へき地学校の子どもたちに夢と感動を与えるベルマークファミリー劇場。この運動の40周年を記念して平成12年度にスタートして以来、劇団「東少」による数々の名作劇をお届けしてきました。「アルプスの少女ハイジ」などで主役を演じた山口リエさんと、担当プロデューサーの平山武男さんに、ベル劇場にかける熱い思いや、観客の皆さんへのメッセージを語っていただきました。
――公演を見に来てくださったへき地学校の児童やお父さん、お母さんたちの印象は。
山口さん 私たちが舞台に姿をあらわしただけで拍手が湧き、楽しい場面では声を出して笑い、悲しいシーンでは一緒になって泣き、まさに舞台と一体になってくださいました。
平山さん 私も、そういう観客の姿を見て、舞台の袖で笑ったり、もらい泣きしました。つくずくこの仕事をやってきてよかったと思いました。舞台は、観客と一緒に作るものだと実感しました。仲間の俳優さんやスタッフも同じ思いを話していました。
――特に、心に残ったことは。
山口さん 公演が終わると、観客の皆さんをホールでお見送りするのですが、ある女性の方が、「感動しました。良かったです」とハンカチで涙をぬぐいながら握手を求められました。胸がつまりました。
平山さん 九州の会場で終了後、生徒の皆さんが、段ボール箱を抱えて舞台に上がり、自分たちの畑で作ったサツマイモをお礼にくれました。素敵な花束を贈られることは良くあるのですが、このお芋を育てるのに、どれだけの時間と手間がかかったことでしょう。これが、心のプレゼントなんだ、と子どもさんたちから教えられました。 ――公演会場を提供してくださった地元の皆さんに、ひとこと。
山口さん どこの会場でも、私たち出演者が使いやすいように、楽屋の設備などにさりげない心配りが感じられて感謝しています。
平山さん こうした地元の皆さんの努力が、私たちの舞台を一層引き立てて下さっています。本当は、裏方を務めてくださるホールの皆さん全員に客席で見ていただきたいと思っているのですが。
――これからのベルマーク劇場の目指す方向などでご意見があれば。
山口さん これまでの道筋で良いと思います。より楽しく、感動していただけるように、磨きをかけて精進していきたいと思っています。
平山さん 市町村の合併が進むにつれてへき地の学校も統廃合が進むのかも知れませんが、すばらしい名作劇を本当に観ていただきたい山里や離島の子どもたちのところへ、トラックに舞台装置や衣装を積み、また船便で輸送してでも、届けたいと思っています。それと、もう1つ、一輪車教室やお絵かき教室、走り方教室など、ほかの部門の関係者の皆様と、ベルマーク運動を支えるソフト援助の今後の取り組み方や方向などについて意見を交わしたいですね。
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