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『子どもにおくる戦争があったころの話』
鈴木喜代春他・編

 第2次世界大戦が終結して61年。ベルマーク新聞で20数年、子どもたちに良書を紹介し続けている児童文学者の鈴木喜代春さんたちが、戦争体験者の手記を『子どもにおくる戦争があったころの話』にまとめて本にしました。
  「世界大戦後も世界では、朝鮮で、ベトナムで、アフガニスタンで、そしてイラクで戦争の絶え間がありませでした。日本は太平洋戦争後『平和憲法』によって不戦を誓い、国は守られ、いずれの国とも戦争をしていません。しかし、近年、国際協調の名の下に憲法を改正して海外派兵を、とする動きが出ています。子どもたちに平和の尊さと戦争の悲惨さを知ってもらうため、170人の戦争体験者個人の手記や聞き書きをもとに5人の編集者でまとめました。戦争とは、平和とはどういうものなのかを考えていただきたいと思います」(出版編集者)
  この本は、日本の中国侵攻から始まり、アメリカ・イギリスなどの連合国と戦った第2次世界大戦を含めた戦争をテーマにしています。第1章は天皇の名のもとに、第2章は戦争中の子どもたち、第3章は戦争中の生活、第4章は空襲で日本の都市は灰になった、第5章は戦争を考える、の5章に分かれています。
  ・「太平洋戦争の終わりころには毎日空襲がありました。学校の学生寮で私と同室だった友人が、ある夜の攻撃で頭に傷い弾を受け、顔は2つに割れて即死しました。(中略)私の働いていた工場は特攻隊の基地の中にありました」
  ・「小学校5年の時、快晴の朝、私が座敷を掃いていたところ、突然、すさまじい光が走り、私はびっくりして箒を持ったまま庭に飛び出しました。山の上にはピンクの変な色のキノコ雲が見えました。それが死者14万人を出し、町を壊滅させた広島の原爆でした」
  ・「女学校に入学してから勤労動員されて、学校を卒業するまで、教科書を開くこともなく働きつづけました。この時期にしっかり勉強できなかった悔しさは、今でも心に残ります」
  ・「空襲は人間を殺し、文化を破壊し、人の育った家や思い出の場所をすべて奪い去ります。わが国の軍隊も、他の国々に同じような苦しみを与えてきたのです。これが戦争です」
                         ◆
  『子どもにおくる戦争があったころの話』(らくだ出版=東京都目黒区 電話03−5721−2733、税込み価格1260円)
(2006/08/17)