Dr.ナダレンジャー&ナダレンコが理科実験教室/兵庫県洲本市立広石小学校


(2020/01/23)印刷する

 ベルマーク財団の「理科実験教室」が、兵庫県の淡路島西部にある洲本市立広石小学校(作靖幸=つくり・やすゆき=校長)で開かれました。財団のへき地校支援事業のひとつで、講師はおなじみのDr.ナダレンジャーこと国立研究開発法人・防災科学技術研究所の納口恭明(のうぐち・やすあき)さんと助手のナダレンコ、罇優子(もたい・ゆうこ)さんです。

広石小学校の校舎
海商・高田屋嘉兵衛が生まれた洲本市五色町都志にある史跡の旧邸跡

 日曜日の1月19日夕、神戸三宮バスセンターでお二人と合流し、高速バスに乗り込みました。明石海峡大橋を渡り、1時間半ほどで小学校のある洲本市五色町に到着。翌朝、学校に向かうと、2階建てで一部に円型が取り入れられた特徴的な校舎が見えてきました。校門には「思いやり 世界に通じる その心」と書かれた標識が立っています。

 開校は1874年で、140年以上の歴史があります。児童は現在84人。江戸時代後期の海商・高田屋嘉兵衛(たかたや・かへえ)が生まれた五色町都志の港から、車で内陸に約10分ほどのところに位置しています。

まずは皿回しで子どもたちの緊張をほぐす

 午前10時半、全校児童と教師らが体育館に集まる中、金髪のカツラと紙の3Dメガネ、地下足袋の怪しげなスタイルの納口さんと、ピンク色のアフロヘアの罇さんが登場しました。子どもたちは「何者?」といぶかしげな表情を浮かべています。

 納口さんは「みんな、まだ緊張してるね」と言いながら、皿回しを始めました。「はい、1年生は前に出てきて」。全員に棒を渡し、次々に回った皿を受け渡していきます。

 少し雰囲気に慣れてきたところで、納口さんは「変身していいですか?」と子どもたちに背を向け、素早く紙の付けひげをつけ、振り返りました。「かっこいいと思う人?」と呼びかけますが、子どもたちはしーんとしています。続けて「不審者だと思う人?」。全員が大きな声で「はーい」。

 「こんな人が来たら、すぐに先生に『変な人がいます』と知らせてくださいね」と納口さん。「でも、本当はこれでも雪崩(なだれ)を研究している博士なんだよ。悪いことはしませんが、こわいことはします。こわいことが好きな人は?」。ほぼ全員が「はーい」。すでに完全に納口さんのペースです。

「突風マシン」で風に当たると子どもたちは大はしゃぎ
「ナダレンジャー0号」で雪崩を疑似体験

 いよいよ実験の開始です。まずは「突風マシン」。「空気砲と言う人もいますが、専門家は突風マシンと呼びます」と言いながら、バケツで作ったマシンで、子どもたちに向けて突風を発射していきます。風が当たった子どもたちは、その強さに驚いた様子。

 「おもしろいでしょう。でも、このマシンが体育館ぐらいの大きさだったらどうでしょう。みなさんはアリぐらいの大きさ。1メートル飛んだら、実際は100メートル以上飛ばされたことになります」「自然災害は、本当はこわいもの。でも、小さくしたらこわくない。おもちゃみたいに感じるんです」

 続いて、罇さんが発砲スチロールの細かい粒がたくさん入った細長いビニール袋を持って走り、中に空気を入れて膨らませます。口をしばって筒状にした後、ビニール袋を傾けて下側から見ると、粒がヘビの頭のような形で崩れ落ち、雪崩を疑似体験できます。納口さんが「ナダレンジャー0号」と名付けた装置です。

 「東京ドームのような大きな建物にこんな粒を詰めて山の上から流したら、時速300キロ、新幹線ぐらいの速さになるんだよ」という納口さんの説明に、子どもたちはびっくりした様子。災害の現象を小さくして面白く覚えてもらい、大災害の知識を身につけてもらおうというねらいです。

 また、山で落石事故に遭いながら、家族が縦1列になって石をよけ、けがをしないで生き延びたエピソードを紹介し、「大災害ではだれも助けに来てくれません。自分の命は自分で守ることが大切」と呼びかけました。

「エッキー」をひっくり返してじっと待つ
地盤の液状化を再現する「エッキー」に子どもたちは驚きの表情
砂と丸ピンが入ったボトルに水を入れて「エッキー」を作る
ボトルを指ではじくと丸ピンが砂の中から浮き上がった
東日本大震災でマンホールが浮き上がった写真を見せて液状化を説明

 次の実験は、液状化現象をペットボトルで再現する「エッキー」という装置です。砂と水、針のついた丸いピンがボトルの中に入っています。ボトルを逆さにしてしばらく待った後、ボトルを指で軽くはじくと、砂の中に沈んでいた丸ピンが勢いよく浮き上がってきました。「えーっ?」。子どもたちからは驚きの声が上がります。

 自分たちで実験をするために、各学年ごとに砂と丸ピンの入ったペットボトルに水を入れて自前の「エッキー」を工作しました。そして順番に丸ピンが浮き上がる現象を各自で体験しました。

 納口さんと罇さんは、今度はふたを開けたペットボトルに棒を差し込み、改めてボトルをはじくと、今度は棒があっという間に砂に沈み込みました。「マンホールが地上に飛び出したり、電柱や道路標識が沈み込んだりする液状化現象は、東日本大震災だけでなく、阪神・淡路大震災のときに神戸ポートアイランドでも起きていました」と納口さん。当時の写真を見せながら、砂に水がまじってふくらみ、軟弱地盤になっている様子などを解説しました。

揺れの周期が違うと3つのビルの揺れ方が変わった
発砲スチロールのブロックが32個積み上げられた

長いポールを使って揺れ方を確認
ワー! ブロック塀が落ちてくるー!!

 実験はまだまだ続きます。地震での揺れを知るための「ゆらゆら3兄弟」の登場です。高さが異なる3種類の細長いスポンジをビルに見立てて揺れ方を比較します。「一番揺れるのはどれでしょう?」と納口さん。子どもたちのほとんどは一番背の高いスポンジに手を挙げました。

 納口さんがゆっくりと台を動かすと背の高いビルがゆらゆらと揺れ、少し早くすると真ん中のビルが揺れます。そして台を速く動かすと背の低いビルが激しく揺れます。

 「背が高いから揺れるのではなく、揺れるような地震が来たのです。実験では揺れるように動かしているんです」。建物には固有の揺れやすい周期があり、地震波の周期と建物の固有周期が一致すると共振し、建物が大きく揺れるのだそうです。「東日本大震災のときは、大阪でも高層ビルがこんにゃくのように揺れました。阪神・淡路大震災では、木造の1階建てや2階建ての家が一番揺れたんです」

 最後に、発砲スチロール製の32個のブロックを車輪付きの板の上に高く積み上げて高層ビルをつくり、どれぐらいの揺れで倒れるか観察します。誕生日が1月の子ども6人が指名され、ブロックの両側に頭を抱えてうずくまります。納口さんが台を少しずつ動かしてブロックを揺らしていくと、ブロックが崩れ落ちました。「ワー!!」。悲鳴に似た声が上がります。

素顔に戻った納口博士は子どもたちとハイタッチ

 あっという間に1時間半の授業が終わり、納口さんと罇さんはカツラを取り、素顔を披露しました。子どもたちからは大きな拍手が起こりました。

 児童会長の濱田小雪(はまだ・こゆき)さん(6年)は「いろいろな実験で楽しい勉強ができました。これから災害のことを考えていきたいと思います」と感謝を述べました。教頭の小林恭子(こばやし・きょうこ)先生は「阪神・淡路大震災から25年。自然災害は本当にこわいです。自分の命は自分で守る。きょうの実験でたくさん学んだことを、これからの生活に生かしてください」と話しました。

 1995年1月17日の早朝に発生した阪神・淡路大震災は、淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の直下型地震で、6434人が犠牲となりました。洲本市でも震度6を観測し、全壊の住家は合併前の五色町と合わせて200棟余に上りました。

 広石小では大きな被害はありませんでしたが、翌年から毎年1月17日に避難訓練などを続けています。大震災から25年目となる今年も、避難訓練の後、防災教育専門推進員の講話や地域住民の震災体験談を聞き、災害非常食の試食交流会を開いたそうです。今回の理科実験教室はその一環として開かれました。

 南海トラフ巨大地震が想定されていることもあり、子どもたちの震災への関心は高く、避難訓練の際には、心がけである「おはしもち」といわれる「押さない」「走らない」「しゃべらない」「戻らない」「近づかない」を毎回確認しているということです。

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