ふるさとに誇りと愛着/熊本で第64回全国へき地教育研究大会/児童ら、はきはきと発表


(2015/10/27)印刷する

 第64回全国へき地教育研究大会(文科省、熊本県教委、全国へき地教育研究連盟主催)が10月15、16の両日、熊本県内で開かれました。沖縄から北海道まで各地のへき地校や小規模校、複式学級のある学校の校長ら教育関係者1000人余りが集まり、同県内のへき地・複式の12校で、学習の取り組みなどについて視察し、意見を交わしました。ベルマーク財団からも中島泰常務理事が参加しました。

「くじらぐも」の授業で発表する児童たち

 「(その答えは)いいと思います」。阿蘇五岳のふもと、南阿蘇村立両併(りょうへい)小学校(後藤利恵子校長)の1年生は児童8人のクラスです。童話の「くじらぐも」を題材にした国語の授業がありました。

 ひとりの児童が解答するたびに、みんなの声が元気よく教室に響きます。担任の梶原さおり先生が「雲のクジラに乗った1年生の子どもたちは、どちらの方へ行きましたか」と尋ねると、児童たちは「海の方へ」「村やまちの方へ」と手を挙げて次々に答えていきます。「海では船が見えると思います」「村には畑やトラクター、山があります」と想像を膨らませた答えに「いいと思います」の声が続きます。児童たちは、友だちの意見を聞き、自分の考えをはきはきと発表しました。

背中合わせで授業を受ける複式学級の3・4年生

 同校は、1、2年生が単式学級、3・4年と5・6年が複式学級の計4クラス38人の小規模校です。

 同じく国語の公開授業をした3・4年生クラスでは、3年生と4年生が背中合わせに着席しました。3年生は「ちいちゃんのかげおくり」、4年生は「ごんぎつね」の場面の移り変わりをとらえながら感想をまとめ、考えたことを話し合いました。

 視察した教員の一人は「教諭と学習支援員が入れ替わりながら2学年同時進行の授業ですが、事前の学習計画がしっかりと立てられていないと、あのようなスムーズな進行はできません」と話していました。

 もう一つのテーマは「ふるさとを見つめる」です。5・6年生12人は総合学習の時間に3グループに分かれ、地元の農家と養蜂家、農業後継者を訪ねて話を聞き、メモや写真、動画を撮りました。

 同校卒業生の若手農業後継者を訪ねたグループは「場外ホームランメロンをかっ飛ばせ」のテーマで、特産品として取り組む大玉のメロンの栽培や名付けの動機、海外輸出の夢に向かって取り組む姿などを紹介しました。地域の方々と直接ふれ合い、郷土の素晴らしさを学んでいました。

 2年生は図工です。絵具を含ませたローラー式のスポンジやガーゼを、くり抜いた型紙の上から押しつけて、ふるさとの風景をみんなで仕上げました。

農業後継者が栽培するメロンの模型を持って発表する児童たち
2年生たちは校区探検の思い出を描きました
「わっ、大きな手!」。訪れた農家の人の手に触れる児童たち=以上、両併小学校

 大会初日は熊本市で全体会が開かれ、「ふるさとで心豊かに学び、新しい時代を切り拓(ひら)く子どもの育成」をテーマにした基調報告や、同県出身で全日本柔道連盟副会長の山下泰裕さんの記念講演などがありました。分科会では、全国ブロックと九州ブロックの12校での取り組みが発表されました。

初日の全体会では、阿蘇市の波野中学校神楽クラブによる「八雲払」が披露されました=熊本市の市民会館
人気キャラのくまモンも歓迎してくれました

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