へき地校など支援



今年もへき地学校等へプレゼント  2000年度のベルマーク援助校をたずねて


来夏のキャンプは「全員が泊まれるよ」
(贈り物=キャンプ用テント、デジタルカメラ)

北海道・宇曽丹小学校
 宇曽丹小(織田勝利校長)にこの秋、大きなドーム型のテントとデジタル・ビデオカメラが届きました。
 「楽しくキャンプが出来るよ」と、早くも来年夏の全校キャンプを想像したり、「学校便りに、このカメラで撮った静止画像を取り込める」と、みんな大喜びです。
 日本最北端の宗谷岬がある稚内市から2時間半。原野や牧場が広がる中を、バスはひた走ります。コハクチョウが飛来するクッチャロ湖が見えてきました。
 首都圏の典型的なベッドタウンで32万人が生活する千葉県柏市の5倍以上の広さの町の人口は5000人足らずです。
 宇曽丹地区は町中心部から南へ10キロほど。明治30十年代以降、砂金ブームにわいた所で、砂金採掘公園では砂金探しの体験もできるそうです。
 学校は明治44年の開校で、2年前に新しい校舎になりました。しかし、ここも過疎化の例にもれず、在校生は板垣拓也君(6年)、和美さん(5年)、郁也君(3年)、知美さん(1年)のきょうだいと阿部千保理さん(5年)、阿部翔君(5年)、豊田智也君(4年)、織田愛里さん(2年)、桑田和軌君(1年)の9人だけ。来年と再来年は、新入学児童がいないのが残念な材料です。
 職員は、織田校長先生と教頭の前田潤二先生、勝野正美先生、鈴木信先生と山岸正代さんの5人。
 児童の家庭は、織田校長先生の次女の愛里さん以外は、全員が酪農業です。きつい仕事とあって後継者難でしたが、このところ、親の仕事を継ぐ空気が生まれてきました。
 その理由を尋ねると、翔君は「かっこいいトラクターが好きだから」、郁也君は「牛はなついてくれるので、かわいい」と話してくれました。
 校舎の壁にはデジタル・ビデオカメラで撮った写真がいっぱい掲示され、テントが張ってありました。この夏は校舎に泊まりましたが、来年は本当のキャンプが出来そうです。児童たちは、「広いよ」「全員が泊まれる」とキャンプの雰囲気を味わっていました。


白神山地のふもと仲良く音楽楽しむ
(贈り物=電子ピアノ、ミシン、逆上がり補助器)

青森県・一ツ森小学校
 「まだ慣れないけど、すごくいい音が出ます」ーーベルマークから届いたばかりの電子ピアノに挑戦していたのは、2年生の山下亜由美さん。
 「ベルマークからは、ほかにジグザグミシン、逆上がり補助器、MD・CDラジカセなどが届きました。大変助かります。早速、子供たちに使ってもらいます」と教頭の桜井敏樹先生。
 一ツ森小学校(長尾保慈校長、児童数18)は、町の中心から木の葉が色づき始めた、赤石川沿いを白神山地に向かって、16キロほどさかのぼった山あいにあります。学校は分教場としてスタートし今年で120年になります。冬の積雪は1メートルにもなります。「昔に比べたら雪は減りましたが、地吹雪はすごいです」とのことです。学校は完全複式学級。校舎は今では懐かしい木造で、廊下は天井が高く、はりもがっしりしていました。
 児童たちの間では、「上の子が下の子に優しく、下の子は上の子を慕う、いい関係が続いています。一緒に生活するため、生活の知恵も上から学んでいます」。
 毎年春は、校舎の裏にある「一ツ森山」(標高400メートル)登山に3年生以上の児童が挑んでいます。細長いおむすびのような形の山ですが、けもの道が続き、子供たちにはスリリングな体験となっているそうです。さらに、「総合的な学習」として進めているのが、赤石川の「アユの友釣り」。地元の人に聞きながら「稚魚の放流から仕掛け、食べる」ところまでを3学年以上に体験させ、効果を上げています。
 地域社会との結びつきは強く、運動会や学習発表会にお年寄りを招待し交流を続けています。
 この地は、古くから林業が盛んで「赤石マタギ」で有名です。なかでも大谷石之丞名人は、地元の誇りです。奥地の白神山地が世界遺産に登録されたことに、学校の職員の世永うめ子さんは「制約もありますが、ブナ林のためにも、町も誇りにしています」と話していました。


地域で学校を支え365日が授業参観日
(贈り物=顕微鏡、OHP、メガホン)


秋田県・越山小学校
 白神山地の南、総面積の90%近くを山林が占める田代町。町の南端を走る奥羽線早口駅周辺の町の中心から北へ約13キロ、秋田杉が整然と並ぶ山々に囲まれて稲穂が広がる山村の越山小学校(渡辺尋子校長)に今秋、ベルマーク運動から顕微鏡とオーバーヘッドプロジェクター(OHP)、メガホンが贈られました。
 同校は児童数37人。3・4年生と5・6年生が複式学級で、7キロの遠距離通学児もいる、へき地2級校です。校区に郵便局はなく雑貨店が2軒あるだけ。一番早い乗合バスが着くのも11時過ぎです。161世帯のうち児童がいるのは30世帯ですが、学校の行事は地域の行事。運動会は田植えがすんだ祝いの「さなぶり運動会」さながらだそうです。地域全体が学校を支え、学校も「365日授業参観日」と呼びかけています。
 恵まれた自然に接して児童たちは探究心おう盛です。プールで見つけたモリアオガエルの卵を飼育、観察し、酸性雨や空気の汚染度調べ、地域を流れる岩瀬川の水質調査など、次々に題材を見つけます。先生たちもそれにこたえて学習を発展させますが、地元の専門家に聞いたりインターネットで調べたり、それがそのまま総合学習になっています。白神山地に属する田代岳の全校登山、雪中給食、特産物のタケノコの皮で卒業証書を作るなど、地域に密着した活動は、児童たちを生き生きさせていました。
 贈られた顕微鏡は廊下に置かれ、先生が準備した植物の細胞などを、児童たちはいつでも観察できます。「自分で操作できるようになるのが目標」と三浦孝志教頭は話しており、児童たちの探究心は更に高まっていくようです。OHPは授業以外にも常に使える状態で、休み時間になると上級生が下級生に「昔ばなし」を見せていましたが、小規模校ならではのほのぼのとした光景でした。
 「年間予算に匹敵するほどの大きな贈り物をありがとうございました。子どもたちも少ないながらベルマークを集めています」と渡辺校長は話していました。


漁業の町支えた誇り受け継ぎはつらつと
(贈り物=卓球台、ミニサッカーゴール)

三重県・答志小学校 
 「真珠のふるさと」「伊勢志摩国立公園の海の玄関」。こんなキャッチフレーズのある鳥羽市の鳥羽港から、市営定期船で約20分の答志島和具港。干物やワカメの匂いの中を数分歩いた答志小学校(野呂幸一校長、児童数140)には、卓球台と得点板、ミニサッカーゴール、カラーソフトバレーボールなどが届きました。
 鳥羽市民の2割が小説「潮騒」の舞台となった神島など伊勢湾に浮かぶ四つの有人島の住民で、最も大きい答志島は3000人ほど。小学校が答志小と桃取小の2校、中学校1校がありますが、桃取小は島外の中学校に進むので答志小の子は「小中一貫教育」です。
 島民のほとんどが沿岸漁業とワカメやカキの養殖を営み、タイの一本釣り名人や海女さんも健在。豊かな海の幸を売り物にした旅館や民宿も30軒ほどあります。でも、湾内では中部新国際空港の建設が進み、湾口に大橋を架ける計画も。「漁業はわしら一代で終わりかもしれんな」といった声も聞かれます。
 こうした中で、答志小は研究課題に「地域に自信と誇りを持ち、語ることのできる子ども」を掲げます。将来、どのような道に進むにしても、ふるさとに誇りを持ち、自分の言葉で語る人間になれば大丈夫、ということでしょう。PTAと網を張ったり、マダイの稚魚の放流、イワシの干物づくりを体験。この夏には島内を「豊かな海を21世紀につなげよう」と呼びかけて、鼓笛隊を先頭に全校生がパレードしました。
 スポーツも大好き。運動場を走り回っていますが、悪天候の日は漁と同様、じっとしているしかありません。そこで、ベルマークからの援助に選んだ一つが屋内で楽しめる卓球台。初めてラケットを手にする子がほとんどでしたが、たちまちラリーができるようになりました。備品の管理から子どもたちの遊び相手までさまざまな役割を務める事務職員の森川修さんは「塩害のために金属製体育用具の寿命が普通の学校の半分しかないなど大変。それだけにこうした援助はうれしい」と話していました。


さっそく大運動会で地区民と一緒に活躍
(贈り物=一輪車16台)


和歌山県・上洞小学校
 「途中、道が工事中で通れないかも知れませんよ」。電話口で気遣ってくれた先生の言葉から、かなり時間がかかることが予想できました。上洞(かぼら)小学校(石井登茂枝校長)は奈良県境に近い、紀伊半島のほぼ真ん中。へき地等級2級。先生6人に児童18人の学校でした。
 この学校には一輪車16台が届きました。各学年とも児童数が2、3人と少ないため複式学級になり、体育の授業ではなかなか集団競技が出来ません。一輪車や鉄棒、跳び箱、ボール投げなどをしています。ところが、古い一輪車が10台しかなく、全員で乗る時は、子どもが家から持ってきたのも合わせて、交代で乗っていました。
 新しい一輪車は9月17日に開かれた「第11回上洞区民大運動会」で活躍しました。上洞地区は人口215人、75世帯の集落です。学校の運動会は毎年、地区の運動会と合同で催し、お年寄り、婦人会、幼稚園などが一緒に演技します。今年はプログラムに小学生たちが一輪車を使って演じる「五目リレー」を組み込みました。一輪車に乗ってボールを運んだり、旗を立てたりの競技に、お年寄りたちから盛んな拍手が起こりました。
 久保真奈実児童会長=6年、は「新しい一転車をもらったので、これから皆が1台ずつ自分のを持つことができます。1年生はまだ十分に乗れないので、指導してやります」とVサインで喜んでいました。
 過疎化が進み、多いときには160人いた児童も今では18人になってしまいした。石井校長は「少人数は家族的で良い面もありますが、競争する機会が少ないのが悩みです。一輪車を使ったリレーなどをどんどん取り入れたい。へき地の教育予算はきびしいものがあり、大変助かりました」と喜んでいました。
 総合的学習では老人ホームや独居老人の慰問をしています。子どもたちは「これから一輪車の演技も見てもらえる」と張り切り、さっそく放課後、運動場に出て、全員で練習していました。


野球のユニフォームは自分でアイロンかけ
(贈り物=アイロン、スポットライト一式)


広島県・竹仁小学校
 竹仁(たけに)小学校(貝淵巖校長、児童数60)は校歌「雲間に高くそそり立つ、鷹の巣山の麓にて」のとおり、丘の上にそそり立っていました。
 同校にはコードレススチームアイロン、掃除機、スポットライト一式、ソフトバレーセットが贈られました。
 県のほぼ中央の山間にあって、一般の交通機関がないため、へき地等級が「特地」に指定されています。町の人口は1300人、420世帯が農業を主に暮らしています。シャクナゲ群落があるところから、町花はツクシシャクナゲです。
 6年生の5人が家庭科のエプロンづくりで、さっそくスチームアイロンを使いました。寺西謙太君は「野球をしているので、洗濯したユニフォームに自分でアイロンがかけられる」と、新川成美ちゃんは「電気の線が無いので使いやすい。新しいアイロンなので、気持ちまで新しくなります」と喜んでいました。
 使い方を指導した6年担任の長沖優教諭は「男の子もアイロンがかけられないとダメ。自分でできることは何でも自分でするように教えたい」と話していました。
 掃除機を希望した理由は体験学習で、1年から6年までの60人がタテ割りで10班にわかれ、トイレや図書室、体育館、廊下などの掃除をしています。じゅうたんを敷いているところがあり、ほうきではごみが取れないからです。6年生がリーダーになり、掃除の後に皆で「どこに気を付けたらよいか」などの反省会を開いています。トイレは皆が嫌がるので1カ月交代で持ち場を交替します。
 全校生が一緒になって声を出そうと、同校は昔から音楽朝会を開いています。福富町の歌「元気ふくとみ」や「ひとつの歌から」などを大きな声で歌います。年に1回、11月の学習発表会では講堂でクラスごとに合唱コンクールをひらきます。スポットライトはこの時に舞台で使うのです。子どもたちは「スポットライトを受けると、スターになった気持ちになるだろう」といまから楽しみにしていました。


特産の新茶摘み取り「カメラに納めたい」
(贈り物=デジタルカメラ、体育用具)


愛媛県・寺内小学校
 校長室のカーテンにオニヤンマが羽を休めていました。「このトンボ、逃げないんですよ。子どもたちの標本にしてやりましょう」。髪を短く切った伊藤章校長は白い歯を見せました。寺内小学校。愛媛、高知、徳島の3県が交わる四国のほぼ真ん中にあり、へき地1級、児童14人の山の学校でした。
 林業とタバコ産業が盛んな時代には310人の児童がいたこともありましたが、過疎と少子化の波はここも例外ではありません。複式授業を進めながら、伊藤校長は子どもたちに「児童数は少なくても、君たちは四国の中心に居るんだよ」と冗談をとばしていました。
 この寺内小には跳び箱の補助板「らくらく跳んだ君」、デジタルカメラ、逆上がり補助器などが届きました。
 「らくらく跳んだ君」は跳び箱の両横に踏み切り板を取り付け、低学年や跳び箱の苦手な子でも、この上に上がって跳ぶと簡単に跳ぶことができます。
 さっそく講堂に集まった14人は1年生から順番に補助板の高さを調節しながら跳びました。最初は友安敏博教諭の助けを借りて跳んでいましたが、授業の終わりには全員が4段の高さから跳び下りることができました。1年生の栗岡忠一君は「簡単に跳べた。次は補助板なしで跳んでみせます」と得意そうに話していました。
 ふるさと総合学習ではカブトムシとホタルを、2班に分かれて飼育しています。カブトムシは5つの水槽に古木を集め、家からエサになるゼリーなどを持ち寄って、昨年は100匹以上を育てました。ホタルは校庭から上流にある川にカワニナを放ち自然の中で、幼虫から育てています。贈られたデジタルカメラは両チームの飼育過程を写真に撮って記録します。また、県の「へき地教育研究発表会」でも写真を公表することにしています。
 村はタバコに代わってお茶の出荷が年々盛んになっています。子どもたちは「新茶の摘み取り、出荷の様子もカメラに撮って、地域の産業を勉強したい」と張り切っていました


「すごい」輝く楽器 大島バンドつくるぞ
(贈り物=トランペット、ドラムセット)


長崎県・小値賀小大島分校
 「光ってきれい。すごいな!」。小値賀小(山口三郎校長、児童数207)の大島分校の5人の児童は、荷物から取り出した銀色と金色に輝くトランペットにテナートロンボーン、真っ白い革のドラムセットの楽器の贈り物に感嘆の声をあげ、目を見張りました。
 大島分校のある大島は、東シナ海に面した五島列島の北端にあり、周囲7・8キロの小さな島。佐世保市から高速船で2時間の小値賀島へ。さらに連絡船で10分。約30世帯の集落があり、農漁業が主体。
 分校は港から坂道を登って約200メートル、港を見下ろす高台にあります。校門の両側の門柱のわきには黒い大きな火山弾があり、島の成り立ちを物語っています。
 楽器類を希望したのは、分校の子どもは音楽会に参加する機会に恵まれないので、これまで触ったことのない楽器に触れる機会をと考えたからです。
 児童は授業でリコーダーを吹いており音楽好き。特に4、5年の女子3人は音楽が好きだという。前任校でブラスバンドを指導していた石橋京子先生と濱田順子先生の2人が分校に赴任して指導者ができ、少人数の児童でできるバンドをつくることにしたそうです。
 児童たちは、トランペットもトロンボーンもすぐに音が出せ、放課後の練習を楽しみにしています。
 5年の横尾愛花さん「楽器がぴかぴか光ってきれいでした」、山田千春さん「吹いたら音が出たので自信が出た」▽4年の横尾花帆さん「すぐ音が出たのでうれしかった」▽2年の島元雄太君「音が出たのでおもしろかった。早く曲が吹けるようになりたい」、山田大樹君「練習が楽しみ」。
 指導の石橋、濱田先生は「音が意外と出ており、かっこよく吹けるようになったらいいなあと思う。大島バンドができたら」と夢を膨らませています。
 竹下伸吾教頭は「児童数が少なく集団でできるスポーツが少ない。器楽演奏は全員でできる。10月の学習発表会と運動会で、島の人たちにバンド演奏を披露したい。ベルマーク運動を支えている方々に感謝します」と話していました。


地区内の交流や楽器演奏復活が夢
(贈り物=トランペット、体育用具)


鹿児島県・阿木名小学校
 阿木名小(渡辺眞光校長、児童数46)が、ベルマークからの贈り物を全校児童に知らせたのは9月18日でした。ラーソフトバレーボールの体育用具6品、トランペット、CDラジカセ、掃除機の計9品を披露しました。
 児童たちは、真新しいバットやカラーバレーボールなどを手に取り「すごい。早く遊びたい」と大喜びでした。6年女子の元井薫さん、末久美月さん、泰絵理香さんは「トランペットを吹いてみたい」、男子の岩井孝史君は「グランドゴルフをしてみたい」と目を輝かせていました。
 瀬戸内町は奄美大島の南端に位置し、島の中心都市・名瀬市から国道58号で約45キロ、バスで約1時間半。阿木名小は町の入り口の国道沿いにあり、太平洋に面した伊須湾を眺める所にあります。校庭には枝を広げた「百年松」とガジュマルの大木があり、児童たちは、夏は強い日差しを避けて木陰で集会を開き、遊びの場にもなっています。
 児童が多いときは鼓笛隊があったそうです。現在、学校にある楽器はピアノ、オルガン、ピアニカ、リコーダー。中学校に吹奏楽を指導していた先生が着任し、来年度から新入生が増え5年後には児童が87人に増加することから「器楽演奏を復活させよう」とトランペットを希望。
 グランドゴルフセットは児童や大人の競技大会があり、地区民にも使ってもらえ「学校と地域との交流に役立ちます」という。ティーボールセットは女子や低学年向けです。
 同校は1976年にベルマーク運動に参加。この8年間は活動が休止していますが、これを機会にベルマーク活動を再開します。 
 渡辺眞光校長は「予算がなく体育用具や楽器などが買えません。今回贈っていただいた品々は、児童と学校にとって必要な物ばかりです。ありがとうございます」と感謝していました。


関市の「刃物祭り」で太鼓打ち鳴らし披露を
(贈り物=和太鼓、CDラジカセ、アイロン)

岐阜県立中濃養護学校
 ドン、ドン、ドン。ドンドン、ドン。関市にある中濃養護学校(小林健一校長)の講堂。子どもたちがベルマーク運動の援助で贈られた和太鼓を力強く打ち鳴らして迎えてくれました。
 小学部、中学部、高等部からなり、169人の知的障害の児童・生徒が学びます。フジの花をあしらった校章には、学校周辺の山に多いフジのように、他の木と共存しながら障害を乗り越えて生きていってほしい、という願いがこめられているそうです。
 「ほほえみと感動が心と体に響く学校づくり」。こんな教育目標に、児童・生徒、保護者、教職員、そして地域の人々や企業が一体となっています。七夕まつり、プール遊び、雪遊び、就業体験、陸上競技会……。あらゆる学校行事に、近くの大学や地元のお年寄り、主婦のグループなどで構成するボランティア協議会や、企業も加わった「支える会」が協力します。
 「子供の将来のために社会との触れ合いが欠かせない。それに学校の完全週5日制なども見据えた時、子どもたちを学校の外でも」と小林校長は話します。
 もちろん、子どもたちも頑張ってます。陸上、バレー、水泳、器楽、太鼓などの部活動に加えて、木工や焼き物などの勉強。鉢や動物など形、大小思いおもいの焼き物に皮を張った「ガイアドラム」という「世界に一つしかない楽器」をつくり、町で演奏会も開きました。
 ベルマーク運動にも積極的。PTAの役員中心だった活動に本腰を入れ、昨年度は14万点も収集、ことしは子どもたちのベルマーク部もできました。預金で古くなった運動用マットを取り換える予定です。
 ベルからの援助の品は和太鼓のほかにCDラジカセ、コードレススチームアイロン、ドッジボールなど。和太鼓は太鼓部が運動会や学校祭のほか、特産の刃物にちなんだ関市の「刃物祭り」で、「夢太鼓」と染め抜いた法被を着て披露するのが楽しみです。アイロンは被服などの作業学習、ラジカセは発音などの勉強に、と幅広く活用します。