宮崎・大分の2小学校で「一輪車講習会」/多彩な乗り方に興味いっぱい


(2015/07/30)印刷する

 宮崎県諸塚村と大分県竹田市の2小学校で7月15、16の両日、ベルマークソフト援助事業の「一輪車講習会」がそれぞれ開かれました。いずれも講師は、国内外の一輪車競技大会で優勝経験のある小山美由紀さん(ユニサイクルなぎさ所属)と鈴木奈菜さん(江戸川一輪車クラブぴえろ所属)が務めました。乗れない児童は基本的な乗り降りの仕方を、乗れる児童は新しい技などを教えてもらい、「いろんな乗り方があってビックリ」「技をたくさん教えて」と目を輝かせました。

最後に講師と記念撮影をしました

 95%が森林という深い山あいにある宮崎県の諸塚村。荒谷小学校(吉永英美校長、13人)は、この春入学したばかりの1年生2人も10メートルは走行できるなど、全員が乗ることができます。体育館であった講習会には全児童のほか、隣接する荒川保育所のかわいいお友だち7人もいっしょに参加し、見学しました。

 小山さんが「一輪車競技は比較的新しく、だれでも新技を編み出すチャンスのあるスポーツです。まずはスムーズに8の字走行ができるようにがんばってください」と、一輪車の魅力を紹介しました。

 続いて小山さんの解説、鈴木さんの実演で、タイヤを前後に半回転ずつさせながら上体はほぼその場にとどまる基本技のアイドリングを紹介。時計の振り子のようにタイヤが行ったり来たりする動きをしっかりと観察しました。「ペダルを1回転、2回転、3回転と少しずつ距離を延ばせば、同時にバック走行も上手になります」

 このあと片方の足だけを使ったアイドリング、タイヤを足で回して進む「タイヤ乗り」、車体後方や横からの乗車方法、横倒しにした一輪車のペダルを踏んで起き上がってくる車体に手をふれずに座る「蹴り上げ乗車」などを紹介しました。  

大きな旗を手に運動会で披露する技を練習する児童たち

 一輪車でポンポン跳ねるホッピングで縄跳びの二重跳びをみせると「すごい」と歓声が上がりました。また、パールカラーと黒の衣装に着替えた2人が3分余りにわたって模範演技。フィギュアスケートのように曲に合わせて、華麗なスピンや複雑なターンを次々に披露すると大きな拍手がおきました。

 実技指導では、ペダルにかける足の正しい位置、前を見据える乗車姿勢についての説明があり、チェックしながらみんなで一輪車に乗りました。

 続いて秋の運動会で披露する演技の練習に取り組みました。緑とピンクの大旗を手にして入場。13人全員が手をつないで円を描く大技やタイヤ乗りの個人技などに次々と挑みました。

 同校は、毎週金曜日朝の「のびのびタイム(15分間)」に全員で練習をしているほか、昼休みや放課後にも練習をする姿が見られるそうです。

 集中した取り組みで講習の2時間が、あっという間に過ぎました。児童を代表して6年生の甲斐礼乃(かい・あやの)さんが「下を向いて走ったりしていました。正しい乗り方を教えていただき、ありがとうございます。運動会では大技ができるように努力します」とお礼の言葉を述べました。「9月の運動会では素晴らしい演技を披露してください」と小山さんらからエールをもらい、最後に講師と児童一人ひとりがハイタッチをして講習を終えました。

 吉永校長は「子どもたちの吸収力はすごく、気づかないうちに次の技を見せてくれることも少なくありません。上級生が下級生に教えていたりして、一輪車がとても役立っています」と話していました。

輪になってのチェーン走行もこの通り/校長室では児童たち全員の一輪車の目標が貼られていました/体操服の間には、かわいい保育所の子どもの姿も(左上から)

 同校では、総合的な学習の時間に森林や林業に関わる「わくわく学習・ウッドジョブ諸塚」に取り組んでいます。環境問題をテーマに「木で作った絵本」、間伐材利用の松葉杖、遊具のシーソーなど、地域の方々の協力を得ながら子どもたちのアイデアをいかす取り組みをしています。木製のイヤリング・ネックレスの小物は、地域の女性らに配られ喜ばれたそうです。これらの活動報告をまとめた6年生4人は、8月に岡山大学で開かれる「第2回学校の森・子どもサミット」(国土緑化推進機構などで構成の実行委主催)で、青森県や都内の9小学校とともに発表をする予定だそうです。

  


  

 大分県竹田市の菅生小学校(28人)は、7月上旬に1人1台ずつ行き渡るように一輪車をそろえました。「少人数でも集団演技ができて、また、練習に応じた成果を体感できるのが、一輪車の良さだと思います」と魅力を語るのは、自らも練習をしたことのある宗岡良子校長。「子どもたちは今、スイスイとまではいきませんが、スイス止まりくらいの状況なので指導をお願いしました」と茶目っ気たっぷりに話されました。

うまく手をつないで乗れたよ

 講習会は体育館で開きました。校長が「小山美由紀さんは小学校2年生に、鈴木奈菜さんは3歳のときに一輪車に乗れるようになったそうです」と講師を紹介すると、児童たちから驚きの声が上がりました。

 小山さんと鈴木さんが模範演技と技を見せました。みんなのレベルが「スイス止まり」の状態を考えて、基本技に十分に時間をかけるプログラムにしました。

 乗る前にまずは車体についての基本から。「サドルに前と後ろがあるのはわかりますか。そう、少し膨らんでいるのが後ろです」。「では、フレームの前後は」。これはよく間違えられるそうです。「サドルを止めるためのネジの付いている方を後ろにしてください」と正解が伝えられました。

 さらに、クランクの裏側に左右を示す「L」と「R」が表示されていることも教えられました。「これらをきちんと取り付けていないと、乗っているときにカタカタと変な音がしたり、ひどい時はペダルが外れたりするので、必ず守ってください」と、注意するよう促されました。

 続いて、児童たちに中腰の姿勢になってもらいました。足に大きな負担を感じたところで、小山さんが「すぐに地面に足が着くようにと、サドルを低くして乗るのは、今のような姿勢で乗っているのと同じ状態です。サドルの高さは、おへそ辺りにします。まっすぐ背筋を伸ばして立った時のような姿勢が正しい乗車姿勢です。これで、ペダルが楽にこげるようになります。視線はまっすぐ前を見ましょう」と話しました。

 このほか、がに股など悪い姿勢で乗るとクランクにくるぶしをぶつけたりするので足はまっすぐに乗せること、足の指の付け根付近でペダルをこぐようにすると車輪に力が伝わりやすいとなどを学びました。

 みんなでサドルの位置を調節した後、利き足側のペダルを最下点から4分の1ほど自分の方に引き寄せた状態でペダルを踏み込んで、そのままサドルをまたぎ、反対の足で着地する基本的な乗車と降車の方法を紹介しました。これができると一人でも乗れるようになる第一歩だそうです。

華麗な演技にうっとり

 次に2つのグループに分かれました。

 乗れない児童たちは、真新しい練習補助器具の手すりにつかまりながら、鈴木さんのアドバイスで乗り降りを何度も繰り返し練習しました。先生たちもそばで一生懸命にサポート。手すりからちょっとだけ手を離し、バランス感覚をつかんだりした後、手すりを持ちながら進む練習ではタイヤが半回転、1回転とゆっくり前進するのに合わせて、サポートの先生たちもいっしょに移動。教頭先生が児童たちの様子をビデオに収めていました。

 一方、乗れる児童たちは、正面から見たときに人と一輪車がVの字にみえる横乗りの方法などを教えてもらいました。次に両手を広げずともバランスよく走れているか確認するため、手を腰に当てた状態で体育館を周回。ふらつくことが少なくなっていきました。

 続いて「通り抜け」の技にチャレンジ。手をつなぐ5人の間を反対側からスタートした3人が、間をくぐり抜けていくもので、みんなの息が合わなければ難しい大技です。「しっかり握るのではなく、指先がやさしくくっついている感じで手をつないでください」。小山さんからアドバイスが出されます。しかしなかなかうまく行きません。それでも児童たちはあきらめません。講習も終わる間際の最後の1回にチャレンジ。成功です。体育館が大きな歓声に包まれました。

 お別れのあいさつでは、各学年の代表が「少し乗り方が分かってうれしかった」「降り方がわかりました」「一輪車がこんなに楽しいものなのだと知りました」と2人の講師に感謝の言葉を贈りました。

思わず全身に力が入ります/安全な降り方はこのように/まずは利き足をのせて…(左上から)

 滝廉太郎が少年時代に移り住んだ竹田市。JR豊後竹田駅は、列車の到着のたびに岡城址をイメージしてつくられたという「荒城の月」が流れます。その中心部から同小は西へ約10キロ。熊本県阿蘇市に隣接する地区にあります。付近には国指定史跡の七ツ森古墳群があり、学校の体育館脇には30年ほど前に児童とPTAたちが竪穴住居を建てました。いまでも数年ごとにカヤを葺き替えているそうです。

 また、地域の禰疑野神社神楽座のみなさんの指導のもと、児童たちの「ねぎの子ども神楽」が34年間続いており、運動会や同神社大祭で披露し、喜ばれているそうです。

 

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