お知らせ


記事目次



「第5回朝日のびのび教育賞」表彰式
ユニークな教育活動続ける6団体が受賞
皇太子ご夫妻を迎えなごやかに

 学校や地域による特色ある教育活動を続けている団体に贈る平成15年度「第5回朝日のびのび教育賞」(朝日新聞社、ベルマーク教育助成財団共催)の表彰式は、11月22日、朝日新聞東京本社の浜離宮朝日小ホールで行われました。
 箱島信一・朝日新聞社長から「今年は学校や地域から340件の応募があり、本日出席された6団体が選ばれました。これからも社会のために一層尽力していただきたい」とのあいさつの後、受賞団体に正賞の盾と活動奨励金50万円を贈り、ベルマーク教育助成財団から木田宏理事長が副賞として30万円を贈りました。
 式後、皇太子ご夫妻と河村建夫・文部科学大臣をお迎えして祝賀会が開かれました。受賞団体はそれぞれビデオを使って日ごろの活動の様子を報告し、豊ろう太鼓は軽快なバチさばきで演技を披露し会場をわかせました。皇太子ご夫妻は、気軽に各団体の輪に入り、一人ひとりにお声をかけ、和やかに交流されていました。
 今回受賞された団体は、栃工国際ボランティアネットワーク(栃木)、特定非営利活動法人「東京シューレ」(東京)、豊ろう少年太鼓(愛知)、かどま〜る「門真市車イスMAPつくり隊」(大阪)、伊座利校(徳島)、西郷村教育委員会(宮崎)
(2003/11/26)

<受賞6団体の日ごろの活動
学んだ技術生かして中古車いすを直し世界に贈る
●栃工高国際ボランティアネットワーク(栃木)
 「工業高で学んだ技術を使ってボランティア活動ができないか」と考え、県内外の病院や福祉団体などで使い古された車いすを修理し、東南アジアなどに送り届ける活動を続け、今年で14年目に入ります。県内に住むタイ人の障害者が、日本の中古車いすを集めて本国に送る際、保管と修理を依頼したのがきっかけで、「空飛ぶ車いす」と呼ぶ活動は始まりました。NGOなどと組んで養護学校や老人ホームなどに出向いて交流会や募金活動を行い、タイの福祉施設には毎年出向き、現地でも車いすを直す「タイボランティア」も続けています。

「学びと交流の場をつくり」弱者を救う
●特定非営利活動法人東京シューレ(東京)
 不登校の子どもを抱える親たちが集まり、ビルの一室で活動を始めて18年になります。日本のフリースクールの草分け的な存在です。これまでに1000人を超す子どもたちが巣立ちました。現在は6歳から20歳まで200人の学びと交流の場になっています。支援役は「卒業」した若者も含め30人です。授業内容は算数・数学などの基礎学習から歌、ダンス、手芸、パソコン、英会話など多彩です。自由と自治を大切にして、子どもたちの話し合いで行事などを決めています。「何もしない自由」もあります。スペースと名付けた拠点は都内に3カ所あります。

音を肌で感じ、体で覚えた太鼓演奏は息もぴったり
●豊ろう少年太鼓(愛知)

  「ツクドン、ツクドン、ツクドンドン」――愛知県豊橋市の県立豊橋聾学校の体育館から、小学3年から6年までの20人が打ち鳴らす太鼓の音が響きます。太鼓演奏活動は93年、和太鼓2台を購入したのが始まりです。当初は経験者もなく職員が手探りで学び、子どもたちに指導するようになりました。聴覚障害を持つ子どもたちにリズム感を習得させるまでは大変でした。バチの動きを示し、音を口ずさみ、その動きを子どもたちが読み取り、次第に音を肌で感じて、体で表現する喜びを覚えていきました。いまでは、笛やかねを組みあわせた演奏など祭りや老人ホームで披露しています。

車いすでも安心な地図づくりをめざして
●かどま〜る「門真市車イスMAPつくり隊」(大阪)
 「車いすで入店できる店の一覧表があれば便利なんだが」――交通事故で車いす生活の先輩のひと言に、高校生たちが動きました。97年、門真西高生10人で始めた「かどま〜る」は、地元の中学生や教員、地域の人たちへと輪が広がりマップづくりがスタートしました。98年の第1回調査には100人以上が加わり、商店街や公共施設などを回り、翌年には201軒の店舗や施設を紹介した地図が完成。1200部を無料で配布しました。現在は、来年夏の完成をめざして改訂版の作業に取り組んでいます。

自然を舞台に、大人と一緒に磯学習で交流
●伊座利校(徳島)
 
県南部の由岐町伊座利小と由岐中伊座利分校の総称が「伊座利校」。地区にはかつて、約400人が住んでいたが、過疎化に危機感を募らせ、学校づくりには地域と一体となって取り組みました。20年前から総合学習の先駆けの「磯学習」(ヒジキの収穫から販売までを体験)を始めました。講師は「ヒジキ作りの名人」と言われるおばあちゃんや「おっちゃん先生」と呼ばれる猟師さんたちが、猟師体験のため一緒に漁に出て教えます。子どもたちの地元生まれは1人だけで、ほかは他地域から来ている「留学」生です。

村の祭りで水田を駆け村おこし
●西郷村教育委員会(宮崎) 
「わっしょい、わっしょい」――毎年夏、子どもたちの元気な声が水田に響く。古くからある村の田代神社の豊作祈願の田植え祭り「御田祭」を、地元の2つの小学校と1中学校の200人全員が、郷土を学ぶ教育を実践しています。小学生は泥だらけになり、手作りみこしを担ぎ水田を駆け巡り、女子中学生は早乙女姿で歌に合わせて田植えに参加、男子中学生は祭り見物のお年寄りの介護役を務めています。過疎化に伴う生徒数減少に迫られた試みでしたが、いまでは村おこしや世帯間交流につながっています。
ページトップへ