会津若松市立湊中学校で理科実験教室


(2018/11/27)印刷する

 ベルマーク財団のへき地校支援プログラムの一つ、「理科実験教室」が11月16日、福島県会津若松市の市立湊中学校(佐久間一晃校長)で開かれました。教壇に立ったのは、北海道立流氷科学センターの桑原尚司さん。日ごろから体験学習に力を入れ、流氷ができる仕組みなどを各地で分かりやすく教えています。〝氷の妖精〟クリオネの研究者としても知られ、2016年には仲間の研究者と共同で、1902年以来というクリオネの新種の発見も成し遂げています。この日は全校生徒28人が理科室に集合、部活ごとに6つの班に分かれて、氷の海の生き物の姿や氷をめぐる実験に目をみはりました。

 

何が始まるのかな?
桑原尚司さん。白衣は〝勝負服〟だそう

 湊中学校は、紅葉が盛りの猪苗代湖にほど近い学校ですが、内陸にあるため生徒たちは海にはあまり縁がありません。実は実験教室の内容は生徒たちには事前に知らされていませんでした。体操着に身を包んだ生徒たちは「いったい何が始まるんだろう?」とワクワクしながら桑原さんを見つめます。まずは北の海オホーツクの流氷やそこで暮らす生物などをスライドで紹介していきます。ころころとしたアザラシの子どもの写真には「可愛い!」の声があちこちから上がり、流氷まつりの雪像、流氷科学センターの面白い展示、雪と氷に囲まれた暮らしに驚きの溜息が漏れます。

 生徒たちの気持ちがグッと流氷ワールドに入ったところで最初の実験「過冷却」。氷ができる瞬間をこの目で見ようという試みです。班ごとに置かれた、氷水を入れたミニバケツにどんどん塩を入れて-10℃まで温度を下げていきます。そこに水を入れた試験管を入れるのですがそのままでは氷点下になっても凍りません。ところが、そこに氷の小さな欠片をポトンと落とすとあらビックリ、途端に水面からスーッと白く凍っていきます。その瞬間、大きなどよめきが上がり、「スゴイね!」「面白いね!」の言葉が飛び交いました。「水温を何度にしたらとか、試験管を何分漬けたらとか、試験管の中身を真水じゃなくて炭酸水やお茶にしたらとか、条件を色々変えて結果を記録していけば、もうそれが立派な科学の研究なんだね」と桑原さんは語りかけました。

 

どんどん冷やすぞー
あ、凍った!

 もっと北の日本海や太平洋は凍らないのに、なぜオホーツク海は凍るのか。その理由を桑原さんは「大陸のアムール河の水が注ぎこんで、凍りやすい塩分濃度の低い水の層ができるから」と説明します。そして次の実験です。塩分濃度の違いで水に層ができるって本当なのか? 試験管に今度は青く色を付けた濃い塩水を入れ、その上に静かに透明な真水を注ぐと二種類の水は見事に二層に分かれました。

 

二つの層がくっきり

 さて、いよいよ〝真打〟クリオネの登場です。クリオネが2匹ずつ入ったペットボトルが各班に配られました。生きているクリオネを見るのはほとんどの子どもたちが初めて。キラキラの目が、水の中の小さな生き物を見つめます。「あ、居る居る!」「パタパタしてる!」「かわいい!」。先生も交じって大歓声です。教室が落ち着くのを待ち、映像を使って、クリオネが貝の仲間であることや、その暮らしなどを説明していきます。再び大きな声が上がったのは餌を食べるシーン。頭がパカッと割れて触手のようなものが飛び出し、餌の小さな貝を食べる姿は「妖精」というよりまるで「エイリアン」です。教室にはオホーツクの流氷の本物も展示され、山あいの中学校に、ひと時、氷の海の冷たい風が吹き抜けたようでした。

 楽しい時間はあっという間に過ぎ、桑原さんは「観察して、仮説を立てて、実験して、成功しても失敗しても、その理由を数字で考えていくのが理科。これからも、どんどん理科を好きになってください」と締めくくりの言葉を生徒たちに贈りました。「過冷却の実験で、スーッと凍っていくところがとても面白かった。クリオネもかわいかった」と磯野唯さん(2年)。田中健二郎さん(2年)も「ふだんは見られない生き物を見ることができてとても楽しかった。今日学んだことは決して忘れません」と、声を弾ませていました。

 

クリオネ見っけ!

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