Dr.ナダレンジャーの理科実験教室/豊田市立稲武小学校
(2018/12/21)印刷する
防災科学技術研究所の納口恭明(のうぐち・やすあき)さん、罇優子(もたい・ゆうこ)さんのお二人と12月9日夕、豊田市駅で合流し、快速バスに乗って東北東へ向かいます。終点の「どんぐりの湯前」に着いたのは夜8時過ぎ。星がとてもきれいでした。でも気温は-2度。白い息を吐きながら宿への道を急ぎました。
翌朝、あたりは一面の霜で真っ白。季節外れの桜?が咲く中、少し歩くと「まじめ 力いっぱい」の校訓が書かれた豊田市立稲武小学校(佐々木祐次校長、児童65人)の校舎が見えてきました。今日はここで、ベルマーク財団のへき地校支援出前授業「理科実験教室」が行われます。
開校は1982年。旧稲武町の全小学校が統合する形でできた学校です。「開かれた学校(オープンスクール)」として設計され、多目的ホールや屋根付きプールなどユニークな施設があり、天井も高いモダンな校舎ですが「冬は寒いんですよね」と山田智章教頭先生。
でも会場の多目的ホールは朝早くから暖房を入れて下さったため、広いのにとても暖まっていました。納口さんと罇さんは、さっそく派手なカツラとメガネのDr.ナダレンジャーと助手のナダレンコに変身。準備を進めます。授業は3年生以上の児童47人と先生方が対象。午前9時20分、集まってきた子どもたちは、変身後のお二人の姿を見て「だれ?」「こわ~い」。ちょっと驚きながらも、興味津々の様子です。
さて、授業開始。「おじさんのこと博士と思う人?」シーン。「それじゃ不審者と思う人?」「はーい」と一斉に手をあげる子どもたち。「もしこんな人がいたら不審者として先生に言って下さい」。どっと笑う子どもたち。もうナダレンジャーのペースになじんでいます。
続く空気砲の実験では、風を当ててほしいと手をあげる子が続出。雪崩を疑似体験できる「ナダレンジャー0号」実験でも体験希望者が後を絶ちません。どよめきと笑いが連続する中、ナダレンジャーは「被害が出て災害になる巨大な現象も、小さくするとオモチャになる」「自分の命は自分で守ることが大切。これを忘れると災害に負けちゃいます」と大事な話をはさんでいきます。
地盤液状化を再現する「エッキー」を全員で工作。といっても砂の入ったペットボトルに水を入れるだけですが、みんな喜々として水道に並びます。ボトルを揺すり、静かに砂が落ちるのを待ち、ポンとはじくと、丸いものが砂の中から浮かび上がります。「わーっ」「なんでー」と大はしゃぎ。ナダレンジャーの真似をして、床にボトルを置いて左右に動かし、砂が液体のように揺れるのを観察します。
ナダレンコとの絶妙なかけあいで笑いの渦をつくるナダレンジャーは、いよいよクライマックスの地震の実験にとりかかります。ホールの天井が高いのを利用して、長く伸ばしたポールや高く積んだ発泡スチロールのブロックを使い、迫力満点です。今年9月にあった北海道地震や、大阪の地震で学校の塀が崩れたことを引き合いに出し、何人かに実際に崩れるブロックを疑似体験してもらいました。「これが本当に起こったら死んじゃうかもしれないことなので、ぜひ思い出してね」とナダレンジャー。
あっという間に1時間が過ぎ、楽しかった授業もおしまいに。素顔に戻った納口さんと罇さんに、児童を代表して6年生の小木曽弘基くんが「今日はどうもありがとうございました」とお礼を述べました。
山田教頭先生は、授業中に子どもたちと一緒に挙手しているのを納口さんに見つかり、「先生はだめ」と突っ込まれていました。「私自身楽しくて、思わず生徒の気分になりました。きっと子どもたちの心に残る授業になります」。授業の後も、何人かの子どもたちが会場を去らずに納口さんと罇さんに近寄り、うれしそうに話しかけていたのが印象的でした。