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自らを変える勇気
朝日新聞論説委員 清水建宇

 中学校の3年間を北海道の函館市で過ごした。ベルマークとの出会いはそのころだったと記憶している。魚肉ソーセージの包装にプリントされた小さなマークを切り取り、学校へ持って行った。
  北海道には辺鄙(へんぴ)な地域の学校がたくさんある。小さなマークは、そうした学校で教育設備に生まれ変わるんだ。先生の話が脳裏に刻まれた。
  新聞記者になってから、意外なところでベルマークに再会した。
  事件記者は、カメラを持って現場に駆けつけ、自分で写真を撮影する機会が多い。フィルムがなくなれば本社の写真部へもらいに行く。そのフィルムの紙箱の一角が、不思議なことに必ず切り取られていた。
  理由を聞いて納得した。資材担当者がベルマークを集めていたのだ。
  ベルマークを切り取り、整理して財団に送るという作業は、手間がかかる。その「手間」こそが助け合いのきずなを強くしてきたのだろう。しかし、少子化が進む中で、いつまで続けられるのだろうか。
  評議員になった当初は、そんな疑問を感じていた。だが、まもなく安心した。財団が次々と新しい試みに取り組んだからだ。
  ベルマークをプリントしたTシャツがつくられ、小売価格の3%(現在5%)が援助資金に当てられるようになった。携帯電話を使ってベルマークにポイントを寄付するサイトも誕生した。
  いちばん驚いたのは、プリンターで使用済みのインクカートリッジを回収し、それにベルマークの点数をつける仕組みができたことである。エプソン販売が始めたこの運動に、キヤノン販売も加わった。
  教育設備を助成するだけでなく、リサイクルを促すことで資源保護と環境保全にも役立つ。企業の社会的責任も果たせる。何と賢い方法だろうと感心した。
  ベルマーク運動を担ってきた小中高校PTAの減少が止まらない。ならば、大学や公民館にも広げてはどうか。斎藤諦淳理事長のこの提案も実現した。
  少子化、IT化、都市への集中……社会は大きく変わった。でも、諦めずに、自らを変えることで乗り切っていくしかない。
  それは容易なことではない。自らを変えるには勇気が必要だからだ。しかし、ベルマーク財団にはその勇気があると、さまざまな挑戦を見て確信している。
                        ◇ 
ベルマーク教育助成財団評議員をこのほど退任された朝日新聞論説委員清水建宇(たてお)さんにベルマーク運動について寄稿して頂きました。
  清水さんは朝日新聞東京本社社会部で警視庁や皇室取材を担当後、同部次長、「論座編集長」、編集委員などを歴任、ベルマーク財団評議員を2004年6月から今年7月まで3年間つとめられました。
(2007/7/10-3)


心豊かな未来に向かって 山古志中が3冊目の「中越地震記録誌」

 大地を揺るがした、あの中越地震から3年目。昨年秋、やっと故郷の新潟県長岡市山古志(発生当時は古志郡山古志村)に帰った山古志中学校が「そして 未来へ」と題した中越地震記録誌を発行しました。「38人がみた 新潟県中越地震」(2005年3月発行)「あれから一年」(06年7月発行)に続く3冊目。A4判105ページのカラー印刷。「悲しみや痛手を乗り越えて、未来に向かって頑張ろう」という生徒、教職員、住民たちの強い決意がこめられています。
  記録誌の前半はカラーのグラビア。サクラの花を背景にした全校生徒の記念写真に始まり、入学式、バレーボール大会、神戸・白川台中との交流、全校遠足・野外炊飯、運動会の模様などが掲載されています。
  ページをめくるたびに、生徒たちの表情がだんだん明るくなっていくように見えます。
  昨年10月には、間借りしていた長岡市立南中学校の仲間たちとのお別れ。「ありがとう 南中学校」「ガンバレ!山古志中学校」の横断幕を入れての両校生徒たちの写真。辛いことや悲しいことが、いっぱいあったけど、南中学校の生徒など同世代の仲間たちやベルマーク参加校の皆さんをはじめとした全国の人々からの支援、応援を身にしみて感じたようです。
  そして10月30日の再開式、さらに、今春の卒業式。一人ひとりの顔にはまさに「未来に向かって」の意欲がかいま見られます。
  後半は全校生徒44人の手記。 「支援してくださった方々に感謝しながら、たくさんの人の為になるように、自分ができることは、進んで行いたいです。そして、将来の山古志が、お年寄りの住みやすい場所になってほしいと思います」「この地震で学んだことをたくさんの人に伝えていけば、助け合いがあり、平和で暖かい世の中になるでしょう」などとつづっています。そして保護者も10人が手記を寄せています。ここでも「地震で得た貴重な体験を今後の生活の糧にして、応援して下さった皆さんに報いられるように頑張りたい」など感謝の気持ちとこれからの意気込みを書いてくれていました。
  このほか、地域の人たち、ボランティアの人たち、先生たちの手記が掲載されています。
  記録誌の発行について、小林晃彦校長は「震災と復興に向き合ってきた生徒が、ありのままの思いをつづって自己を見つめ、保護者や地域の皆さん、ボランティアの皆さん、級友や職員の思いにふれ、震災と復興の中で受けてきた人の誠を心の糧にしていくことを願って作製しました」とつづっています。そして、現在の状況について小林校長は「皆さんのおかげで、生徒たちは精神的にも立ち直り、伸び伸びと生活して、勉強しています。本当にありがとうございました」と話し、今年の夏には、「お互いに一生懸命生きることを確かめ合おう」と、福岡の玄界小、中学校との交流会も予定しているといいます。
  2000部発行し、生徒や教職員、市内の小、中学校、教育委員会、地域住民、ベルマーク財団など支援してくれた団体などに配布したそうです。
(2007/7/10-2)

■ メモ 
<中越地震・援助>
2004年10月23日17時56分発生。マグニチュード6.8、最大震度7(川口町)、山古志は6強。ベルマーク財団は、地震発生直後から全国のベルマーク運動参加校に災害時などに呼びかける「緊急友愛援助」をお願いしました。その結果、各地から次々と援助の申し込みが相次ぎ、第1次、第2次と緊急友愛援助を続け、中越地区の小、中学校や高校など延べ298校に対して援助は6200万円相当に上りました。このほか、昨年10月30日に開かれた山古志小学校と中学校の再開式では、激励援助として各50万円相当の備品も贈りました。

<山古志>
新潟県のほぼ中央。2005年4月に長岡市と合併したが、旧古志郡山古志村当時の2004年10月の世帯数は630余、人口は約2100人でした。長い歴史がある闘牛は全国的に有名で、1978年に国の重要無形文化財に指定されています。また、泳ぐ宝石といわれるニシキゴイの産地としても知られます。緑豊かな山間には棚田が広がり、素晴らしい景色が広がっています。


HPアクセスが66万件記録 開設7年大きな伸び

 ベルマーク財団のホームページ(www.bellmark.or.jp)への月間アクセス件数が、5月に66万件と最高記録を更新しました。
  ホームページは、運動に参加する学校やPTA、協賛・協力会社や広く一般の方とベルマーク財団を結ぶネットワークづくりを目指し2000年9月に開設されました。ベルマークの集め方や仕分け、計算の仕方、お買い物の方法など実務のノウハウだけでなく、財団の行っている様々な援助の状況、参加校がどれくらい点数を集めたか、どんな商品にベルマークが付いているか、なども紹介。また、最新のデータに更新しており、5月連休明けから6月末に行われた説明会の期間中は、説明会の日時と会場の地図がクリックひとつで分かるようにしました。さらに協賛会社や協力会社のホームページにもつながっています。
  2004年に自由に書き込み・閲覧できる「掲示板」を開設。05年暮れに画面を「見やすく、ビジュアルに、検索機能も」出来るように、リニューアルしてからアクセス件数が急増しました。これまでの記録は53万件(昨年5月)でしたが、 5月に66万件と、一気に2割以上増え記録を更新しました。6月も59万件でした。月平均件数も昨年は37万件で、前々年の17万件、前年の22万件から大幅に増えています。
  月間記録を更新したのは、パソコンの家庭への普及が考えられます。説明会で、どのくらいの方がパソコンでネットをしているか手をあげて頂きましたが、どの会場でも3割以上、年々増えています。また更新したのは、いずれも5月で、新年度のPTAベルマーク運動役員になられるのがこのころで、勉強のためホームページを見ることが多い事も考えられるようです。
  どこへのアクセスが多いかを見てみますと、掲示板がトップ。続いて「各県別年間集票ランキング」「マークはどの商品に付いているか」「何が買えるか」「最新のニュース」の順でした。
  ホームページは、「ベルマーク運動って何」「活動はどう進めるの」「援助の輪」「参加企業」「最新のニュース」「ベルマーク広場」「活動報告」「公民館・大学のページ」「掲示板」の9つに分かれています。例えば、「活動はどう進めるの」から入ると、「集める」「切る」「仕分ける」「計算する」「整理袋と送り状」「送りだす」「お買い物」「各種ダウンロード」「カートリッジの回収の仕組」「年間の定期発送物」となっており、ベルマーク活動のやり方に関することがほとんど分かるようになっています。ベルマーク役員になられた方だけでなく、関心のある方は今後もどんどん利用されるようお願いします。
(2007/7/10-1)


説明会に1万6000人参加 全国で102回、各地で交流

 ベルマーク運動の大きなイベント、ベルマーク運動説明会が、6月29日(金)、高知、甲府、水戸会場で終わりました。今年は、5月連休明けの5月8日(火)、東京・新宿、名古屋、長崎・佐世保会場で一斉に始まり、 約2カ月、北海道から沖縄まで全国93都市・地区で102回開かれました。31回目を迎えた今年は、初めて東京・銀座でも開催。期間中の参加校・園は、5407校・園、1万6017人で、昨年の5264校、1万5734人を上回りました。
  説明会は、ベルマーク運動の3本柱であるPTAなど参加団体と、協賛、協力、支援会社、それにベルマーク教育助成財団が、年に1回顔を合わせる大切なイベントです。おもに、春から幼稚園・小中学校のPTAや、大学・公民館で、新たにベルマーク活動の担当になられたPTAの皆さんや先生がたが対象で、財団では職員がチームを組んで各地を巡回。運動の意義や成り立ち、活動の進め方などを、お話しとプレゼンテーションで説明しました。参加したみなさんと意見交換や質疑応答もしました。
  説明会の目玉、PTAのみなさんによる体験発表では、自分たちが実際に経験した活動の進め方や仕分け方など実務のノウハウを、収集袋や整理箱を手にしたり、スライドショーで紹介しながら話されました。うまくいった点や苦労した点などエピソードも紹介されました。最近はパソコンのパワーポイントを使って、分かりやすく説明するPTAが増えてきましたが、一方で、活動の具体例を身振り手振りで話す姿もありました。
  参加者は、初めて運動に取り組むPTAの方が多いことから、関心が高く、どの会場でも真剣な表情で聴いていました。発表が終わると大きな拍手が送られ、 質疑応答も活発でした。また発表者を取り囲み質問攻めにする光景も見られました。
  協賛会社からは「日清食品」、「ラッキーベル」、「ショウワノート」、「フジッコ」、「セメダイン」、「旭硝子」、「ジブラルタ生命保険」、「キヤノンマーケティングジャパン」、「イーイーアイ」、「住商フルーツ」」の10社が参加。携帯電話を使った共通ポイント会社の支援会社「グローバルバリュー」も参加しました。さらに「エプソン販売」、「三井製糖」、「ミズノ」、「セノー」、「内田洋行」からは担当者が見学に来られました。
  各会場の受付では、協賛会社の社員が参加者に、即席ラーメン、接着剤、バナナなどの試供品の他、ベルマークのついた商品の紹介パンフやアンケートなどを配り、話し込む姿も見られました。
  また財団製作のビデオ「子供たちの笑顔と共に」は分かりやすいと好評で、貸し出し申し込みがかなりありました。
(2007/7/9)