スナッグゴルフ対抗戦全国大会/感謝を胸に、雨の中ひたむきにプレー


(2019/07/22)印刷する

 一般社団法人日本ゴルフツアー機構(以下JGTO)主催の「第17回スナッグゴルフ対抗戦JGTOカップ全国大会」が7月14日、福島県西郷村のグランディ那須白河ゴルフクラブで開かれました。北海道から沖縄まで、全国の予選を勝ち抜いたチームや、前年度大会の上位3校、震災復興支援枠など、合計で33小学校の174人が参加。梅雨空からあいにくの雨が降り注ぐ中、選手たちはひたむきなプレーを貫きました。

用具を見せてくれたのは、伯耆町立八郷小学校の松井祐樹くん(6年)。ボールは、テニスボールより一回り小さく、柔らかい

 スナッグゴルフの「スナッグ」は、Starting New At Golf(ゴルフを始めるために)の頭文字。子どもから高齢者まで、ゴルフを気軽に体験してもらおうと開発された種目です。用具はプラスチックやゴムなど安全性を考えた素材で作られ、ベルマーク預金で買うこともできます。「SNAG=くっつく」の言葉通り、マジックテープで加工された旗の土台部分にボールをくっつけると、ホールアウトならぬ“スナッグアウト”となります。

 JGTOは小学校でのスナッグゴルフ普及のため、用具の寄贈や教室の開催などを実施しています。子どもたちがゴルフの基礎を学ぶのはもちろん、礼儀や思いやり、感謝の気持ちを持ってプレーすることがテーマです。災害復興支援にも力を入れ、ここ4年間は福島県で全国大会を開催。寄贈を受けた用具で練習を積み重ね、出場を果たしたチームもあります。加えて、このほど「JGTOキッズゴルフ応援プロジェクト」を設立、さらなる支援体制を整えています。

 大会には多くの企業・地元自治体などが協賛・協力しているほか、JGTOの青木功会長、石川遼選手会長をはじめとしたプロゴルファーたちも支援しています。今大会では小田孔明選手ら6人のプロが「ドリームチーム」を結成、子どもたちと同じ用具を使い、同じコースでスコアを競います。「プロと触れ合うことで、子どもたちには夢を持ってほしい」とJGTO貢献事業部長の宮内勝さん。

 大会当日は朝から本降りの雨。ゴルフ場で開かれる予定だった開会式は、西郷村文化センターに変更されました。そこに続々と選手たちが集まり、会場は熱気に包まれていきました。伊江村立西小学校(沖縄県)は、前々日の夕方に沖縄・伊江島を出発。船、飛行機、新幹線を乗り継いでの現地入りです。伯耆町立八郷小学校(鳥取県)は大会初出場。監督の長田修平校長は「出場という経験を積むことが第一。地域では、東北支援のために米を送っています。そういった縁もこの大会に導いてくれたのかな」と話しました。

選手たちとの記念撮影に応じる「ドリームチーム」のプロたち
伊江村立西小学校4年の名嘉真(なかま)なゆさん(右)は「ベストのスコアを出したい」。1学年下の妹、萌衣(めい)さん(左)はお母さんと一緒にVサイン

小田プロを前に選手宣誓
西郷村のキャラクター「ニシゴーヌ」がステージの段差を懸命に上って開会式に登場。プロたちも笑顔で拍手


 前年に優勝した笠間市立岩間第三小学校(茨城県)の6年生でキャプテンの名畑来美(なばた・くるみ)さんが選手宣誓。その後は、ドリームチームのプロ6人と交流するアトラクションタイムです。じゃんけん、フラフープくぐり、おしり風船割りなど7つのゲームで、くじで選ばれた出場校がプロチームと対戦しました。お互いが一切手を抜かない好勝負に、敵味方関係なく「頑張れ!」という大声援が、子どもたちから飛び交いました。

「あっちむいてホイ!」なかなか決着が付かず、会場は大盛り上がり
普段は敵同士のプロたちも一致団結し、子どもたちと真剣勝負!


 会場の空気がほぐれたところで、カレーライスの昼食です。JA福島中央会が、会津産コシヒカリを炊飯米として提供し、西郷村からはポテトまんじゅうがふるまわれました。試合終了後には、出場校に参加賞の一つとして伊達市産の桃、優勝校にニシゴーヌクッキーが贈られます。また、今大会のスコアラーや運営は、NPO法人西の郷スポーツクラブを中心とした多くのボランティアが参加しています。開催地がまさに一丸となって、選手たちをサポートしているのです。

昼食のカレーライスを選手たちに手渡す地元ボランティアの人たち
笠間市立北川根小学校(茨城県)の選手たちは、河野祐輝プロと一緒に気合十分
西郷村立川谷小学校の選手たち。5年生のキャプテン、新井俐奈さん(手前右)は「予選大会のスコアを切りたい」と笑顔
多古町立多古第一小学校(千葉県)の選手たち。チームの合言葉は「一打必笑!」


 雨が一向に止まない中、昼食を終えた選手たちは、ゴルフ場にバスで移動し、午後12時半過ぎから試合が始まりました。全参加選手は3、4人ずつの48組に分かれ、536ヤード・9ホール・パー36のコースをプレーします。各チーム上位3人の合計スコアで順位を競います。

 水気を多く含んだコースの芝は柔らかく、足を踏み入れると運動靴の中にまで水が入ってきます。そんな状況の中でも、選手たちはベストを尽くそうと、落ち着いたプレーを見せてくれました。ボールを慎重に置いて濡れたグリップをタオルで拭き、「打ちます」と宣言してスイング。グリーン上でも真剣な眼差しで旗までの距離を入念に測り、パッティングに臨んでいました。

水たまりのある芝でのショット
慎重にボールを置いてのプレー
距離を入念にイメージ


 開始から1時間半。ようやく雨が上がり、コースにトンボが舞い始めました。選手たちがプロと一緒にプレーを重ねる中で、「ナイスショット!」「ナイスオン!」とお互いの良いプレーを讃える声が、プロからも積極的にかかりました。

 周囲からため息が漏れるほどの鮮やかなショットを見せた小田プロも、グリーン上では勝手が違うのか苦戦していました。でも、さすがフェアプレーを常とするプロゴルファー。直後にプレーしてスナッグアウトした選手に笑顔で声をかけるなど、緊張の中にも温かな時間が流れていました。

小田プロの鮮やかなショット
プロから「ナイス!」と声がかかる


 試合を終えた選手たちに感想を聞くと「楽しかった!」という声が次々に返ってきました。常陸大宮市立大宮北小学校(茨城県)の岡﨑慶太くん(6年)は「雨でボールが滑ってバウンドしなくなり、大変でした。コースを回るのにいっぱい待ちましたが、最後まで諦めずにできました」と振り返っていました。

 結果は、8年連続出場の東広島市立東西条小学校(広島県)が、3人合計78ストロークで初優勝。徳永友美監督は「監督最後の年に、子どもたちが最高のプレーをしてくれて、本当にうれしく思います」と、涙で言葉を詰まらせながら話しました。2位は、79ストロークの常陸大宮市立大宮小学校、3位は、同じ79ストロークの笠間市立岩間第三小学校(茨城県)でした。同じスコアの場合は個人スコアの高い選手がいる方を上位とするルールに則り、この日、23ストロークのベストスコアを出した佐久間貴大くんのいる大宮小が2位となりました。3校は来年の全国大会のシード権とともに、9月に行われる韓日スナッグゴルフ交流戦への出場資格を得ました。プロのドリームチームは71ストロークと、さすがの貫禄を見せました。

優勝した東広島市立東西条小学校は、この日招かれたスナッグゴルフの開発者、テリー・アントンさんと記念撮影
常陸大宮市立大宮小学校の6年、佐久間貴大くん(前列左)と弟の4年、大魁(たいが)くん(同右)は兄弟でコースごとのベストスコア賞を獲得


 表彰式の最後に、西郷村立熊倉小学校6年の知々田(ちちだ)奈津さんが「本日はたくさんの方々に応援していただき、ありがとうございました。この大会を応援してくれている皆さん、東日本大震災からの復興のため、福島県を応援してくれている皆さんに、感謝の気持ちでいっぱいです」と、お礼の言葉を述べました。

 大会を支えるたくさんの人たちへの感謝を胸に、プレーを楽しみ、ひたむきさを貫いた選手たち。その笑顔と頑張りに、勇気づけられた雨の一日でした。

大きな拍手で大会を締めくくった後、全員で記念撮影

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