過冷却に驚き、クリオネにくぎ付け


(2014/12/08)印刷する

北海道興部(おこっぺ)町立沙留(さるる)小学校で理科実験教室

 「わー、凍った、凍った」。海水の入った試験管に氷のかけらを入れると、みるみると凍っていきました。子どもたちは目の前で起こった不思議な現象に目を丸くしていました。

スライドを使って北海道の自然を紹介する桑原さん

 12月3日、北海道興部町の町立沙留小学校(片野昭夫校長、55人)であった理科実験教室では、全児童がこの過冷却実験を始め様々な実験や観察を行いました。これはベルマーク財団が行うへき地学校支援の一つで、今年度5校目、北海道では初めての開催です。

 講師は、北海道立オホーツク流氷科学センターで学芸員を務める桑原尚司さんです。桑原さんは毎回、北海道の特色と専門分野を生かした授業を行っています。

 最初は、ダイヤモンドダストを人工的に作りました。ダイヤモンドダストは、氷点下10度を下回った日に、空気中の水蒸気が凍ることによって発生します。朝の光にあたり、キラキラ光ることからこう呼ばれています。実験では、発泡スチロールの箱の真ん中に金属製の筒を入れ、その周りにドライアイスを敷き詰めました。筒が冷えたら、そこにハーっと息を吹きかけます。すると一瞬で水蒸気が凍り、キラキラ光る氷の粒が確認できました。

初めて目にしたダイヤモンドダストは、小さな筒の中にありました

 興部町の子どもたちは、本物のダイヤモンドダストを見たことがありません。水蒸気と気温の条件はそろっても、オホーツク海沿岸特有の強い風で吹き飛ばされてしまうためです。子どもたちは狭い空間に出現した現象を食い入るように見つめていました。

 そして次に行った過冷却実験では、あちらこちらから驚きの声が上がりました。純粋な水は零度になると凍りますが、ゆっくりと温度を下げていくと零度を下回っても凍らない場合があります。これが過冷却の状態で、ここに何らかの刺激を加えると、一気に凍ります。試験管の海水を冷やすために使ったのが、バケツに入った氷水です。ここにたくさん塩を入れてかき混ぜると、どんどん温度が下がり、氷点下7度ほどになりました。試験管に振動を与えないようゆっくり取り出し、そこに氷のかけらを入れると、ピキピキと目の前で液体が固体へと変化していきました。

 桑原さんは、沙留小の子どもたちに身近な流氷の話を始めました。流氷は、川から流れ込んだ水が海で凍ったものです。オホーツク海は、ユーラシア大陸とカムチャッカ半島に囲まれているため、川の水が分散されず見事な流氷ができるのです。では、なぜ川の水と海の水は混ざり合わないのでしょうか。答えは塩分濃度の違いです。そこで、試験管の中に小さなオホーツク海を作りました。青い色を付けた海水を入れた後、透明の真水をそっと注ぎます。塩分濃度の高い海水は下、真水は上とくっきり分かれました。

水が一瞬で氷に。不思議な現象にびっくり

 最後はクリオネの観察です。ペットボトルに入った1センチにも満たない小さなクリオネが配られると、子どもたちは「どこ、どこ?」、「小さい!」と目を凝らしました。翼足(よくそく)を鳥のようにバタバタと動かしながら泳ぐかわいい姿に、クギ付けになりました。

 5・6年生の児童がそれぞれ、「今日は氷のできかたを教えてくれてありがとうございました」、「流氷のできかたや生き物のことを教えてくれてありがとうございました」とお礼を述べました。

ベルマーク商品

中ザラ糖1㎏

ベルマーク検収

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