「クモが苦手じゃなくなった!」/奈良県の十津川第二小学校で理科実験教室


(2019/10/25)印刷する

 熊野本宮大社から車で30分ほど。熊野川上流部の十津川に沿って走ると、「十津川村」の看板が出てきました。奈良県最南部、紀伊半島の中央部にある日本一面積の広い村です。とはいえその96%が山。世界遺産になった熊野古道の小辺路(こへち)と大峯奥駈道(おおみねおくがけみち)が通り、天空の郷「果無(はてなし)集落」や全長297mの「谷瀬の吊り橋」、落差100m近い「十二滝」などが名所です。

 川に沿った谷に点々と集落があります。村立十津川第二小学校(中西康廣校長、児童57人)があるのも、そんな集落のひとつ。3つの小学校を統合してできた学校で、現在開校3年目。木をふんだんに使った校舎はまだ新しく、校庭も広くてきれいでした。

十津川村の看板
十二滝

十津川第二小

 でも、今回の理科実験教室は、テーマがクモ。受講するのは3年生と4年生の合計25人で、巣の標本作り体験のため人数分のクモの巣が必要なのですが、きれいすぎると逆に巣は見つけにくいのです。講師のせきねみきお先生は前日から学校周辺を探していましたが、急斜面が多いうえ、平らな道沿いは掃除がゆきとどいていて中々見つかりません。ようやく、国道沿いの斜面を上がった空き地で十数個のクモの巣を見つけ、ひと安心です。

 午前9時40分、子どもたちが校舎前に集合しました。クモの巣模様のバンダナを頭に巻いたせきね先生は「こんにちは! スパイダーマンの、せきね、です」と自己紹介。「クモって、実はいいやつなんだぞ」と、絵描き歌を歌いながらクモの絵を描きます。「クモと言えば、はちーっ」というのがポイント。クモは足が8本、目も8つ、さらに天敵はハチ……。一通りの話が済んだら次は、校門のところに2匹だけ巣をはっていたジョロウグモの観察。足に3カ所黄色が入っていたり、糸の中に金色のものがあったり。みんな、よってたかって手や顔を近づけたせいか、一匹はあわてて巣を離れて逃げてしまいました。

絵描き歌でクモを描く
真剣に聞き入る
ジョロウグモの観察「下向いてる!」

 続いて空き地へ移り、巣の標本を採ります。途中にあった巣でせきね先生が実演。クモを逃がした後、巣に塗料と糊をスプレーし、黒い紙で網全体を移し取ります。仕上げにラッカーをかけると、もうさわっても大丈夫。立派なクモの巣の標本に、子どもたちの目が点になりました。

 そのころから、子どもたちの間でクモを見つけると「かわいい!」という声があがるようになりました。空き地では、木の枝や背の高い雑草の間などを探し回り、先生でもわからなかった巣を次々と見つけていきます。「この巣がきれい」「ここにもある」「これ、むっちゃ大きい」「あっ、破れちゃった」……。きれいに紙に移し取れたら「できた! スパイダーマンに見せに行こう!」。

標本作りの実演

クモを探す
きれいに出来た!

 標本作りが一段落したら、クモを持参した瓶に入れ、せきね先生のところに持参して名前を教えてもらいます。「シロカネグモ」「はい、これもシロカネグモ」。どうもここは同じ種類が多いよう。「これはきっと別のクモ」と勇んで持ち込んだ子どもに、先生は「残念、シロカネグモ。おなかのところが白金色です」。いつの間にか、先生の前には行列ができていました。そのうちに「おや、これはハエトリグモ、たぶんアシブトハエトリグモでは」。ようやく違うクモが見つかったようです。

クモの名前を知りたい

 授業の最後は、教室に戻って映像を見ながらせきね先生の話を聞きます。「あらためまして、スパイダーマンの、せきねみきお、です。日本蜘蛛学会には、研究者が200人ちょっといます。その会員です」と自己紹介。そこからは、クモに関する知識のオンパレードです。

 巣の張り方は先に足場糸を巡らせ、その後にねばねば糸を張っぱるのだが、その際、足場糸はどうするか。「食べちゃうんです」との言葉にみんな「えっ」。また、クモの糸は髪の毛の20分の1の太さなのに鋼鉄の5倍の強さがあり、ナイロンの2倍伸びるそうで、「直径1センチのクモの糸があればジャンボジェット機も捕まえることができます」との話にもびっくり。

 さらに、クモの糸を応用して作った服が売り出されること、実はクモの種類の半分は巣を作らないこと、クモ同士を戦わせるクモ相撲が各地で行われていること、それは東南アジアから黒潮経由で日本に伝わったと思われること……。授業の締めはこの言葉でした。「地球は美しいクモでいっぱいだ!」

最後は教室で

 子どもたちは次々と感想を述べました。「クモが糸を使い分けると初めて知った」「クモは悪さしてると思ってたけど、いいやつだと思いました」。先生への質問も出ました。「好きなクモは?」「コガネグモが好きです。棒の上にのせて戦わせる、鹿児島・加治木のくも合戦大会に15年通っているけど、勝てません」「日本で一番多いクモは?」「種類としてはハエトリグモです」。

 みんな、今まで何となく敬遠していたクモへの印象が変わってきたようです。4年生の稲田陽菜(ひな)さんは「クモは苦手だったけど、すごいんだなと思った。標本を作るのが楽しかった」と話してくれました。

 せきね先生によると、この日確認できたのは、ウズグモ科:ウズグモ/タナグモ科:クサグモ/サラグモ科:クスミサラグモ、アシナガサラグモ、ヘリジロサラグモ/アシナガグモ科:コシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ/ジョロウグモ科:ジョロウグモ♀♂/コガネグモ科:ヤマシロオニグモ、ヨツデゴミグモ、ゴミグモ、ギンメッキゴミグモ/ハエトリグモ科:シラホシコゲチャハエトリで、合計7科13種(雌雄の別を記していないものは♀)でした。

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