新潟・東谷小で理科実験教室/樹皮など使った「美里絵」の鑑賞も


(2019/11/13)印刷する

 名水や日本酒、特大のあぶら揚げで有名な新潟県長岡市の栃尾地域。山と川に囲まれた田園地帯が広がります。冬は辺り一面が真っ白になる豪雪地帯。この地域にある東谷小学校(児童61人)で、11月7日にベルマーク財団の理科実験教室がひらかれました。笹川勝校長によると、東谷小は146年前にお寺を校舎として開校。少子化が進む中、付近の小学校と合併を重ねて校区が広くなり、今ではスクールバスで通う児童もいるとのこと。最近は熊が出るので、「熊鈴」をつけて集団で登下校しているそうです。

多田清虹先生

 今回の講師は村上規代先生と多田清虹先生の2人。村上先生は、宮崎県都城市に住む理科教育のベテランで、全国を飛び回っていろいろな理科実験を紹介しています。宮崎の発明協会の理事も務めています。多田先生は、学校の近くに住む地元の芸術家。枯葉や樹皮など自然の素材を使った張り絵「美里絵(みさとえ)」の創始者で、日本手工芸美術展や海外の美術賞を数々受賞しています。

 授業ではまず、多田先生が学校に持ち込んだ十数点の作品について、どんな素材を使ってつくったかを説明しました。クモの糸やネギの皮といった思いがけない素材が使われていて、子どもたちだけでなく先生方も驚きです。その一方で「孫のお絵かきの画用紙の裏で作った」などのエピソードや、作品に込めた気持ちについても語られました。近くにこんな方が住んでいることをみんな知らなかったようで、話が終わると、入れ替わり立ち替わりに作品の近くに寄ってのぞき込んでいました。

 続いて村上先生の番です。「今日はハーバリウムというものをつくります」。ドライフラワーを特別なオイルにつけて作るもので、2年くらいはその美しさが変わらないそうです。「昔は、どのおうちにも生け花があって、花の名前や葉っぱの名前を覚えたりしました」と村上先生。そんな家も減ってきたので、ハーバリウムを作って持ち帰り、家の中でも植物に親しみ観察してもらおう、というのが狙いです。

出来るかな


 子どもたちの席には、木の枠に収められた3本の試験管が用意されていました。これにドライフラワーを入れるのですが、「本当は無水アルコールでよく消毒しなくてはならないんです。今日は時間がないので、消毒したものを持ってきました」と先生。みんな、試しに1本の試験官にドライフラワーを入れていきます。「最初に緑のこけのようなものを入れるのがコツです」。子どもたちは、始めはちょっとこわごわと、慎重な様子で花を試験管に入れていきます。オイルもそうっと注ぎます。

できたよ

 みんなが1本目を作り終わったころ、先生から質問が。「じーっと見ていると、何か出てきますがこれは何でしょう?」。「泡!」「気泡!」と子どもたち。「そのとおり。どこからでてくるのかな」との問いには「ドライフラワーの中に入っている空気です!」

 「よくわかりましたね」と先生はにっこり。「空気が抜けるのに時間がかかるので10分くらい待ってください。見ていると泡が浮いてくるのが面白いですよ。泡が抜けたらオイルが減るのでまた足しましょう」

お手伝いする村上規代先生

 ハーバリウム作りに続いて、村上先生は太陽から地球に届く紫外線についての話をします。紫外線は役に立つ面もある一方で、人体への害ももたらします。でも目には見えません。そこで紫外線をつかまえて、見えるようにします。村上先生が「忍者えのぐ」と呼ぶインキを練り込んだナイロンテープのマントを着て戸外に出ると、紫外線が当たって、無色だったマントが赤紫やピンクの色に変わるのです。

マントがピンクに変色
ほんとに色は変わるかな
スライムに手を伸ばす

 この忍者えのぐを使って先生は「忍者バルーンスライム」を作ってみせました。材料は他に洗濯のり、お湯、ほう砂。これらをよくかきまぜるとスライムができます。ドロドロでプルプルの固まりで、ストローを差して息を吹き込んで膨らませればバルーンに。これも、紫外線を浴びると色が変わるのです。「みんなが後でつくれるように材料を置いていきます」と先生。その際に、作ってからの注意事項も付け加えました。「冷蔵庫に入れないでくださいね。おうちの人がおまんじゅうと間違えて食べると大変です」

 最後はみんなで記念撮影。盛りだくさんだった理科実験教室ですが、終わってみれば、あっという間の出来事のように感じました。

みんなで記念撮影
一緒に給食

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