2008年に行われた第23回ベルマーク便りコンクールには、105校・園の応募を頂き、入選10校、佳作10校の他、特別賞1校が選ばれましたが、その入賞校の中から特色ある活動をしているところを紹介します。いずれも、写真やレイアウトを色々工夫して、分かりやすく、また読んで楽しい作品になっています。
○「親しみやすく」全て漫画 金沢市諸江町小
金沢市の諸江町(もろえまち)小学校(小平豊彦校長、998人)には、もっと多くのベルマークが集まるようにと呼びかけるキャラクターがいます。その名は「ベルマークマン」。双子の兄妹「収くん」「集子ちゃん」とのかけあいで、ベルマークの役割や使用済みインクカートリッジの回収などを、漫画で分かりやすくPRしています。この楽しく親しみやすい作品が評価され、特別賞に輝きました。
漫画を描いているのは、同小育友会学級部(29人)の山本友里部長。ベルマークを担当する学級部の部員、副部長を各1年務め、部長は2年目というベテランです。07年5月から「諸江町小学校のみなさんへ 学級部よりお知らせ」を漫画版にして発行をしています。
同小は石川県1の大規模校で、全員が力を合わせればたくさんのベルマークを集められます。しかし、かつて強制的に収集しているかのように受け取られて不満が出たことがあり、今は収集日を設けず、教室内に置いた収集箱にいつでも自由に入れる方式に改めました。それだけに大切なのは一人ひとりの自覚の向上。山本さんは「子どもたちに『集めたい』と言ってもらえるような環境にしたかった」と、漫画を選んだきっかけを話してくれました。
山本さんには漫画の経験がなく、学生時代、友人が描く漫画の背景を塗った程度でした。しかし、「クレヨンしんちゃん」や「あたしンち」を参考に、オチも自分で考え、2カ月に1回のペースで発行し続けています。作品が一応完成したら、まず3人の我が子にモニターになってもらい、その意見で直すべきは直すなどしています。子どもたちはもちろん親や先生にも好評で、みんな「次は何かな」と楽しみにしています。
同小は、回収箱を郵便局や銀行、ショッピングセンターに置かせてもらうなど、地域の人たちにもベルマークへの協力を呼びかけています。10月と11月には校区内の2公民館で開かれた「文化まつり」にコーナーを設けさせてもらい、漫画を拡大コピーして展示して協力を呼びかけました。「(この便りを)地域でも配って、多くの人に見てもらえたらいいですね」と育友会の森谷美穂副会長は話していました。
《写真上から》
・漫画を描いている育友会学級部長の山本友里さん(中央)と同部副部長の田井友子さん(右)、同会副会長の森谷美穂さん
・キャラクターの「ベルマークマン」(右)と双子の兄妹の「収くん」と「集子ちゃん」(07年5月9日発行の「ベルマークマン参上」から)
・育友会が使っている部室で2カ月に1回、1000部以上ずつ印刷しています=金沢市の諸江町小学校で
○回数多く、新商品では号外も 埼玉県新座市西堀小学校
佳作に選ばれた埼玉県新座市の西堀小学校(井口常子校長、360人)は、ベルマーク運動に参加して3年目。「初めに発行したベルマークだよりを踏襲しているだけ」とPTAベルマーク委員会の砂原美紀委員長と二色弥生副委員長は、思いがけない入賞に大喜びです。「入賞は活動が軌道に乗った証拠。とてもうれしい」と話すのは、初代委員長で「ベルマークだより」の生みの親である貞方芳枝さん。長く迷った末、やってだめならあきらめがつくと、有志数人と立ち上げた活動だけに、感慨もひとしおです。
ベルマークだよりはA4判の大きさで、パソコンで制作しています。「とにかく見てもらうため、頻繁に発行しました」と貞方さん。年間6〜8回に加えて、号外も数回。内容は欲張らずに、新しい商品や期限のあるマークなど、伝えたい事柄を簡潔に載せました。子どもたちの関心を高めるために行ったコンテストの、開催予告と結果発表は欠かせません。学期ごとに1回、期限を設けてマークを集め、上位3クラスに「勲章」のワッペンを贈るので、子どもたちは大喜び。自分たちのクラスが何枚集めたかを知りたくて、今ではベルマークだよりを楽しみに待っています。
「ベルマーク活動は地味なイメージでしたが、誘われて来てみたらお茶やお菓子を食べながらのおしゃべりが楽しくて、すっかりはまりました」という砂原委員長。「PTA活動は楽しくするのが真骨頂」という貞方さんにひかれて集まった委員たちは、愛着を持って取り組んでいます。号数を年度で区切らずに通しでつけていることにも、その気持ちがうかがえます。昨秋までに16号を出しましたが、レイアウトもそのまま。パソコンが得意という人がいないので、内容を入れ替えるのに数時間もかかることがあるそうですが、「パソコンの勉強になる」と前向きです。たまたま学校に来て映画にマークがついたことを知った二色副委員長は、その日のうちに手書きで号外を出して素早く対応。楽しさが積極的な活動をもたらしています。
井口校長は「子どもたちのためにボランティアで、お母さんたちは熱心に取り組んでいます」と話し、活動をバックアップ。発足当時10数人だった委員は23人に増え、開校130年を11月に控えて、ベルマーク活動は勢いづいています。
《写真》 ベルマークだよりを見ながら話し合う砂原委員長、二色副委員長、貞方元委員長(右から)を見守る井口校長(左端)
○クイズなどで毎回工夫 広島県江田島市立大古小学校
瀬戸内に浮かぶ江田島の広島県江田島市立大古小学校(樋上美由紀校長、185人)PTAが2008年度全国ベルマーク便りコンクールに初応募で佳作に選ばれました。同校にベルマーク運動を33年ぶりに復活させたばかりのベルマーク倶楽部(向井雅代代表)にとって二重の喜びとなりました。
ベルマーク便りは毎月発行、向井代表の姉がパソコンを駆使して製作しました。カラーを使ったきれいな作りです。毎回、協賛会社クイズを出すなど児童が楽しめるように工夫をこらしたり子どもたちに興味を持たせるため仕分け体験させたり、あの手この手PR作戦の様子が紙面で展開しています。
大古小は1969年にベルマーク運動の参加登録をしましたが、75年のベルマーク送付を最後に活動がストップしていました。
復活は、妹が他校でベルマーク委員になったと知った向井さんが「大古小でも」と呼びかけたのがきっかけ。向井さん姉妹3人を含む6人がベルマーク倶楽部に参加し08年度に活動を再開しました。
回収箱は教室に置き、スーパー、郵便局、保育所などにも設置。仕分けは毎月1回、2時間ほどします。残った場合、自宅に持ち帰り作業します。保護者に仕分けの手伝いを募っています。
最初の集計は08年5月、スタート早々ながら5305点にも。スーパーの回収箱には、ベルマークがどっさり入った袋もありました。発送は半年に1回ですが、最初の発送の9月には2万2752点でした。近辺ではベルマーク運動参加の学校が少ないため、持って行き場のないマークが集まった、とみています。
向井さんは「せっかく復活したのだから地道に長く続けたい」と話しています。
《写真》 大古小学校のベルマーク倶楽部の活動では、笑顔がこぼれます=広島県江田島市の大古小学校で
○目をひく「迷言」コーナー 山口県岩国市立東小学校
山口県岩国市立東小学校(江中幸夫校長、525人)の「ベルマークだより」は初めての応募で、入選を果たしました。
PTAの担当は学級専任部(宮田容子部長)で、宮田さんが部長になった2007年から毎月1人で作成し、学校を通じて全家庭に配っています。
A3の大きさの「ベルマークだより」は、手書きの文字にイラストや写真が満載です。マーク回収や作業日のお知らせ、集計結果報告の「定番」記事のほか、毎号連載の「この人の迷言!?」コーナーが目をひきます。世界の偉人や作家の似顔絵つきで、その言葉や作品をもじり、協力を呼びかけています。ガリレイは「師走は忙しい。それでもベルマークは集まっている」。「雨ニモ負ケズ 風ニモ負ケズ…ベルマークヲ集メ続ケル」は宮沢賢治で、与謝野晶子は「君、忘れることなかれベルマーク」といった具合です。
連載はもうひとつあり「ベル仲間紹介コーナー」は、協賛会社の社名・ブランド名の由来とマークつき商品を取り上げています。
東小学校は1961年にベルマークに参加し、累計点数は241万余点です。07年までは担当するPTAの専門部はなく、執行部総務と「1人1事業(役)」で参加する保護者を中心に活動していました。宮田さんや保護者から「ベルマーク部をつくろう」との声が上がりましたが、PTA規約改正など手続きが煩雑なこともあり、学級専任部が担当することになり、「ベルマークだより」も発行することにしたそうです。
06年度に広報部長をつとめた宮田さんは「ものを書く、つくる喜びに目覚めた」そうで、「ベルマークだより」づくりを1人で引き受けています。取り上げるテーマと「迷言」のアイデアを考え、パソコンが使えないので、手書きの文字やイラストと、コピーしたイラスト、写真などを切り張りして、ようやく完成です。創刊当初は時間がかかったそうですが、いまでは一晩で仕上げるそうです。
「ベルマークだよりを発行してから、マークの集まり具合が目に見えて違ってきました。つくる楽しさとマークが増える喜びを味わっています」と宮田さん。07年度の集票点数9万2000点を上回る12万点が08年度の目標です。知恵を絞った力作の「ベルマークだより」が、きっと強い味方になってくれるでしょう。
(2009/1/16)