京都でへき地教育研究大会/公開授業、花背小では地元の特色を「教材」として活用
(2018/10/24)印刷する
第67回全国へき地教育研究大会(文部科学省、京都府教委、全国へき地教育研究連盟など主催)が10月11、12の両日、京都府で開かれました。全国のへき地校や小規模校、複式学級のある学校の教師ら約900人が参加。「ふるさとで心豊かに学び、新しい時代を切り拓く子どもの育成」をテーマに、研究・実践の成果を共有し、交流を深めました。
京都での開催は33年ぶり2回目。初日の全体会は京都市左京区のロームシアター京都であり、いじめや不登校、学力低下問題を中心に研究している原清治・佛教大学教授が、「ふるさとで学ぶことの教育効果」と題して記念講演しました。新しい学習指導要領が重視している人間関係を円滑に築く力の育成は、へき地教育の方が先んじている、と指摘。その上で、自分たちのグループを大事にするだけでなく、他の集団とつながる力や、友達の生きづらさ、息苦しさに気づける子を育むことがこれから問われていく、と強調しました。
アトラクションでは、京都市立京北第2小、周山中、府立北桑田高の児童・生徒らが、明治維新の戊辰戦争で活躍した地元の農兵組織「山国隊」の軍楽を演奏し、盛り上げました。
2日目は、府内の8会場で公開授業がありました。来年の大会は長野県で開かれます。
公開授業のひとつ、京都市立花背小中学校(片山雅斗校長、児童生徒数34人)には、約100人の教育関係者が訪れました。市の中心部から車で北へ約2時間。山に囲まれた地元の特徴的な自然やモノ、人物などを「花背教材」と名付け、各科目で活用するユニークな研究授業を見学しました。
同校の子どもたちは少人数のため、話し合いを深めたり、筋道立てて説明したりすることが苦手だったそうです。この研究授業は、そうしたことを克服しようと、昨年度から続けられています。
たとえば、6年生の国語では、4人の児童が花背の良さを伝えるパンフレット作りに取り組んでいます。この日は互いにパンフレットの下書きを読み合い、より良いものに仕上げるにはどうすればいいかを話し合いました。同じく6年生の算数では、日本一とされる「花背の三本杉」の高さを題材に、縮図を使って計算する方法をみんなで考えました。
体育館で開かれた締めくくりの分科会では、児童全員でつくる「花背小中学校わくわくバンド」が「となりのトトロ」などを演奏して歓迎し、大きな拍手を受けました。