3月12日、協賛会社と財団との春の懇談会で、今年もベルマーク財団理事の牟田悌三さん(俳優、世田谷ボランティア協会名誉理事長)の講演がありました。テーマは「子どもたちに目標をもたせたい」。講演の要旨は以下の通りです。
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昨今、理由もなく子どもたちに危害を加える大人たちの犯罪が増えています。由々しきことです。
きょうは子どもたちの可能性について触れてみたい。子どもたちは、大人のちょっとしたアドバイスで活動のきっかけをつかみ、生き生きと物事をやりぬく力を発揮します。その例として、世田谷区の希望ケ丘中学校の「ネパール・タルパ村に学校を贈る運動」を紹介します。
ネパールでは、日本円にして50万円もあれば学校が建つと聞いて、アルミ缶回収で学校を建てようと始めたのは、保健サークル15〜16人の部員でした。やってみると気の遠くなるような作業で、疲れ果てていると養護の先生に「あんた達なあに、学校を建てるといったんでしょう」と、叱咤(しった)され、やっているうちに、全校生徒の活動に広がり、地域の大人たちの協力も得て、丸2年かかって55万円ができました。
集めた資金は、自分たちの手でネパールに届けたいということになりましたが、旅費が1人あたり28万円もかかり、「どうしょう」ということになりました。賛同した親たちの協力でやっと渡航できることになりました。活動をはじめたころの中学生は、資金を届けに行く時は高校生になっていました。豊かな生活に慣れた生徒たちは、ネパールの電気もない、トイレもない、お風呂もない村を訪ね、その生活に驚きカルチャーショックを受けました。しかし長い間の努力が実り、目標が達成され、厳しい現地の実情を知ることが出来、生徒たちには大きな「心の収穫」となりました。アルミ缶回収をしよう、といっても動かない中学生に「ネパールに学校を」という目標をあげると動くんですね。
ベルマーク運動も、協賛会社のみなさんのご支援により発展してきました。PTAのみなさんは子どもたちと一緒に、自分たちの貴重な時間を割き、汗を流し、「手間ひま」をかけて活動しています。地味な作業ではありますが、そこから触れ合いとやりがいが生まれます。そこが「ベルマーク運動の意義」だろうと思います。この運動はいつまでも続いてほしい。
(牟田さんは、さらに8年前にスタートさせた、子どもの心のオアシス「チャイルドライン支援センター」や「ボランティア」についても話されました)
(2004/4/2-3)
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