静かな森に囲まれた岩手県九戸郡種市町の大和中(大西昭子校長)の体育館に、ミュージックベルの澄んだ音色が流れました。ベルマークのお友だちからの贈り物です。生徒たちは地域の皆さんに聴いてもらおうと練習に励んでいます。
三陸沿岸にある種市町は岩手県の一番北に位置し、青森県と接しています。
人口は1万5千人ほど。半農半漁のこの町には、全国でここにしかない珍しいものがあります。県立種市高校の海洋開発科です。海中に潜って港湾工事や沈没船の引き揚げ作業などをするダイバーを、これまでに1000人以上も送り出してきました。大和中から同科に進学した生徒が何人もいます。
同中にはミュージックベルのほか、カラーソフトバレーボールなどが届けられました。子供たちが待ち望んでいた物ばかりです。
シイタケ栽培のホダ木が並ぶ森を抜けて学校を訪ねました。小中併設校で、中学校の生徒は7人、小学校の児童は21人。生徒たちは、ベルを持って早速演奏をしてくれました。
最初はドボルザークの「新世界より−家路」、続いて映画「ピノキオ」のテーマの「星に願いを」。前の学校で使ったことがあるという2年生の中澤愛美さん以外は初めてでしたが、息もぴったりで、素敵な演奏振りでした。
「ほかの人とのタイミングがむずかしくて」と2年生の村上幸博君、「むずかしいけど、きれいな音が出るので楽しいです」と1年生の戸鎖佳代さん。みんな、ちょっぴり緊張しながらも、楽しそうです。
児童や先生たちが話し合って、秋の文化祭で、地域の皆さんに聴いてもらうことにしました。「贈って下さった全国のベル仲間の皆さんに、くれぐれもよろしくお伝え下さい」と大西校長先生。教頭の齋藤三男先生は、「生徒たちは、みんな仲良しで、小学生の面倒をよくみてくれるやさしい子供たちです。きっと、きれいな演奏をしてくれるでしょう」と話していました。
大和中のミュージックベルは、もうひとつ素敵な動きを呼び起こしました。PTAのお母さんたちが、このベルを貸してもらって、「ミュージックベルチーム」を結成しようと相談を始めました。お母さんたちは、来年2月に開く町の教育振興大会での初演奏を目指して張り切っています。
ベルマークの贈り物が、地域の皆さんのきづなをいっそう深めることになりそうです。
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