのび寄る北海道。今年のベルマークのへき地学校援助は道内で16校が対象でした。道東の阿寒町立阿寒湖中学校(松野孝校長、41人)にデジタルピアノとデジタル・ビデオ・カメラが届きました。
  「音楽室のピアノは、町内の廃校の備品をいただいたものです。調律が利かない状態になってしまいましたので、ピアノの代わりに音楽の授業はキーボードを使っていました。学校の予算の中ではとても買えなかったので、贈られたデジタルピアノには、音楽の先生や生徒たちは大変喜んでおりました」と藤原聡教頭先生は話してくれました。
  「過去に3年間、ビデオカメラを町に要望していましたが、なかなか買ってもらえず、職員の私物を借りて入学式、卒業式などに使っていました。そんな時に寄贈していただきました。秋の文化祭で早速使わせていただきます」と事務の門脇伸一さんはニコニコしながら話してくれました。
  中学校は国の特別天然記念物のマリモで有名な阿寒湖畔にあります。夜になると温泉街の明かりだけを残し、白樺の林がどこまでも広がっています。
  全国のPTAの皆さんから贈られたデジタルピアノとデジタル・ビデオ・カメラも、子どもたちの笑顔に出会えて喜んでいると思います。


「待ってました卓球台セット」 ベルからの贈り物に大喜び

石川県七尾市北星小学校
 「よしっ」「上手だね」。石川県七尾市北星小学校(橋場美貴校長、99人)の昼休み。ベルから贈った2台の卓球台を囲んで歓声が飛び交います。
 能登半島国定公園の一角。1978年、七尾湾の半島にあった4つの学校が統合してでき、多くの児童がスクールバスで通っています。花の栽培では毎年のようにコンクールで受賞しており、お訪ねした日も咲き誇るサルビアやマリーゴールドが迎えてくれました。
 子どもたちは外で跳び回るのが大好きですが、問題は冬。日本海からの風雪の日々は屋内で過ごすしかなく、卓球もそのひとつです。でも、卓球台は2台だけで、しかも古くて補修の繰り返し。だからベルからの贈り物も真っ先に卓球台を選びました。
 卓球台は新しくできた多目的ホールに置かれました。「これで4台。2台だけだとどうしても卓球部の子が中心になりがちでしたが、これからはみんなで楽しめます」と橋場校長。まだラリーの応酬というわけにはいきませんが、次第に腕をあげてくれるでしょう。
 ベルからは卓球台・卓球用具セットの他に、ラジカセと綱引きロープの巻取り器も贈りました。ラジカセは音楽の授業に使うそうです。
 北星小はベルマーク運動にも97年から参加しています。毎月、マークを持ってきた子の名前を学校便りに載せており、校区のおばあちゃんの名前や、料理教室でキユーピーのマヨネーズなどを使った公民館名も掲載されています。
 学校生活では特産のイチゴを栽培し、ジャムにして給食で味わうことも。環境活動にも力を入れ、地区での清掃や学校の電気の無駄遣いを無くすことなどに取り組んでいます。


届いた逆上がり補助器 これから練習の励みに

岡山県湯原町の二川小学校
 ベルマーク財団のへき地援助で岡山県湯原町の二川小学校(友保眞由美校長)には鉄棒用逆上がり補助器、デジタル体重計、ビデオカメラ、一輪車4台、ボールなどが届きました。
  同校は鳥取県境の山間にあって、児童数が19人。1年と2年、3年と4年、5年と6年がペアになって複式授業をしています。逆上がり補助器、体重計を希望した理由は最近、肥満気味の子どもが多くなり、全員の三分の一が逆上がりを出来なくなったためです。補助器は高さ1、5b。長さ62aの板が半円形に張ってあります。腕力がない低学年の子でも板に足を掛け、勢いよく蹴り上げると自然と体が回転して、しやすくなる用具です。1、2年を担任する桑田和子先生は「いま、6人中、3人ができません。2年を終わるまでに全員が逆上がり出来るようになることを目標にしています。予算の都合で買えませんが、欲しいと思っていた器具です。これからの練習の励みになります」と喜んでいました。さっそく補助器を使って練習した2年、三埼智絵ちゃんは「すぐできた。うれしいです」とニコニコ顔。一輪車は19人全員が乗れるようになったら、音楽に合わせて一輪車の踊りをすることにしていました。


「朝の10分読書」に欲しかった 贈られた新しい本に大喜び

長崎県壱岐市瀬戸小学校
 長崎県壱岐市の瀬戸小学校(渡邉徳藏校長、92人)には、9月6日までに希望した寄贈品の本110冊とエアサイクロンクリーナー1点、ボール類5点が届きました。寄贈品は職員室前の廊下に展示して披露しました。新しい本に児童たちは「いろんな本があり、すごいな! 早く読みたいな」と、目を輝かせていました。
 渡邉校長は寄贈品到着のニュースを「学校だより」で取り上げ、「合計30万円分で、図書に20万円以上を寄贈いただきました」とPTAと地域住民にも知らせました。
 本を重点に選んだのは、児童の読書活動に力を入れているため。毎日、始業前の午前8時15分から10分間を「朝の10分読書」の時間にして、全校児童と先生が一緒になって、本を読んでいます。読む本は自由に選び、読書後の感想も求めないようにしています。「本嫌いの原因になることがあるためです」と渡邉校長。
 届いた本は、先生を中心に選び、資料の商品リストをほとんど網羅しているそうです。内容も、低学年から高学年まで読めるように選定しています。「コミック版プロジェクトX」16巻(宙出版)は、台風で休校になった9月7日に、先生たちが夢中で読んだそうです。
 児童たちの熱心な読書活動で本の傷みもあって、新しい本が必要になっていました。しかし、本の予算は年間10万円。このうち県の指定図書を購入すると、学校が自由に使える予算は半文も残らず、児童が読みたい本は、なかなか買えないのが実情という。
 傷んだ本はPTAのお母さんたち6人が、「読書ボランティア」として修理をしています。
 渡邉校長は「朝の読書活動などで、新しい本が欲しかっただけに、希望したたくさんの本をいただきありがたかった。本は、児童の豊かな人間形成に役立っていくと思います。へき地校の援助に、ほんとうに感謝しています」とお礼を述べました。
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 壱岐市は、玄界灘の西に位置する長崎県の離島。瀬戸小学校のある芦辺町など壱岐島4町が合併して3月1日に市制を施行。福岡市の博多港から高速船で約1時間、フェリーで約2時間。


「太鼓や感覚ボールありがとう」

岩手県立一関養護学校
 今年度のベルマーク援助の養護学校対象校は全国25校でした。9月30日、台風21号と「並走」しながら、岩手県一関市にある県立一関養護学校(佐藤守校長)を訪ねました。「台風の中をようこそ」。校長先生と菊池廣教頭先生に迎えられ、学校に到着しました。
 同校は、小学部、中学部、高等部と隣接する独立行政法人国立病院機構岩手病院に併設した分教室を含め、児童・生徒44人が学んでいます。病弱虚弱の子どもたちや肢体の不自由な子、知的障害のある子どもたちの教育に、学校と家庭と医療機関が一体となった取り組みを実践しています。
 学校にはベルマークから贈られた和太鼓、感覚運動ボールセット、おとつみきセットが届いていて、子どもたちは目を輝かせ、喜んでいました。早速、10月23日の養護学校文化祭に和太鼓を演奏して、地域の人たちに贈られた設備品のお披露目を予定、文化祭の演奏会に向け特訓しています。
 一関養護学校では、隣接する病院の「あすなろ病棟」で、闘病を続けている人たちの誕生会に出向いて、慰問していました。この日は、各病棟に分かれ、自分たちが作った花笠をかぶり「花笠踊り」や明るく軽快な地元の踊り「くるくる音頭」を輪になって披露しました。
 踊りが終わると、会場からアンコールの声。踊りの輪は、保護者や先生も混じってにぎやかな誕生会となりました。「ちょっと緊張しましたが、みんなと踊ることができてよかったです」(高等部1年・堂屋元子さん)。「ちょっと失敗してしまいましたが、みんなに喜んでいただけたのでうれしかったです」(中学部3年・千葉里美さん)
 「こんなにすばらしい設備品をたくさんいただき感謝しています。『感覚ボール』は、体の不自由な子どもたちが、ボールに抱きついても滑らなくて助かります。よく出来ています。『和太鼓』は、これまで買いたくても、とても手の届かないものでした。早速、子どもたちの情操教育に活用したいと思います」と、教諭の菅原敬子さんは話しました。


拡大読書器で勉強します

秋田県立盲学校の野呂さん
 秋田県立盲学校(榎豊校長)にこの夏、ベルマーク財団からカラー拡大読書器が贈られました。勉強に打ち込む生徒にとって、心強い味方です。「この装置で一生懸命勉強し、来年のマッサージ士の国家試験を目指します」と喜んでいました。
 この学校は明治45年の創立で、戦前にはヘレン・ケラーも訪れました。秋田港に近い土崎地区の3階建ての校舎では、中学部から高等部専攻科まで、通学生と寄宿生合わせて31人が勉強しています。
 新しい拡大読書器を主に使うことになったのは、高等部3年の野呂亙(のろ・わたる)さん(47)です。
 野呂さんは5年程前、突然視力が低下しました。5人家族の大黒柱であり、視力を必要とする車の運転の仕事に従事していました。
 「この年で、まったく違う仕事を探さなくてはならない。一体、何が出来るのか」と一時は相当苦しんだ野呂さんですが、家族の暖かい励ましと、何事にも前向きに取り組む持ち前の性格から、新たな人生への船出を決意。盲学校に入学してマッサージを学ぶことにしました。
 60`も離れた能代市の自宅から同校の寄宿舎に移り住み、家族と離れて新たな人生を切り開く道を歩み出して2年半。
 次第に自信をつけてきた野呂さんですが、マッサージ士への道は、端で見るほどたやすいことではありません。「保健理療概論」「解剖・生理」「病理」「臨床医学」「東洋医学一般」といった難しい科目がたくさんあります。
 教科書を拡大読書器で何度も読んで勉強してきましたが、最近、野呂さんたちが使う読書器の具合が悪くなりました。そこへ、財団から、新しい読書器が届いたのです。
 「本当にうれしかったですね」と野呂さん。「今は、自治体も緊縮予算ですので、簡単に代わりを買ってもらえる時代ではありません。ベルマークの皆さんに心からお礼を申し上げます」と榎校長先生。
 野呂さんたち、寮生の皆さんは、週末に自宅に帰る時間も惜しんで、一生懸命勉強しています。きっと、すばらしい人生が開けるに違いありません。


カラー読書拡大器とカラーテレビセット
「文字が大きくて勉強がはかどります」

福井県立盲学校
 「文字も図も、大きく、くっきり。勉強がはかどります」。ベルマークからの贈り物として、カラー読書拡大器とカラーテレビのセットが届いた福井県立盲学校(福井市・小谷正典校長)の生徒から、うれしい感想が返ってきました。
 同校は幼稚部から高等部まで計36人。点字のほかに文字や絵を拡大する器具を使って学習しており、教室には1〜2台ずつ拡大読書器が置いてあります。
 でも、これらのテレビ画面の大きさは14インチなのに対し、ベルからのプレゼントは21インチ。カメラを取り付けて、実験の模様や黒板の文字などを写し出すこともできるとあって、実験などをする特別教室に置かれました。
 中途失明し、はり師・きゅう師を目指す高等部専攻科理療科1年の岡島喜謙さんが、医学書を開いて操作してみます。「文字や図がすごく大きくなるだけじゃなく、かすれたりもしない。細かい文字も、この通り。普通の本や新聞を読むのも楽しみですね」。ベル記者の名刺のベル財団ホームページアドレスも、くっきり写し出しました。
 「読むだけでなく、文字を書くにも拡大器が必要。大きくて新しいのが欲しいのですが、県費も限られているから、贈り物は本当にありがたいですね」と、教頭の金牧廣先生は話してくれました。
 ベル記者は今年初めにも同校を訪ねました。ベル新聞でも紹介しましたが、同校生徒会は「援助を受けるだけでなく、自分たちも世の中に役立とう」とベル活動を展開、10万円を友愛援助の「ザンビアの保健・衛生教育を支援する活動」(ジョイセフ)に寄せてくれたのです。
 「自立」に向けたがんばり。拡大読書器が少しでも力になれば、うれしいですね。


拡大読書器に大喜び

徳島県立盲学校の子どもたち
 徳島市の徳島県立盲学校(松島隆校長)にはカラー拡大読書器とカラーテレビ(21型)各1台(計21万3千円)が届きました。拡大読書器は視力の弱い人が字や図を拡大し、テレビ画面に映して読み取る機械です。新聞の字も拡大すれば一字がはがき大に拡大できるため、弱視者でも楽に本を読むことができます。
 同校には4歳から55歳までの男女76人が幼稚部、小学部、中学部、高等部に分かれて勉強しています。3年間の在学であんま、マッサージ、指圧の技術を習い、病院勤務などで社会復帰する日を目指しています。全盲者は8人で、残りの68人は視力が弱いだけです。遠くのものは望遠鏡で、近くのものは読書拡大器で見るため、授業には必需品です。
 高等部保健理療科の佐々木実さん(34)は、夏休みでも登校し、届いたばかりのこの読書器で熱心に本を読みながら「私は視野が狭く、視力は0.1以下です。小さい字や図鑑の絵は見にくいです。これがあると楽に読むことができます。持ち運びのできる携帯用も欲しいです」と喜んでいました。
 橋本恵理子先生は「漢字のふりがななどは小さすぎてほとんどの子が読めません。魚の卵などもシャーレ-に入れて、この拡大器で見る事ができるので大変便利です」。
 高島敏男副校長は「学校には10台の拡大読書器がありますが、古くなったものもあって、あと2、3台は欲しいと思っていたところです。学校の予算ではカットが続いて、なかなか買えません。新しい機械を頂いて助かります」と喜んでいました。


「ノートパソコン 仲よく使います」

鹿児島市立病院の小・中校院内学級
 長期の闘病生活を贈っている全国8ヵ所の病院内学級にはNECのノートパソコン、エプソンのプリンター、パソコンデスク、自習用ソフトの4点(約34万8000円)が贈られました。
 鹿児島市の市立病院内には、松原小と甲東中の病院内学級が併設され、寄贈のノートパソコンなどは両校が共同で使用します。8月現在、病院内学級で学んでいる小学生は3年生と4年生が各2人の計4人。中学生は1年生と2年生が各1人の計2人。ノートパソコンは、市の貸与品が小学校と中学校に各2台あります。
 松原小の竹下長治先生の話では、小学生は教科用ソフトで勉強するだけでなく、機能回復訓練のためにワードを使って文章を作り、コンピューターグラフィックの作品を作ったりしています。
 竹下先生は、コンピューターグラフィックの指導に力を入れており、昨年度は全国院内学級コンピューターグラフィック展で「金賞」を受賞しました。竹下先生と児童は、今年も県のグランプリ獲得を目指して取り組んでいます。竹下先生は「病院内学級でもできるんだ、ということをアピールしたい。タイトルを取ると子どもたちも明るくなり、自信がつきます。病院内の入院患者にも元気を与えてくれます」と話していました。
 中学校の小迎先生は「生徒たちは、ネットを使って資料集めをしています。授業も、学年が違い進度も違うのでパソコンがあると助かります。とくに高校入試を控えた3年生がいると指導に気を使います。いままで学習用のソフトが少なかったが、非常にいいソフトをいただきました」と喜んでいました。
 院内学級の人数は、多いときは10人にもなるという。教室には半年以上の長期入院の児童、生徒だけでなく短期入院の児童たちも出入りしており、ゲームのできるパソコンは喜ばれているという。とくに持ち運びができるノートパソコンは人気が高く、台数が少ないために奪い合いになることも。
 竹下先生と小迎先生は「子どもたちのパソコンのレベルは高い。病気によっては病室から出ることができない子供がおり、貸し出しができてベッドサイドで使えるノートパソコンは何台あってもいい。もっと欲しいです」と話していました。