ベルマーク運動による今年度の海外援助の事業内容が決まりました。復興への道を歩み始めたアフガニスタンで寺子屋建設を進めるほか、フィリピンでは現地の子どもたちが参加して、「ベルマークの森」づくりが始まります。全部で9事業、総額1、700万円。日本ユネスコ協会連盟など9つの国際援助団体(NGO)と連携して、発展途上国で教育、保健、環境保全などに取り組みます。このうち5事業は「友愛援助」事業です。
【アフガニスタン】
日本ユネスコ協会連盟と連携して識字教育、職業訓練、保健衛生学習を支援します。場所は、首都カブールから北へ70キロのセンジットダラ村です。アフガンでは20年に及ぶ戦乱で識字率が成人男性で40%、女子で15%に落ち込んでいるといわれています。特に農村部では戦乱の影響は大きく、同村では成人男性で1%、女子にいたっては0%という状態です。村人の間では成人、特に女性に対する識字教育の要望が強く、女性向けに識字教室と職業訓練施設を寺子屋形式で開設することにしました。7月に着工します。日ユ協連では「発展途上国で培ってきた世界寺子屋運動のノウハウを生かして村人と一緒になって読み書き、手工芸の職業訓練、保健教育のプログラムを実施したい」と話しています。
【フィリピン】
オイスカと連携して、フィリピン・ルソン島南部ケソン州を中心にマホガニー、アカシア、マンゴーなどの苗木1万本を植樹、「ベルマークの森」を作ります。植林するのは現地の小・中・高校10校の児童,生徒たちで学校の敷地や、周辺を緑化します。フィリピンでは森林の過度の伐採で荒廃が進んでいます。子どもたちに水遣り、動物による食害から苗を守る棚づくりまで森作りを任せて、環境保全の大切さを学んでもらいます。あわせて学用品を贈り教育を支援します。「ベルマーク100点で苗木を1本植えることができます。数年後には豊かな森に成長し、助け合いの輪の象徴となるでしょう」と担当者は話しています。
【カンボジア・ラオス】
戦時中、留学生の母と慕われ、戦後も日本とカンボジアの友好のために尽くした日本人女性、故梶原千代さんを記念する小,中学校の建設を助成します。作家の平野久美子氏が中心となった「千代さんメモリアルスクール建設基金」を支援するもので、建設地はカンボジアのバッタンバン州。日本のNGO「JHP学校をつくる会」が建設を担当、9月初めに完成の予定です。
さらに、ユニセフ(国連児童基金)がカンボジアで展開している教育普及プログラムに対して日本ユニセフ協会を通じて支援します。カンボジアでは10人のうち3〜4人は学校にいけません。栄養不良で多くの子どもの命が失われています。識字から健康まで子どもたちを支援するプロジェクトです。
NGOの「ラオスのこども」と連携するラオスに図書室を整備する事業は、今回で3年になります。すでに小中学校などに10の図書室を整備、ことしも5、6ヶ所で着手します。
シャンティ国際ボランティア会と連携、4年目を迎える「カンボジア・ラオスに絵本を届ける運動」にはすでに日本の学校60校が名乗りをあげ、日本の絵本に現地語のシールを貼るボランティア活動を始めています。来年2月には1500冊の絵本が現地に届き、図書館や学校での読書活動に使われます。
【ザンビア・ケニア】
アフリカのザンビアではジョイセフと連携して幼児教育や母子保健教育の核となるクラブハウス(託児所を併設)の改修を進めます。
またケニアではアフリカ地域開発市民の会による小学校教室の建設や現地教員のトレーニングを支援します。
【東チモール】
シェア=国際保健協力市民の会による東チモール教育復興事業は3年目。保健教育促進センターを修復して、リーダーの養成をふくめ地域保健活動を再開できる体制を作ります。
(2003/7/7-4)
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