横浜市・矢向小で山崎直子さん「ビジット」
(2014/11/14)印刷する
不思議(wonder)がいっぱい(full)あるからワンダーフル(素晴らしい)
大きなホタルの切り絵を貼って、「ホタルを宇宙につれてって」。そう書いて送った色紙が決め手になりました。本の著者(オーサー)が学校からの色紙をもとに訪問校を選び、そこに出向いて特別授業をするベルマーク版オーサー・ビジットで、宇宙飛行士の山崎直子さんが10月22日、横浜市鶴見区の市立矢向小学校(児童726人)で講演しました。その色紙を見て「なんてすてきな学校なんだろう」と思ったそうです。
山崎さんは宇宙船から見た台風やオーロラ、船内生活のようすなどの写真をスクリーンに写しだし、説明していきます。小学2年生のときに初めて天体望遠鏡をのぞき、月のクレーターや土星の輪を見て感動したこと、「宇宙戦艦ヤマト」を観るなどして興味が増していったこと、宇宙飛行士の1回目の試験には落ちたこと、ものすごく厳しい訓練を11年間も重ねてやっとスペースシャトルで飛び出したら、わずか8分30秒で400キロ上空の地球周回軌道に乗ったこと、そして地上生活とはまったく違う無重力での滞在。
飛行士とともに、いろんな動物も宇宙生活を体験しています。ネコやウサギ、メダカ……。クモは体が浮いて戸惑いながらもきれいな網を張り、カエルは卵を産んでオタマジャクシがかえりました。ホタルはまだ行ったことがないようです。「でも、ウミホタルは宇宙に行きました。小さな貝のような生物で、夜は青い光を出します」。
「宇宙ホタル」という言葉もあるそうです。実はこれ、オシッコです。4年前からオシッコは殺菌して飲み水にしていますが、それまでは、タンクにためたオシッコを宇宙空間に捨てていました。氷のかたまりとなり、それが太陽光を受けてキラキラと光るので、「宇宙ホタル」と呼びました。
「不思議なこと、わからないこと(wonder)がいっぱいある(full)から、ワンダーフル(wonderful =素晴らしい)」と語る山崎さん、「人生もいっしょです。計画通りにいかなくて悩んだり不安だったりしても、自分がどうするかで道は開けます」「まず思い、そして一歩動く。一歩一歩を大切に、その歩みに無駄なことはありません」と締めくくりました。
「宇宙食でなにが好きですか」「シャトルはだれが運転するんですか」「宇宙人に会ったことありますか」などなど、その後は質問が止まりませんでした。
田屋多恵子校長は「きょうの感動を心に刻み、児童の夢の実現に生かされることが楽しみです」と述べ、児童代表も「将来、宇宙飛行士がこの矢向小から出るかも知れません」と話していました。
でも、なぜホタルの色紙だったのでしょう。
矢向小は14年前から、近所の人の協力を得て校庭にホタル池をつくり、いま校舎内の水槽でホタルを育てています。池に放って6月には観賞会も開きます。住民もたくさんやって来て楽しむ恒例行事になりました。
また、一時は1200人以上も児童がいましたが、19年前に新鶴見小学校と分割しました。空き教室がかなりできたため、山梨県・道志村の間伐材をふんだんにとり入れて多目的スペースをゆったり設けるなど校舎を改装しました。木のぬくもりあふれる学校になっています。
こうした活動が評価され、横浜市から「横浜環境活動賞」も受けました。